妄想と戯言2

完全自己満足なテキストblogです。更新不定期。
はじめに!を読んでください。

関羽×呂蒙

2017-01-12 19:55:17 | 無双シリーズ
ついったで呟いたネタから。
※いたしてる表現あります。












牢から覗く微かな月明かりだけが、その男の乱れた姿を映し出す唯一の光だった。
けっして広くはないその部屋には、両の手を後ろに縛られうつ伏せに寝かされた男と、それを後ろから覆い被さるように犯す男。組み敷かれた男の露になった背中にはポツリ、ポツリと汗が浮んでいる。そしてよく見ずともわかる程に、男の身体は生新しい傷に包まれていた。何が、あったかなどとは聞かずとも伺えた。
ざんばらに広がった髪は男の顔を隠しているが、時折、唸るような声を漏らすその唇には血の赤色が滲んでいる。表情は見えずとも、その顔がどのように歪んでいるかなど、組み敷く男、関羽にとっては、想像するも容易いことだった。

「まだ、答えぬか」

ゆっくりと、だが確実に責めたてる。揺さぶられる背中には鞭で打たれた痕が赤黒く浮んでいる。その痛々しい背中にもう一度、次は言い聞かせるように、答えぬか、と問いかけたが、浅い呼吸を繰り返していた男は、震える肩越しに関羽をにらみ付けただけだ。その挑発的ともとれる様子に、スゥっと関羽の瞳から色が消えた。そしてより激しく、男を犯す。
二人の間に情などは存在しない。ましてや、互いに引くことなど考えもしない。ただただ、その行為を繰り返すだけだ。

男は知勇を兼ね備えたと名高きウワサの、敵国の将だった。捕らえ、拷問し、情報を得ようとしていた、はずだった。
何故、と関羽は考える。しかし答えは出ない。いや、そもそも、そんなものは在りえないのかもしれない。幸いにも、二人を見つめる唯一の存在は格子から覗く月だけだ。言い訳などは必要ない。

「…命を奪うことまでは命じられておらぬ。しかし呂蒙よ、与えられた刻までは、貴殿の命はそれがしが握っているのだ。もうしばらく付きおうてもらうぞ」
「ぐっ…な、にをっ、馬鹿な事を!」
「ほう……馬鹿とは?」
「っ、貴様のッ、あの義兄がここまでを望み、そして貴様のこの行動を許すとでも思っているのか!…それを『命じられた』などと、戯言を、ッ!」

男が言い終えると同時、鈍い痛みが背中を襲った。その晴れ上がった背中には真新しい歯形の痕が増えている。

「関羽っ、きさまっ!!」

油断していた刺激に、男は背を丸めその痛みをやり過ごそうとしたが、より一層、深く腰を進められ思わず首を仰け反らせてしまう。
痛みと、敗北感、そして言い表すことの出来ない感情がこみ上げた。それでも男が堕ちることはない。ギラギラと、獣のように鋭い眼光で関羽をにらみ続けている。

「うっ…あ、あ!」
「呂蒙っ、」
「あっ、か、関羽!貴様は必ず……!!」
「ああ、そうだな…だが、刻がくるその時まではっ」
「…ッ!!」

男の肩が大きく跳ねた。同時に、関羽は男の腰を掴み、深く、自身を埋め込んだ。下腹部に注がれたその熱い感覚に吐き気さえ覚える。快楽などはあるはずがない。己を犯すこの男の意図が読めない今、屈辱に耐えるしか、男に逃げ道はない。ただただ、刻が過ぎることを願う。
そんな男の背を見下ろしながら、関羽は小さく息を吐いた。急ぐことはない、明日の日出までは、と。


まるで互いの心など分かろうともしないその愚行を嘲笑うかのように、牢を照らしていた月は東の暗闇へと吸い込まれていった。










オチなんてないよ勢いで書いたからね!
どっちかといえば関羽→呂蒙さん。

お粗末さまでした。

それはまるで、杯に浮かぶ月のように(魯粛×呂蒙)

2017-01-12 19:53:17 | 無双シリーズ




急ぐ必要はない。そう言ったはずのアナタが取ってきた行動のどれを思い返しても、その言葉を理解することなどオレには到底無理だった。それでもこうして共に歩むうち、その答えなど、とうに...





