ミシガン州アナーバー。
この街のことを知ってる人は、そんなにはいないと思うのです。
ですが、この街には、世界最大規模の「ピンボール・ミュージアム」があって、年に一度のピンボール祭、みたいなイベントは、それはそれは盛り上がるのだそうなのですよ。
モチロン、ワタクシは
「おおお、そうなのか。これは絶対見なアカン!」
とばかりに、アナーバーの街を訪ねることを決めました。
ところが、出発も近くなった頃にいろいろ調べていますと、どうもこのピンボール・ミュージアムは、その年に一度のお祭り(5月にあります)の時以外は閉鎖されているようなのです!
そんなバカな。
今や貴重になったピンボールマシンを、世界最大と言われるくらい集めて、年に一度のお祭りの、わずか3日かそこらくらいしか開放せずに、あとは閉鎖とか、そんなことあるわけない!
ところが、これがあるのですね、アメリカには!
アメリカさんってのは、時々そういうバカなことを平気でやるのですよ。
でもね、もうワタクシの旅の予定はすべて決まっていて、アナーバーに泊まることも決定しているのですよ!
今さら、そんな、ピンボール・ミュージアムは開いてないってことを知らされても!
ああっ・・・!!
・・・というわけで、はなはだやる気のない状態で、ワタクシはアナーバーの街に着いたのでした。
いや、思いのほか早く着けたので、一旦は街を通り過ぎて、北側の街はずれにあるピンボール・ミュージアムがあるはずのあたりへ行ってもみたのですよ。
開いてなくても、入れなくてもいい、せめて、外側だけでもミュージアムを見ることができたなら!
しかし、あらかじめ調べておいたその場所へ行ってみても、結局どれがそうなんだかハッキリ解りませんでした。
うーん、もう、なんなんだろ・・・。
・・・というわけで、もう一度言いますけど、はなはだやる気のない状態で、ワタクシはアナーバーの街に着いたのでした。
一応はね、この街でも別のゲームセンターのあたりはつけていて、それはそれなりに楽しめそうではあるのですが、それでもやはりピンボール・ミュージアム・・・。
グズグズした心を「いや! もう! そんなこと言ってもしゃあないやろ!」と気合で振り切って、さっさとモーテルを取って、もうあとは街中のゲームセンターで遊んでやる!
なんとか踏ん切りをつけて、狙っていた「モーテル6」に行きます。
前回の旅でもお世話になった、安いチェーンのモーテルさんですね!
ところが、このモーテル6さんは、
「予約は?」
なんてことを言うじゃありませんか。
ええ? 誰がモーテル6に予約なんかするんだよ?
「ありません」
と言うと「じゃあ、もう、話にならないぜ」みたいな感じで、
「満室です」
と言われました。
満室? モーテル6が!?
なんだよなんだよ、そんなことありえんのかよ、もしかして英語しゃべれない日本人だからメンドクサイとか思われたのか?
全力でここに泊まるつもりでしたので、ちょっと呆然としましたが、気を取り直して近くの別のモーテルさんに行ってみます。
ここもチェーンで、安そうな感じ。
だのに、ここでは、受付の女の子に、
「うーん・・・部屋はあるけど・・・157ドルもらわなきゃいけなくなるの」
と言われたのでした。157ドル! どこの高級ホテルやねん!?
そして、女の子の次のセリフで、ようやくこの事態の原因が解ったのでした。
「明日ね、フットボールのゲームがあるのよ」
ああー、そういうこと・・・。
ここ、アナーバーの街は、ミシガン大学がある学生の街。
フットボールはアメリカ人のみなさんが大好きなスポーツで、プロリーグのNFLも大人気なのですが、大学フットボールも盛り上がるらしくてですね。
たぶん日本で言うところの高校野球みたいな感じなんだと思うのです。
地元の学校が勝ってほしい、という感じのね。
明日は土曜日ですので、なるほど、まぁ、それでなくともいろんなイベントに格好ではありますね。
ああー、それでかぁ・・・。
これはもう、しかたない。
ワタクシはあっさりアナーバーで泊まることをあきらめて、じゃあ、先にゲームセンターで遊ぶだけ遊ぶことにしました。
店構えがカッコいい「ピンボール・ピーツ」です!
モチロン、ミシガン大学のそばにあって、いつも大学生があふれているお店なのでしょう。
おお、店内のネオンがまたカッコいい!
店名にある通り、ピンボールがたくさん並んでますが、
うわ! 「アースシェイカー」だ!
