その首相の祖父の顔を教科書で覚えました。
その首相の父の顔をテレビで見かけました。
最初に知ったのは、あの小泉政権時の後釜として、ずいぶん若い首相だなと。
一度、政権運営に失敗してしまったときも、それから返り咲いた当時も、ずっと不安ではありました。
自分の不安はどこからくるかといえば。
その首相が、自分と同じくお腹を壊しやすい体質であったこと。
ご次男であるのに、実質本家の跡取りになっていたこと。
祖父の遺業を背負い、乗り越えようとしたこと。
本日8月28日、内閣総理大臣安倍晋三氏が辞意を表明したとのこと。
会社でニュースを知ったので驚きしきりです。
政権への打撃となったのは、コロナ禍ともと法務大臣夫妻による不正などでしょう。
たしかに、これまで安倍政権下では官僚や閣僚が何かを起こしてももみ消されるといった、不可解なことはありました。
しかし、アベノミクスが戦後復興にならぶ経済成長を果たしたのは事実でした。
民主党政権時代の円高不況で、いったいどれだけの人が苦しんだことでしょう。
わが県ではかつて600円台だった最低賃金は、今年やっと800円近くになりました。求人倍率もあがり、私でさえ正社員職にありつくことができました。就職氷河期支援を打ち出してくれたのも、安倍政権です。子育てや男性の育児休暇、介護問題…。ひとびとの暮らしの課題が浮き彫りになりました。外交でもまあまあ強く出れたのも、安倍さんのおかげです。
惜しむらくは、東京五輪を経ないまま、職を辞することでしょう。
日本の総理大臣は、日本で一番の激務。ほんとうにそう思います。
いま、残業早出つづきで、会社でも下痢をしたりしながらも、業務をこなしている私には。
一度挫折した人間が、逃げたと後ろ指をさされた人が。
奇蹟的に花の舞台に舞い戻ることができた。
この事実は、滑り台のように這い上がることのできない人生を歩んできた者にとっては、希望でした。
安倍さんは、奥さんの言動といい、各省大臣といい、周囲からの足の引っ張り合いでストレスを感じることが多かったのではないかと思います。
しかし、安倍さんほど、日本の代表としてふさわしい人もいなかったのではないでしょうか。東大出の宇宙人のような首相よりも、よほど、いい仕事をしたはずです。願うならば、もうすこし、日本の顔でいてほしかったです。
安倍晋三氏が、日本再生のために尽力をしたこの数年間の業績は忘れられることがないでしょう。元号の転換期、日本の歴史に残る名宰相として語り継がれるのではないかと思います。おからだを大事になさってほしいものです。
私達は、なにかあると、政治家批判をやりがちですが。
政治家個々人ですら、どうにもならないことが発生しているのが現在です。
暮らし向きの悪さはそれぞれで、ひとりひとりが前向きに生きていかねばならないのでしょう。ですから、ネット上のあまり悪いニュースに脳を支配されて、感情を腐らせたくはないものです。他人の失敗に寛容でない社会は、いずれ、自分をも生きづらくさせます。
そして、コロナ禍で不穏な空気が支配する時代だからこそ。
われわれは、令和の意味にこめられた、法令のもとにみんなが和するという精神を今こそ忘れてはならないのでしょう。