ミュージシャンの坂本龍一(70)が、5日放送のNHK「NHKミュージックスペシャル 坂本龍一プレイング・ザ・ピアノ」(後10・00)に出演し、がんとの闘病生活について語った。 2014年に中咽頭がんと診断され、寛解するも、20年に直腸がんが見つかり、一昨年1月に摘出手術を受けた。また、両肺に転移したがんを同年10、12月に摘出したと、昨年6月の文芸誌「新潮」で公表。自身のがんの進行度が、最も進んだステージ4であることも明かした。
番組では「2020年6月にがんであることが分かりまして、以来、あまり表立った活動はしていなくて。現在も治療を続けています」と、近況を報告。「かなり体力が落ちてしまって、1時間とか1時間半とか、通常のコンサートは難しいです。なので今回、ちょっとずつということで撮影して、それを編集してひとつながりのコンサートにして、発表しようということになりました」と、体調を見ながら収録に臨んだことを明かした。 一昨年は入退院を繰り返した1年だったという。
「2021年は何度も何度も入院して、手術して出てきて…何回もやってたからね。もちろん入院している間は病
「2021年は何度も何度も入院して、手術して出てきて…何回もやってたからね。もちろん入院している間は病室で曲は作れないんですけど、雨の音を聞いたり、景色をながめたりしながら。退院して帰ってきて、そのたびに体力がガクッと落ちて、少し回復して、ちょっと作ってみたいなっていう気持ちまで回復したら、たくさん(楽曲の)スケッチを書いてました」。闘病で創作活動を中断することもあったが、体力と気力が回復すれば音楽と向き合った。
今月17日にはアルバム「12」を発売する。「やらなきゃいけない仕事も抱えていたんです。退院して、そっちの仕事もやりつつ、自分のためのスケッチをしたのが自分としては薬になっているというか、よかったなと思いますね。ちょこちょこ日記のように書いていたスケッチがだいぶたまってきたので、そこから好きなのを12曲選んで。化粧も何も施さないで、その日作ったスケッチのそのままを12曲集めて、『12』というタイトルで出す予定です」と話した。
病気とともに生きながら制作した12の楽曲。坂本は「病気との闘いの合間に、心の平安を求めて書いていたスケッチなので、これまで大きな病気もしたことないから、初めての試みといえば初めての試みですね」と話し、「どのようにみんなに聞こえるのか、楽しみでもあります」と、反応に期待を寄せていた。
番組では、自身が「音がいい」とお気に入りのNHK509スタジオで、「Merry Christmas Mr.Lawrence」「The Sheltering Sky」などをピアノソロで収録。「ピアノソロとして録音したことのない曲をずいぶんたくさん取り入れて。昔の曲も引っ張り出して、新たにピアノソロとしてアレンジして、編曲して」と、精力的な取り組みを明かした。