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演出の方法:ミザンセーヌ

 この台詞を言う時に、こういう動きをやってほしい、という“動きの台詞”を指示すると、せっかく覚えて来てもらったセリフが崩れてしまうことがあります。違う動きが入った途端に今まで言えていた台詞が崩れてしまう、と言うことが何度かありました。僕自身、俳優時代に体の動きと連動して台詞を覚えていましたし、そうなるメカニズムは体感として分かります。
 でも舞台美術があって、照明が当たるところがあって、観客席からの見えるバランスがあってという条件がある以上、最低限作ってきてもらった動きを変えないといけない事もあったりするのです。もしそうであるなら、最初から美術案も作り(前回までは美術もみんなで考慮する形でしたが今回は私が基本考えました。)ミザンス(ミザンセーヌともいう、動きの導線)もできるだけ早く作っておこうとしたのです。
 そのために借用したベラスケスとフェルメールなので、引用元をわかってもらうために、そこでしばらく止まったり、はする必要がありません。それを観客にお見せしたいわけではなかったのです。むしろ自然に見えれば見えるほど、パクったようには見えなければ見えないほど良かったのです。
 さらに漫画やアニメーションを研究してきた視線誘導の技術が、絵画を導入することで自動的に出来上がっているので、先日ビデオを見た時も、本当に綺麗な構図だな、と自分で感心しました(だって二大巨匠のおかげだから)。
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