ワタクシ、好きなピンボール台はいろいろありますが「アースシェイカー」だけは別格!
ワタクシをピンボールの世界に落とし込んだ、悪魔のような、恋人のような、母親のような、先生のような、そんなマシンなのです!
しかも、ちょっとやってみると、奇跡のメンテナンス!
30年近く前の、出会った頃と同じプレイ感!
これはもう、やるしかない!
ピンボールってのは、ある得点を超えるともう一度プレイできるってのがありまして、昔はとにかくその点数を超えることを目指して、100円でいつまで遊べるか、みたいなプレイに燃えていたものです。
あの頃より、その点数の設定が高くなっていましたが、久しぶりにそんな気持ちを思い出して、思わず熱中してしまいました!
・・・さあ、じゃあ、行こっか!
はい、アナーバーをあきらめても、どこかで泊まらなければならないのは同じこと。
結局、次の日の最初の目的地である街を目指して、さらにドライブすることになってしまったのでした。
距離は約80km。時刻はもう夕方。
早くしないと真っ暗になってしまう!
そして、なぜかナビが案内するのは、高速ではなくて田舎道!
もしかしたら着いた先でも、また宿が取れないかもしれない・・・。
そしたらもう、どうすればいいのか、解らない・・・。
疲れて、気落ちして、不安になって、それでも運転をしなきゃいけないというこの状況で、はい、毎年恒例ですが、今年はここで頭痛がやって来ましたよ!
まだカゼも治ってない・・・って言うか、ドンドン鼻声がひどくなってるってのに!
いやーっ、これはたいへんだ!
今度ばかりは、死ぬかもしれない!
正直、なかなか辛いドライブとなりましたが、なんとか目指すフリントの街に着きました!
地図ではモーテル6だと思っていた宿が、ナイツインというまた別のチェーンになっていましたが、そんなのはもうどうでもいい!
「49ドルから」って看板にあったけど、いざ部屋を取ってみたら66ドル取られましたが、それも気にしないことにします!
部屋が取れて、本当によかった!!
そして! とにかく! 今はただ、ベッドに入らせて!
どうせどこかで頭痛は来るから、と用意しておいた痛み止めをむさぼり食って、ベッドに転がり込みました。
なんだか、やたら長かったような気がするDAY7、ようやく終了です!
<つづく>
この街のことを知ってる人は、そんなにはいないと思うのです。
ですが、この街には、世界最大規模の「ピンボール・ミュージアム」があって、年に一度のピンボール祭、みたいなイベントは、それはそれは盛り上がるのだそうなのですよ。
モチロン、ワタクシは
「おおお、そうなのか。これは絶対見なアカン!」
とばかりに、アナーバーの街を訪ねることを決めました。
ところが、出発も近くなった頃にいろいろ調べていますと、どうもこのピンボール・ミュージアムは、その年に一度のお祭り(5月にあります)の時以外は閉鎖されているようなのです!
そんなバカな。
今や貴重になったピンボールマシンを、世界最大と言われるくらい集めて、年に一度のお祭りの、わずか3日かそこらくらいしか開放せずに、あとは閉鎖とか、そんなことあるわけない!
ところが、これがあるのですね、アメリカには!
アメリカさんってのは、時々そういうバカなことを平気でやるのですよ。
でもね、もうワタクシの旅の予定はすべて決まっていて、アナーバーに泊まることも決定しているのですよ!
今さら、そんな、ピンボール・ミュージアムは開いてないってことを知らされても!
ああっ・・・!!
・・・というわけで、はなはだやる気のない状態で、ワタクシはアナーバーの街に着いたのでした。
いや、思いのほか早く着けたので、一旦は街を通り過ぎて、北側の街はずれにあるピンボール・ミュージアムがあるはずのあたりへ行ってもみたのですよ。
開いてなくても、入れなくてもいい、せめて、外側だけでもミュージアムを見ることができたなら!
しかし、あらかじめ調べておいたその場所へ行ってみても、結局どれがそうなんだかハッキリ解りませんでした。
うーん、もう、なんなんだろ・・・。
・・・というわけで、もう一度言いますけど、はなはだやる気のない状態で、ワタクシはアナーバーの街に着いたのでした。
一応はね、この街でも別のゲームセンターのあたりはつけていて、それはそれなりに楽しめそうではあるのですが、それでもやはりピンボール・ミュージアム・・・。
グズグズした心を「いや! もう! そんなこと言ってもしゃあないやろ!」と気合で振り切って、さっさとモーテルを取って、もうあとは街中のゲームセンターで遊んでやる!