「どうした、呂蒙」

疲れたか。そこまで続いた言葉によって、ぼんやりと一点だけを見つめていた己に気づき、ハッと顔を上げた。
先ほどまでの心地良い騒音は遠くに響き、雲から覗く月明かりがぼんやりと、隣に座る男の顔を映し出す。声こそは出さないが明らかに楽しげな笑みを浮かべている。

「戻るか。それとも部屋で休むか?」
「いえ、平気です」
「そうか。だが、呑むのはこれで終いにしよう。明日の軍議に響いては話しにならんからな」
「はい...魯粛殿」

差し出された杯を受け取る。いっぱいまで注がれた酒には月が入り込み、この質素な庭園に趣を造り出す。
遠くからは男たちの笑い声が響いている。まだ続くのであろう宴は盛り下がる気配もない。
ぐいっと杯を傾ける。魯粛殿も同じようにそれを飲み干していく。おそらく互いに、抜け出したことを後悔はしないだろう。

「魯粛殿」
「ああ、なんだ?」
「...聡いアナタのことです。オレの考えなど、とうにお見通しでしょう」
「......」
「アナタが違うと言うのならば、恐らく、そうなのでしょうな」
「......」
「だが、この想いは.....ああ、いや、違うのです魯粛殿。オレはアナタを尊敬している...尊敬、しているからこそ...」

酒のせいか、伝えたいと思うことは山ほどあるというのに。だらだらと溢れる言葉は、己の意思とは真逆の意味を繋いでしまう。
俯くオレに魯粛殿の表情は分からない。ただただ静かに、オレの言葉を受け止めている。込み上げてしまったこの気持ちをどう吐き出せばよいのか。ふと、目頭が熱く動いた。

「魯粛殿、オレは...言葉遊びに興じる気など、微塵も...」

ないのです、と続けようと声を絞り出したその瞬間、杯に浮かび揺れていた月が一瞬、その姿を隠してしまった。何が起きたかなど理解できないほどに、そこに落とされたものが誰の涙か、など。
泣いてしまったことに気づいたのか、はたまた偶然のような頃合いで肩を掴まれ、顔を覗き込まれる。魯粛殿の瞳には情けない顔をした己が写りこんでいた。互いの視線が嫌でも交わるこの距離は、段々と危うい感情を呼び起こしていく。呂蒙、と先を促す低い声が鼓膜に響いた。

「...アナタは以前、答えを急ぐ必要はないと、仰いましたな」
「ああ...」
「いつ尽きるやも知れんこの時代を生きるオレたちに、その言葉は一番アナタらしくないと、あの日から常に考えておりました...」
「......」
「逃げたのはどちらでしょうな、魯粛殿」

少し、生ぬるい風が吹いた。酒によって火照った身体には居心地が悪い。
この、宴会場から離れた庭園を選んだのは魯粛殿だった。風通りが良いわけでもなく、ただ月がよく見えるから、と。
抜け出すことを提案された時には覚悟を決めていた。それはおそらく...いや、魯粛殿とて同じはずだった。逃げることで楽にはならない。かと言って、進むわけもないのだ。
じろりとその顔を見上げれば、いつもの笑みが真剣なものに変わる。そして先ほどよりも低く、唸るように、呂蒙と。

「...その先はおそらく、互いを狂わせる選択になるやもしれんのだぞ」
「フッ...今さらですな」
「...泣いたと思えば次は笑うか」
「いいえ、違うのです魯粛殿。オレたちは......最初から、終わることを恐れてさえいなければ...始まってもいないことを、恐れてさえいなければ...」

自然と、互いに手を掴み合う。

「...良いのだな、呂蒙」
「...アナタこそ」

見上げた瞳が大きく揺れる。覚悟と、後悔と、見出だしてしまった答えと。全てを今吐き出すかのように、自然と、互いの唇を引き寄せ合った。深く求めるように頭を押さえつけられる。
荒い呼吸と鋭い視線を交わしながら何度かその行為を繰り返し、ようやく離れてもなお、視線だけはまるで睨み合うかのように離れない。
いつの間にか側で転がっていた杯に、こぼれてしまったであろう酒と、あの危うい月を思い浮かべる。

「熱いな、」
「...酒のせいでしょう」
「フッ...」


そうしてまた、月夜に浮かぶ二人の影が重なった。










みたいな粛蒙がみたいなーって(笑)
お粗末さまでした!

