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演出の方法:ディレクション(動きの指示)

 関西小劇場の先輩がテレビで「窓の方に行ってセリフを言ってくれ」と言われて「その動機はなんですか?」と悩みだす俳優がいて勘弁してくれと思う、と言っていました。その指示自体は、画面的な問題なんでしょうね、多分。
 言われたらとりあえずそうしたらいいんじゃないか、と言っておられました。私もその理由は自分で考えるもの、あるいは考えた方がよいんじゃないか、って思います。
 これ、僕なら「窓の外にトンビみたいな大きな鳥が飛んでいて、小さい頃に読んだ“ニールスの不思議な旅”に出てくる鳥みたいだなーって思ったんです」って説明します。あくまで聞かれたら、ですが。もちろん本当は構図としてそうして欲しいだけだったとしても、心理的理由を欲する人には、演出としては説明してあげたいな,と。
 例えば、指導に行かせてもらっているシニア劇団だったら「ここまでちょっと暗いシーンが続いていたんで明るくなる必要があって、さらにこのセリフはいろいろ大変な経験を歳を積むにつれてしてきた主人公が童心に帰るところなんです」など、物語上の必要など外面的な必要も含めて言います。
「自分が納得できなければ動けない」という役者の気持ちも分かります。一方で、演出は稽古場を止めないことが最優先です。結果的に細かい指示になるとしても、少しでも俳優が動くヒントになれば、と思います。
「体の動きに気持ちがついてくる」ということが私がYOU企画の現場で発見した一番重要な真理です。演出の出す指示はいつもコンクリート(具体的)でなければならない、と思っています。それで心情を言うのではなくて、何かしら具体的な動きの指示を出すことになります。
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