〈以下、「峠のこと」から抜粋〉
「武士の世の終焉にあたって長岡藩ほどその最期をみごとに表現しきった集団はいない。運命の負を甘受し、そのことによって歴史に向かって語りつづける道をえらんだ。『峠』という表題は、そのことを小千谷の峠という地形によって象徴したつもりである。書き終えたとき、悲しみがなお昇華せず、虚空に小さな金属音になって鳴るのを聞いた」
文中の「小千谷の峠」は、小千谷市と長岡市の境にある「榎峠」かと。いま国道17号が通り、半世紀前にはドライブインがありました。新潟県中越地震で起きた大規模な土砂崩れから幼児が救出された現場でもあります。
余談ですが、「榎」といえば小説「峠」で主人公の河井継之助が師事した備中松山藩家老、山田方谷の元を辞すとき何度も振り返った場所には、その故事にちなんで名づけられた「見返りの榎」という木がいまもあるそうです。
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