2014年春現在、日本で公開されている「アデル、ブルーは熱い色」は、昨年、カンヌ映画祭最高賞パルムドールを、主演女優ふたりが揃って受賞したことで耳目を集めました。なぜ、ヒロイン二名が揃ってなのかと言えば、なんとも官能的な体当たり演技をしたため、絶賛を浴びたということらしい。最近はディズニーアニメの「アナと雪の女王」といい、非常にジェンダーを意識したのか、マイノリティに訴えたいのか、とかくまあクイアな作品が目立ちますけども、日本のアニメであれこれ目が肥えている御仁からすれば、いかがなものでしょうか。
さて、いまひとつ話題のことを持ち出せば、つい先月のロシアのクリミア制圧。そこの新任の美人検事とやらがネット上で人気となり、ピクシブで萌えイラストが投稿されぐらい。日本って、ほんと、よくわからない国です…。これが平和なのか。
そのクリミア半島をロケ地(劇中ではギリシアのレスボス島という設定)にした、知られざる映画が「エーゲ海の誘惑」。2008年製作のウクライナ映画。原題はСафо. Кохання без меж、訳すれば「サッフォー。果てしない愛」。日本では劇場未公開なので、あまり知名度高くないでしょう。DVDの表紙絵で内容を察してください(笑)。洋物のAVではありませんので、あしからず。
1926年、エーゲ海に浮かぶレスボス島に、若い夫婦が移住する。
大富豪の娘サッフォーと、売れない画家のフィルだった。知り合いのいない小さな島でサッフォーは、ロシア革命で祖国を追われた考古学者の娘ヘレンと巡り会う。教養豊かで妖しい雰囲気をもつヘレンに惹かれはじめたサッフォーは、禁断の関係を結びはじめて…。
サッフォーというのは、古代ギリシアの女流詩人。島の名前の由来は説明するまでもないですが。当初はお嬢さま然としていたサッフォーが、ヘレンに感化されたのか、みるみる積極的になっていき大胆に。誘ったのはヘレンなのですが、この関係が逆転どころか度を超してエスカレート。サッフォーは格差婚の夫をないがしろにしはじめ、しかも、奇妙な三角関係まで持ちかけます。
このヒロイン・サッフォーの堕落ぶりにかなり唖然とさせられますが(こういうの、俗にヒドインって言うんですよね…(笑))、終盤になったときのヘレンの告げる本音もちょっと酷い。いわゆる百合ものなんですが、この映画だけは、男性(妻に虐げられても誠実)に同情したくなりました。最後はそれなりに報われるんですが、ヒロインの迎えるあの結末がなんとも後味悪いので喜べません。
「アデル、ブルーは熱い色」を冒頭で引き合いに出したのは、こちら、かなり過激なあのシーンで話題をさらっているんですけど、やりすぎて、なんかもうただの動物が貪っているようにしか見えないという…。私的には本作の方が女性どうしの絡みがひじょうに美しく表現されているし、敢えて断片的にして隠すことによる焦らしがまたいいと言いましょうか。社会的なテーマとして訴えるには前者なのですが、髪の毛のカラーがアニメっぽくてなんだかなと思ってしまいます。一部分だけ見ただけの印象ですが、人間の性愛ってほんと奥が深いですね。
(2014年4月1日)
さて、いまひとつ話題のことを持ち出せば、つい先月のロシアのクリミア制圧。そこの新任の美人検事とやらがネット上で人気となり、ピクシブで萌えイラストが投稿されぐらい。日本って、ほんと、よくわからない国です…。これが平和なのか。
そのクリミア半島をロケ地(劇中ではギリシアのレスボス島という設定)にした、知られざる映画が「エーゲ海の誘惑」。2008年製作のウクライナ映画。原題はСафо. Кохання без меж、訳すれば「サッフォー。果てしない愛」。日本では劇場未公開なので、あまり知名度高くないでしょう。DVDの表紙絵で内容を察してください(笑)。洋物のAVではありませんので、あしからず。
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1926年、エーゲ海に浮かぶレスボス島に、若い夫婦が移住する。
大富豪の娘サッフォーと、売れない画家のフィルだった。知り合いのいない小さな島でサッフォーは、ロシア革命で祖国を追われた考古学者の娘ヘレンと巡り会う。教養豊かで妖しい雰囲気をもつヘレンに惹かれはじめたサッフォーは、禁断の関係を結びはじめて…。
サッフォーというのは、古代ギリシアの女流詩人。島の名前の由来は説明するまでもないですが。当初はお嬢さま然としていたサッフォーが、ヘレンに感化されたのか、みるみる積極的になっていき大胆に。誘ったのはヘレンなのですが、この関係が逆転どころか度を超してエスカレート。サッフォーは格差婚の夫をないがしろにしはじめ、しかも、奇妙な三角関係まで持ちかけます。
このヒロイン・サッフォーの堕落ぶりにかなり唖然とさせられますが(こういうの、俗にヒドインって言うんですよね…(笑))、終盤になったときのヘレンの告げる本音もちょっと酷い。いわゆる百合ものなんですが、この映画だけは、男性(妻に虐げられても誠実)に同情したくなりました。最後はそれなりに報われるんですが、ヒロインの迎えるあの結末がなんとも後味悪いので喜べません。
「アデル、ブルーは熱い色」を冒頭で引き合いに出したのは、こちら、かなり過激なあのシーンで話題をさらっているんですけど、やりすぎて、なんかもうただの動物が貪っているようにしか見えないという…。私的には本作の方が女性どうしの絡みがひじょうに美しく表現されているし、敢えて断片的にして隠すことによる焦らしがまたいいと言いましょうか。社会的なテーマとして訴えるには前者なのですが、髪の毛のカラーがアニメっぽくてなんだかなと思ってしまいます。一部分だけ見ただけの印象ですが、人間の性愛ってほんと奥が深いですね。
(2014年4月1日)