あれから経って。
尾場勘吉は加奈子・寛一母子を怒鳴りこそはしたものの
生活支援の打ち切り・削除などは特には考えてはいないようだ。
それどころか生活支援のお金を今までよりは増やしてくれたようだ。
それというのもあれから加奈子は勘吉と話し合った所、
寛一が小学校一年の晩秋から小学四年生になるまでの数年間の
学校や地域の他の子供たちとの諍いの原因は、
どうも寛一と争っている彼らの家庭の親の職業が、
公務員や高級ホテルの支配人、日本の精密機器に必要な部分を作っている
東証一部上場企業の経営者、大学病院の教授、請け負う案件が常に五件や十件は
当たり前の凄腕の弁護士。自衛隊の階級が米軍の基準でいえば大佐以上の者、
警察官僚、中堅芸能事務所の経営者など、いずれも皆、これまでの加奈子より
高所得家庭だ。それを鼻にかけているためか、それらの子供たちは
自らの家庭環境を笠に来て高慢になる一方で寛一の家庭の事を生活が苦しい母子家庭と嘲り
寛一の事を将来は年老いた加奈子ともども共倒れか、介護疲れで年老いた加奈子を
殺害、若しくは老衰死したのを機に年金を不正受給しまくった挙句、逮捕され
獄死するだろうと馬鹿にしたのが原因だ。
寛一としては、自分が馬鹿にされるのはいくらでも我慢出来るが
母加奈子の事を貶められたのだけは憤怒を堪えられないという。
更に、言ってしまえば自分らの恵まれた家庭環境と境遇を鼻にかけて寛一の
家庭環境が現在、事実上の母子家庭状況である事を見下すだけでも
寛一にとっては腹立たしいのに、勝手な憶測と想像で
"この母子家庭はあと十年か、遅くとも二十年後には滅びる"などと
こっちの将来を勝手に決め付けられ寛一としては、もはや我慢の限界に達したと言えよう。
この事が対立の起源であり、両者が相容れる余地は何処にも見当たらなかった。
波風が立たなかったのは最初だけで、その後の寛一と彼らとの対立ぶりは
アニメや漫画におけるお互い不仲で対立している二人のキャラに例えられるほどである。
彼らは寛一のことを父方の苗字の尾場をもじって「おバカ」と扱き下ろし
寛一も寛一で彼らの事を「親の七光り」「親に似ずな無能の子」と侮る。
両者の対立は教諭が投げつけた椅子で教育委員会と文科省のお偉いさんが二人
亡くなられた件に至るまでで丁度ピークに達していた。
その後、教諭が逮捕され刑事裁判で実刑は避けられそうにない情勢になると
一案を思いついた校長は彼らと寛一との和解をさせようと図った。
当然、難航はした。彼らは寛一の身の程知らずぶりが許せないと鼻息を荒げ
寛一は寛一で、彼らのこれまでの言動や振る舞いが招いた結果であり
こちらだけが先に謝罪させられ相手が謝罪もしなけれ相手に
何のお咎めも無いのは納得いかないと、顔を歪めて苦々しい表情を露にする。
校長もPTAら面々も、まるで本物の政治の世界、外交の世界というモノを教えられる思いを
禁じえないのである。もしも下手に日本人的な道徳裁き、例えば
『喧嘩両成敗』とか『向こうも悪いが、お前にも原因がある』などといった事をしたり
二人の異性と二股がけしているヤツみたいな処理を試みようものなら
両方を敵に回す事になり、彼らはもう二度と大人たちを信用しなくなり
それが原因で中学に進学して以降は非行に走られるリスクを自ら生み出しかねない。
かといって、このまま手をこまねいてる訳にも行かないのも
この両者の関係が許さない。こうしている間にも、この子らと寛一は
どちらか一方が手を出したのをきっかけに大乱闘になるは必定だ。
結局、警察署長や社会福祉協議会関係者代表も加わった結果、
・尾場寛一は、社会の一員として秩序を重んじ他の社会や地域の皆と協調する。
・学校や地域の方は人間関係のトラブルの原因となる安易な言動や振る舞いを控える。
特に相手に対する暴言に注意。その事を各家庭の子弟にも徹底させる事。
という事で、寛一もその他も合意に至った。
これで、学校の皆も地域の皆も教諭ひとりの刑事処分と引き換えに
長きに亘る対立は一応の収束を見る事となった。
