旅立ちの日。
遠く離れた土地で、オレの人生の新たな一歩が始まる。
空港まで、見送りにと、彼女が付いて来てくれる。遠いし、わざわざ来なくて良いよと言ったのだが、ううん、一緒に行くからと。
駅のホーム。寒い。雪がちらついて来る。彼女がどうも薄着に見えるので、上からコートを着せ掛ける。
彼女は、ほとんど口を利かない。元々お喋りな方じゃないし、感情表現も豊かとは言えないが、それにしてもいつもと様子が違う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/31/9d1acdaa0340078de4ac20f0071fa3f9.jpg)
オレは彼女を黙って見ていた。その視線に答えるように、彼女はこう漏らした。喋ったら泣いちゃいそうだから……と。
このまま一緒に連れて行ってしまいたい。彼女が綺麗になって行く、愛しげになって行くその一瞬一瞬を見逃すのが、ただ惜しい。
必ず迎えに来るよ、なるべく早く……約束する。
オレはそう告げる。
彼女が、背後の夕陽のように、少し頬を紅潮させる。
うん、待ってる……約束する。
ちらつく雪の遥か向こう、一点の光がやはりちらちらと明滅している。
列車が近付いて来る。
遠く離れた土地で、オレの人生の新たな一歩が始まる。
空港まで、見送りにと、彼女が付いて来てくれる。遠いし、わざわざ来なくて良いよと言ったのだが、ううん、一緒に行くからと。
駅のホーム。寒い。雪がちらついて来る。彼女がどうも薄着に見えるので、上からコートを着せ掛ける。
彼女は、ほとんど口を利かない。元々お喋りな方じゃないし、感情表現も豊かとは言えないが、それにしてもいつもと様子が違う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/31/9d1acdaa0340078de4ac20f0071fa3f9.jpg)
オレは彼女を黙って見ていた。その視線に答えるように、彼女はこう漏らした。喋ったら泣いちゃいそうだから……と。
このまま一緒に連れて行ってしまいたい。彼女が綺麗になって行く、愛しげになって行くその一瞬一瞬を見逃すのが、ただ惜しい。
必ず迎えに来るよ、なるべく早く……約束する。
オレはそう告げる。
彼女が、背後の夕陽のように、少し頬を紅潮させる。
うん、待ってる……約束する。
ちらつく雪の遥か向こう、一点の光がやはりちらちらと明滅している。
列車が近付いて来る。