酔っぱらいの一歩(凌統×呂蒙)

2017-01-12 19:50:40 | パロディ

現パロで凌統→←呂蒙さんの短いお話。酔った勢いて勇気を出した凌統くんと受け入れる呂蒙さん。












「あんたのひとみには、にごりがないんだ」

春も近づく暖かい季節にしても、夜の冷え込みはまだまだ侮れない。身震いする程度の冷たさに包まれた部屋に響いたその舌ったらずな口調が珍しく、あんた、と呼ばれた男は思わず目の前の青年を凝視した。うつらうつらと舟を漕ぐ様子に、これまた珍しいとタメ息を吐く。

「酔ったか、凌統」

呼ばれた青年は一呼吸を置きゆっくりと、いいや…と呟いた。
小さなローテーブルに並べなれた肴と、既に空になっているアルコールの数々。青年はまだ飲み足りないからと、秘蔵のブランデーをちびりちびりと舐めている。明日はお互いに休みだから、と青年がアパートの自室へと招いたのは、大学からの先輩に当たる男だった。

「よってなんて、いませんよ」
「そうか。なら良い」
「なにがいーんですかい?オレのはなし、きいてました?」
「ああ、すまん。オレの瞳がなんだ?」
「きれーだなって、おもって…」

ふふふと普段より無邪気な笑みを作った青年は手にしていたグラスを掲げ、意気揚々、といった様子で男の瞳を覗きこんだ。いきなり目前に広がった楽しげな顔に、男は茶色がかった瞳を濁らせぐっと眉間を寄せる。その表情が気に入ったのか、青年は愉快そうにロックグラスを掲げてみせた。煽るわけでもなく、ただゆらゆらと弄ぶ。

「やめんか、酒が溢れるぞ」
「フフ…そいつはたいへんですね」

愉快そうに首を傾げる青年はゆっくりと男から視線を外した。定まらない熱のある瞳はコロコロと色を変えて楽しげに歪んでいる。この青年が、酒に溺れるような質ではないという事を男は理解していた。青年をここまで酔わせる原因までは分からないが、仕事やプライベートで何かあったのかもしれない。
何にせよ、凌統、と呼ばれた青年が普段とは違う雰囲気を漂わせている事に違和感を覚えながらも、男はそのじゃれ合いに付き合うしかないのだ。

掲げられたグラスに浮かぶ大きめの氷がカランッと傾いたと同時、男はそれを青年の手から奪いとった。もう止めておけ、と優しく言い聞かせれば、不服そうな顔を覗かせる。それでも普段の案外真面目な彼らしさが残っていたのか、はいはい、と呂律の怪しい口調で素直に頷いてみせた。

「言っときますがね、りょもうさん。オレはまだのめるんですよ」
「そうか」
「でもね、アンタがやめろっていえば、オレはそれに従うしかないんだ。アンタにきらわれたくない」
「それくらいで嫌ったりはせん」

何年の付き合いになると思っている、と続けた男は凌統から取り上げたグラスを一気に傾ける。強いアルコールの匂いと、ブランデーの微かなまろやかさが喉を刺激したことにグッと眉を寄せるが、同時にカラカラと廻る氷が熱くなった唇には心地良い。男はそのまま、グラスに残っていた酒を飲み干した。キュウっと喉奥が締まる感覚に、これでは凌統が酔うのも無理はないかと、どこか他人行儀な感想を漏らす。そんな男をじっと見つめていた凌統はやはり愉しげに息を吐いた。

「きれーですね、りょもうさん…」
「ん?」
「だから、りょもうさんのひとみがね、キレーだなって」
「さっきから何が言いたいんだ、おまえは」
「…なんでしょうね。なにがいいたいんだろう、オレ」
「凌統?」
「りょもうさんにきらわれたくなくて、でもアンタのひとみがキレーで、オレは、アンタにつたえなきゃならないことがあって…」

だらだらと中身などないのであろう言葉ばかりが凌統の口から溢れ出る。言い淀む素振りを見せながら、それでも「何か」を伝えたいのは確かなようで、先ほどまで垂れ下がっていた虚ろな瞳がしっかりと、男を捕らえた。酔っていると思い込んでいた相手から不意に向けられた強い視線に、男の心臓がドキリと跳ねる。思えば、飲みに来ませんかと誘うその電話越しの声からして違和感はあった。アルコールを口にするペースも随分と早かったように思う。まるで自分たちの周りだけ熱が帯びているかのように、男の額にはうっすらと汗が浮かんでいた。

「りょもうさん」

呼ばれ、視線をあげる。

「オレがね……たとえば、オレが、」
「……」
「この一歩を踏み出せたとして…そうしたらアンタのそのキレーなものが、よごれちまうんじゃないかって…オレがよごしていいものなのかって」
「凌統…」
「りょもうさん、オレは…」

