こんにちは。
エルです。
津村記久子『サキの忘れ物』読了。
なかなかに豊かな短編集。
表題作のサキは女性の名前ではなく、人気のある男性作家の名前。
ブラックユーモアだけど「開いた窓」が面白かった記憶が。
表題作の主人公は高校を中退して病院の喫茶店で働く女の子。
友だちとも呼べないような女の子に良いように使われてる感がある。
それでもある日落とし物を見付けたことで、彼女の人生は動き出す。
この話と『河川敷のガゼル』は同じ匂いがする。
こちらの主人公は大学を休学している女性。
どういうわけか、とある人口4万ほどの市でガゼルが発見されて、そこから町起こしの様相を呈していく。
しかしいかんせん、ガゼルである。寒い所では生きていけないと、沖縄などの暖かな動物園で引き取られる事が決まり・・・。
ヒロインに加え、学校に行くのが苦痛な少年もガゼルを見に来るようになる。
彼の純粋なまなざしが、自分勝手な大人を切り裂くようだ。
その他、人間の嫌な部分を戯画化したような『行列』も面白い。
今日の良いこと・私は過眠なんだろうなというくらいよく寝る。だから仕事とあとは読書やビデオの細切れで一日は終わってしまう。
今日は帰宅後、庭の重たい樫の木の枝をゴミ集積所に運ぶ途中で従姉妹に会った(まあ近所なのだが)。ひとつ違いで遊びも喧嘩もしたが大人になるとしみじみ良い子だよなと思った。
些細なことがちょっと嬉しい。
皆様に幸運を!