僕は4月で開業して２２年になる。開業した当初は、鍼が効かない時にどうして効かないのか相当悩んだ。
まだ治療家として経験が足りない面もあったが、それだけではなく鍼でその人を良くしようという考え自体が間違っているのだ。
鍼で良くしようと言う考えは、相手を鍼でコントロールして思いのままにしようと言う考えだ。このような考えで治療は決して上手くいかない。
僕は鍼を信じている。基本は鍼の理論どおり治療をし、あとは感覚と創造力、直観と閃きの世界だ。
そしてその鍼が響いたならば、それは確実に効いているということになる。ここで僕の仕事は終わりなのだ。
そうすると治療をした後に大まかに３つのパターンがある。
①その場で改善する
②何ら良くならない
③鍼をして帰宅してから症状が強くなる
②は鍼が効かなかったのではなく、かなり症状が重い。あるいは本人が反応することが出来ない身体であるということです。反応できない身体の人は③と共通点があります。それは日頃から薬を使用して症状を抑え続けている。そして食生活や生活が何らかの理由であまり良い状態ではない。
③このケースは特に薬を長年にわたり多用している場合が多い。そして不安を抱えており、依存性が高い。自分で治そうと言う意識が低く、どこかに良い病院は無いか、どこかに良い薬は無いか、どこかに良い治療家はいないか、どこかに良いサプリは無いかといつも探していて、日常生活がうまくいっていません。このような方は、常に自分の問題を外に置いており、良くならない原因は誰かの何かのせいとなります。
ですから来院された時に話を聞いていると、病院の批判や、治療家の批判、サプリに対する不満が多くなります。
このようなケースでは患者さんと治療家の双方に、治療をすることによって不利益が出てくる場合があり、お互いに心労が募ります。何ら良いことは生じません。
そもそもが病気になったのは本人の問題であるにもかかわらず、治療をした後に自律神経症状が出た場合に鍼の治療家の問題として認識されます。
不思議なことに自分の問題として捉えずに、さらに薬物と言う毒をたくさん摂取しており、その薬物が間違いなく毒であり、副作用が多数あるにも関わらず、そのことについては何も考えません。問題はそれである可能性が高いのにです。
これは鍼ではなく他の代替療法でも起こります。治療で傷害を負わせたのであれば、それは明らかに治療が問題でしょう。それは治療家も患者さんもすぐにわかります。
そのようなお互いの不幸を防ぐために、僕はきちんと時間をかけて講義や説明をします。どうすれば良くなるのか、どうやって良くなっていくのか。鍼の作用は、自律神経の働きは、症状とは炎症とは。丁寧に説明をして、ご理解いただけないのであれば、治療はしません。
それでも③の人は問題が残ります。治療をしないことへの不満です。これはこちらとしてはもらい事故です。
本当に困ります。どうしてもと言われて、なんとかしようと治療う引き受けると、今度は鍼をしている最中に、刺した鍼が痛いけど本当に大丈夫でしょうか？と治療中に尋ねられます。
止めても良いですよと言うと、いや頑張りますと。結局、治療が終わってから、電話がかかってきて症状がひどくなったとクレームになります。
もう説明しているのに再度説明しても納得せず、不満をもって二度と来ません。
薬を長年多用して、治らず具合が悪くなり治療家を訪ねる。こちらは丁寧に説明して同意を得て治療する、あるいはしない。
常に薬で症状を抑えている人に、鍼をすれば血行が良くなり身体の機能が働きだし、抑えていたものが症状として出る。これは当たり前の事、ここをどうやって乗り切っていくかという問題であり、誰かを責める問題ではありません。
このようなお互いの不幸を避けて、さらにそれを乗り越えてこの世界を快適に生きていけるようにするために根本的なことの講義と治療を併せて行うようになりました。
僕は今の人間の身体と心はどうなっているのか、自律神経はどうやって身体と心を維持しているのか、薬の作用は、薬は何をしているのか、鍼灸はどう作用するのか、症状とは何かということです。
そうやって、今に至るので患者さんとのお互いが不幸な出会いはほとんど無くなりました。
②のタイプの方は、①と③のどちらにでも転びそうです。
そういうことで、僕の治療院では③のタイプはほとんど見なくなりましたが、どうも世間では②③のタイプの人が多数いると思います。
②③のタイプの方はビジネスによる搾取の対象となっています。ぜひ、そこに気づいて乗り越えていけると良いと思います。
この世界に生まれてきたのです。もっと自由で創造的な世界を見つけてください。
追記
Xをフォローしてくれていた方へ
Ｘは締め出されました。どうやっても入ることが出来ません。従ってＸは辞めます。今までありがとうございました。