泣きそうな、という表現と、精一杯、という言葉がしっくりくるように、凌統の纏う雰囲気が弱々しく支配されていく。対する男も、また然りという風に言葉を詰まらせていた。お互い変わってしまうその瞬間を恐れているのか、視線だけが静かに絡み合う。しばしの沈黙。どちらも強い瞳で相手を見つめている。そして存外にもその一歩を踏み出したのは、凌統だった。

「さいしょから言ってますがね、」
「ああ」
「よっぱらってなんて、いないんですよ。でもオレは、認めたくはないが臆病者だから…」
「…ああ」
「オレはこわいんですよ、アンタを変えちまうんじゃないかって…その瞳が、汚れちまうんじゃないかって……何よりも、好きだから」

恐る恐る、凌統は言葉を溢す。そして、消え入りそうな声でもう一度「すきだから」と。声に力こそ無かったが、視線だけは外れることもなく、その気持ちが本物である事を裏付けている。
男はいつの間にかキツく握られていた自身の拳に気づき、ふと息を吐いた。視線だけは逸らさない。凌統が精一杯の態度と言葉で示したのだ。後は、自分次第か。男はゆっくりと言葉を選んだ。何と言えば目の前の青年の気持ちに応えてやることが出来るか。安心させてやれるか。どうすれば、気持ちを伝えることが出来るのだろうか。

「凌統」

随分と見つめ合った気がする。一呼吸置いてから、男は意を決したように、その名を優しく呼んだ。赤らんだ瞳が迷うことなく男を射抜く。不安と、微かな確信とが入り交じったような、そんな瞳だった。

「…言葉にするには少し遅すぎたのかもしれんな」
「呂蒙さん…」
「凌統。オレも、お前が…」


カラン。
随分と小さくなった氷が水滴を作りながら静かに鳴ったと同時、男の言葉はその音に紛れ、ゆるりと、溶けていった。






おわり。

オチと季節感がない。お粗末様でした!


夜明けに泣く(魯粛×呂蒙)

2017-01-12 19:48:27 | 無双シリーズ


泣くとかタイトルにつけたけどまったく悲しいお話とかじゃない魯粛×呂蒙。短いよ!










「...正気ですか」

普段のしかめっ面をより一層、険しくした目前の男からの問いに頷いてだけ返すと、まるで信じ難いものでも見ているような顔でもう一度、次は口調を強くして同じ問いを繰り返した。
少し涼しくなったからと、酒を理由に呼び出したのはいつ頃だったか。結局は用意した肴にも手をつけることなく、このようなやり取りを繰り返すだけだ。

「何度も言わせるな」
「し、しかし魯粛殿...これはあまりにも...」
「ならばおまえは、オレを抱くことが出来るか?」
「......」
「観念することだ。なに、悪いようにはせんさ」
「いえ、その...ですが、」
「何だ、歯切れの悪い...よもや臆したとでも言うまいな、呂蒙」
「そのような言い方は止めてくだされ!」

向かい合うように座るオレたちの直ぐ横には寝台と、所謂そういう事に使うための生々しい道具が並べてある。
用意したのはオレだが、昨日今日の話しではない。目の前で目を泳がせるこの男と想いを確かめ合ったその時より、準備はいつでも万全だった。だと言うのにオレたちは、それをどちらに使うのか、等という初歩でつまづき合う始末。
男同士だ、抵抗はあるだろう。しかし、先ほどから言葉を濁し続ける呂蒙の意図がいまいち理解できないでいる。
怖い、というわけでも無さそうだ。ではやはり、想いと欲情は別だと、そういう事なのだろうか。

「...オレはな、この際、情を交わすか否かは、どちらでもよいと思っている。だが今のおまえのように煮え切らない態度をとられてしまっては、未練も残るというものだ...おまえの気持ちに嘘偽りはないのだろう?」

とりあえずは本心を探るためにと発した言葉だったが、誠実なこの男には幾分かの動揺を与えたようで、腰かけていた椅子を倒すほどの勢いで立ち上がりオレを睨み付けてくる。
まるで、探ろうとしていたオレの内心を見透かしたようなその様子に、この男も成長したものだ、とどこか他人事のように思えてならなかった。当事者だというのに、おかしな話しだ。
微かに震える拳を握り締めたのを横目に、まさか殴るつもりか...と、この男の堪忍袋をそこまで刺激してしまった己を浅はかだと悔やむ。普段は軍師だ策士だと頼られる存在だというのに、この男の前だと、どうにも答えを焦る癖があるらしい。
事が起こる前に謝罪してしまおうと、とりあえずは落ち着かせるために立ち上がる。同時に見上げてきた瞳には、羞恥の色が浮かびあがっていた。