なんとか踏ん切りをつけて、狙っていた「モーテル6」に行きます。
前回の旅でもお世話になった、安いチェーンのモーテルさんですね!
ところが、このモーテル6さんは、
「予約は?」
なんてことを言うじゃありませんか。
ええ? 誰がモーテル6に予約なんかするんだよ?
「ありません」
と言うと「じゃあ、もう、話にならないぜ」みたいな感じで、
「満室です」
と言われました。
満室? モーテル6が!?
なんだよなんだよ、そんなことありえんのかよ、もしかして英語しゃべれない日本人だからメンドクサイとか思われたのか?
全力でここに泊まるつもりでしたので、ちょっと呆然としましたが、気を取り直して近くの別のモーテルさんに行ってみます。
ここもチェーンで、安そうな感じ。
だのに、ここでは、受付の女の子に、
「うーん・・・部屋はあるけど・・・157ドルもらわなきゃいけなくなるの」
と言われたのでした。157ドル! どこの高級ホテルやねん!?
そして、女の子の次のセリフで、ようやくこの事態の原因が解ったのでした。
「明日ね、フットボールのゲームがあるのよ」
ああー、そういうこと・・・。
ここ、アナーバーの街は、ミシガン大学がある学生の街。
フットボールはアメリカ人のみなさんが大好きなスポーツで、プロリーグのNFLも大人気なのですが、大学フットボールも盛り上がるらしくてですね。
たぶん日本で言うところの高校野球みたいな感じなんだと思うのです。
地元の学校が勝ってほしい、という感じのね。
明日は土曜日ですので、なるほど、まぁ、それでなくともいろんなイベントに格好ではありますね。
ああー、それでかぁ・・・。
これはもう、しかたない。
ワタクシはあっさりアナーバーで泊まることをあきらめて、じゃあ、先にゲームセンターで遊ぶだけ遊ぶことにしました。
店構えがカッコいい「ピンボール・ピーツ」です!
モチロン、ミシガン大学のそばにあって、いつも大学生があふれているお店なのでしょう。
おお、店内のネオンがまたカッコいい!
店名にある通り、ピンボールがたくさん並んでますが、
うわ! 「アースシェイカー」だ!
ワタクシ、好きなピンボール台はいろいろありますが「アースシェイカー」だけは別格!
ワタクシをピンボールの世界に落とし込んだ、悪魔のような、恋人のような、母親のような、先生のような、そんなマシンなのです!
しかも、ちょっとやってみると、奇跡のメンテナンス!
30年近く前の、出会った頃と同じプレイ感!
これはもう、やるしかない!
ピンボールってのは、ある得点を超えるともう一度プレイできるってのがありまして、昔はとにかくその点数を超えることを目指して、100円でいつまで遊べるか、みたいなプレイに燃えていたものです。
あの頃より、その点数の設定が高くなっていましたが、久しぶりにそんな気持ちを思い出して、思わず熱中してしまいました!
・・・さあ、じゃあ、行こっか!
はい、アナーバーをあきらめても、どこかで泊まらなければならないのは同じこと。
結局、次の日の最初の目的地である街を目指して、さらにドライブすることになってしまったのでした。
距離は約80km。時刻はもう夕方。
早くしないと真っ暗になってしまう!
そして、なぜかナビが案内するのは、高速ではなくて田舎道!
もしかしたら着いた先でも、また宿が取れないかもしれない・・・。
そしたらもう、どうすればいいのか、解らない・・・。
疲れて、気落ちして、不安になって、それでも運転をしなきゃいけないというこの状況で、はい、毎年恒例ですが、今年はここで頭痛がやって来ましたよ!
まだカゼも治ってない・・・って言うか、ドンドン鼻声がひどくなってるってのに!
いやーっ、これはたいへんだ!
今度ばかりは、死ぬかもしれない!
正直、なかなか辛いドライブとなりましたが、なんとか目指すフリントの街に着きました!
地図ではモーテル6だと思っていた宿が、ナイツインというまた別のチェーンになっていましたが、そんなのはもうどうでもいい!
「49ドルから」って看板にあったけど、いざ部屋を取ってみたら66ドル取られましたが、それも気にしないことにします!
部屋が取れて、本当によかった!!
そして! とにかく! 今はただ、ベッドに入らせて!
どうせどこかで頭痛は来るから、と用意しておいた痛み止めをむさぼり食って、ベッドに転がり込みました。
なんだか、やたら長かったような気がするDAY7、ようやく終了です!
<つづく>