中村文則氏の最高傑作!物語はタイトルの通り、人々から物を盗む摺師の悲哀、心の闇がベースとなっている。そしてこの物語の構成は、旧約聖書が元になっている。古来の神話絶対的な存在、運命の下に動く個人、という構図である。
宗教の歴史を交え、運命とは何か、支配とは何かという究極のテーマは格差社会に生きる我々にとって、最早他人事と呼べない。中村文則著書の中でも私はこの小説が大好きです。自分と正面から向き合うことができる小説。
『掏摸(スリ) (河出文庫)』の感想
「その入ってはいけない領域に伸びた指、その指の先端の皮膚に走る、違和感など消え失せる快楽をー。」
これほどかっこよく悲哀を著した文章は他に見たことがない。著者渾身の意欲作。
『掏摸(スリ) (河出文庫)』の感想
「その入ってはいけない領域に伸びた指、その指の先端の皮膚に走る、違和感など消え失せる快楽をー。」
これほどかっこよく悲哀を著した文章は他に見たことがない。著者渾身の意欲作。
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