尾場勘吉は加奈子・寛一母子を怒鳴りこそはしたものの
生活支援の打ち切り・削除などは特には考えてはいないようだ。
それどころか生活支援のお金を今までよりは増やしてくれたようだ。
それというのもあれから加奈子は勘吉と話し合った所、
寛一が小学校一年の晩秋から小学四年生になるまでの数年間の
学校や地域の他の子供たちとの諍いの原因は、
どうも寛一と争っている彼らの家庭の親の職業が、
公務員や高級ホテルの支配人、日本の精密機器に必要な部分を作っている
東証一部上場企業の経営者、大学病院の教授、請け負う案件が常に五件や十件は
当たり前の凄腕の弁護士。自衛隊の階級が米軍の基準でいえば大佐以上の者、
警察官僚、中堅芸能事務所の経営者など、いずれも皆、これまでの加奈子より
高所得家庭だ。それを鼻にかけているためか、それらの子供たちは
自らの家庭環境を笠に来て高慢になる一方で寛一の家庭の事を生活が苦しい母子家庭と嘲り
寛一の事を将来は年老いた加奈子ともども共倒れか、介護疲れで年老いた加奈子を
殺害、若しくは老衰死したのを機に年金を不正受給しまくった挙句、逮捕され
獄死するだろうと馬鹿にしたのが原因だ。
寛一としては、自分が馬鹿にされるのはいくらでも我慢出来るが
母加奈子の事を貶められたのだけは憤怒を堪えられないという。
更に、言ってしまえば自分らの恵まれた家庭環境と境遇を鼻にかけて寛一の
家庭環境が現在、事実上の母子家庭状況である事を見下すだけでも
寛一にとっては腹立たしいのに、勝手な憶測と想像で
"この母子家庭はあと十年か、遅くとも二十年後には滅びる"などと
こっちの将来を勝手に決め付けられ寛一としては、もはや我慢の限界に達したと言えよう。
この事が対立の起源であり、両者が相容れる余地は何処にも見当たらなかった。
波風が立たなかったのは最初だけで、その後の寛一と彼らとの対立ぶりは
アニメや漫画におけるお互い不仲で対立している二人のキャラに例えられるほどである。
彼らは寛一のことを父方の苗字の尾場をもじって「おバカ」と扱き下ろし
寛一も寛一で彼らの事を「親の七光り」「親に似ずな無能の子」と侮る。
両者の対立は教諭が投げつけた椅子で教育委員会と文科省のお偉いさんが二人
亡くなられた件に至るまでで丁度ピークに達していた。
その後、教諭が逮捕され刑事裁判で実刑は避けられそうにない情勢になると
一案を思いついた校長は彼らと寛一との和解をさせようと図った。
当然、難航はした。彼らは寛一の身の程知らずぶりが許せないと鼻息を荒げ
寛一は寛一で、彼らのこれまでの言動や振る舞いが招いた結果であり
こちらだけが先に謝罪させられ相手が謝罪もしなけれ相手に
何のお咎めも無いのは納得いかないと、顔を歪めて苦々しい表情を露にする。
校長もPTAら面々も、まるで本物の政治の世界、外交の世界というモノを教えられる思いを
禁じえないのである。もしも下手に日本人的な道徳裁き、例えば
『喧嘩両成敗』とか『向こうも悪いが、お前にも原因がある』などといった事をしたり
二人の異性と二股がけしているヤツみたいな処理を試みようものなら
両方を敵に回す事になり、彼らはもう二度と大人たちを信用しなくなり
それが原因で中学に進学して以降は非行に走られるリスクを自ら生み出しかねない。
かといって、このまま手をこまねいてる訳にも行かないのも
この両者の関係が許さない。こうしている間にも、この子らと寛一は
どちらか一方が手を出したのをきっかけに大乱闘になるは必定だ。
結局、警察署長や社会福祉協議会関係者代表も加わった結果、
・尾場寛一は、社会の一員として秩序を重んじ他の社会や地域の皆と協調する。
・学校や地域の方は人間関係のトラブルの原因となる安易な言動や振る舞いを控える。
特に相手に対する暴言に注意。その事を各家庭の子弟にも徹底させる事。
という事で、寛一もその他も合意に至った。
これで、学校の皆も地域の皆も教諭ひとりの刑事処分と引き換えに
長きに亘る対立は一応の収束を見る事となった。