少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます⛩今年もよろしくお願いします!
新年一発目に紹介する本は、山田悠介著「貴族と奴隷」
「貴族の命令は絶対! 」――盲目の少年・伸也は、共に拉致された中学生たちと30人、この世の地獄に放り込まれた。「貴族」と「奴隷」に分けられ、劣悪な環境での強制労働。つきまとう死の恐怖。異常な環境で、少年たちの感覚は麻痺し、大切な友人までが壊れていく。伸也は誰より過酷な扱いを受けるも、優しさを失わなかったが、ついに……。
全盲だが、触覚に優れている主人公とその友人が突然ある実験に巻き込まれ、人間の本性に痛ぶられる話だが、惨たらしさは一級品である。
人間の本性は非常時にこそ現れる。そしてその暴走は最早止める術は無い。そうした悪意は悪意を持つことでしか対抗できない。
人間は皆同じだと伝えたかったのか、復讐なのかは定かではないが、主人公だけは無自覚な悪意に呑み込まれないことを願わずにはいられない終わり方だった。
スタンフォード大学の監獄実験を想起させるお話。