「魯粛殿、アナタは今、勘違いをしている!オレにも欲はあります。だが、相手がアナタとなれば話しは別です!」
「ああ、呂蒙、すまなかった、オレはそういうつもりで言ったのでは......うん?」
「オレはアナタをお慕いしているのです!それを、此のような行為などしてしまっては...余計にアナタのことを......」

そう言ったあと、ハッとした顔でオレを見つめ返してくる。わざとらしく片眉を上げて返してみせれば、これでもかと顔を赤らめてしまった。
自分でも何と言葉にしたのか理解していないようで、互いに無言で椅子に座り直す。また目を泳がせ始めた呂蒙と、この男の真意を整理しようと考えこむオレとの間には、妙な空気が流れていた。
なるほど、そういう事か、と内心で安堵の息を吐く。やはりどうにも、この男の前では何もかもを急ぎすぎるようだ。

「呂蒙、やはり今夜おまえを抱くことにした」
「はっ...え、は?」
「なに、心配はいらん。何も今日すぐに交わるというわけではない。こういうものは慣れることが重要なのだ。戦と同じでな」
「そ、そういう問題ではっ...」
「もう聞く耳は持たんぞ、呂蒙」

次に反論を述べようとする前に腕を掴み寝台へと誘導する。魯粛殿!と目に見えて焦る声が聞こえたが、時とて黙認することも必要なのだ。
寝台へと押し倒してみるが、もっともらしい抵抗がないところを見ると、やはりそういう事なのだろう。

「...フッ、想いが強すぎるというのも考えものだな、呂蒙よ」
「アナタはまた、そのような言い方を...!」

寝間着代わりに着ていた、薄い着物に手をかける。反射的にその腕を掴まれるが問答は無用だ。いやしかし、流石は武勇で名を馳せる将だけはある。

「...ああ、そうだ」
「っ、え...?」
「慣れろ、とは言ったが、初心は忘れるなよ、呂蒙」
「しょ、初心?なにを...」
「おまえは存外に人を惹き付けるらしい」
「......」
「油断するなということだ。他の者に身体を許すなよ」
「なっ!」




直に、夜が明ける。



















たぶんこの後、呂蒙さん泣くだろうなと思ってこのタイトルにしただけだよ意味なんてないからね。

お粗末さまでした!


初夜(魯粛×呂蒙)

2017-01-12 18:56:27 | 無双シリーズ


※この作品には性的表現が含まれています。観覧は自己責任となりますのでご注意ください。
またTwitterにてお世話になっているさくまさん(@cap_i_)の素敵すぎるイラストから、背景やセリフをお借りしている部分がご在います。もしTwitterでいいねやリプライをする場合は失礼のないよう、お願いします。

「夜明けに泣く」の続編となっていますが、読まなくても大丈夫です。














『いつもと違う空気』というものは意外にも身近に転がっているものだ。時には食事中、またある時には鍛練中。そして現に、自分がこの身をもって体験している、と呂蒙は複雑な気持ちで目前の男を見上げていた。

普段は纏められた艶のある黒髪がまるで余裕など無いと言いたげに乱れ、穏やかな声色がほんの少しだけ上擦り、いつも諭すように己を見つめるその瞳には、確かな欲望がくっきりと浮かんで見える。こうも分かりやすく主張するのが珍しくもあり、同時に呂蒙はひとつの確信を抱いた。

おそらく今夜、自分はこの男に「抱かれる」のだろう、と。




ー初夜ー



幾度かの逢瀬を繰り返すうちに交わしてきたその行為。何事にも準備が必要だ、と半ば強引に組敷かれたあの日から、どれだけの時を共に過ごしただろうか。最初こそ、羞恥からくる戸惑いや男としての威厳を崩されていく実感に何度も制止の声をあげていた。しかし慣れというものは恐ろしく、ゆっくりと丁寧な順序を踏まれたその行為。
悔しいが、と呂蒙は息を飲んだ。不安であると同時に期待している自分がいる、と。

呼び出されたのはあの日から一月程が過ぎ、月の満ち欠けが趣を感じさせるような、そんな美しい空が印象的な夜だった。曇りひとつ無い月明かりが部屋の格子戸から男たちの姿を照らしている。微かな息遣いと乱れた衣服の擦り合う音が心地よくもあり、何処か初心のように浮わついた快感が呂蒙を支配していた。

「うっ…」
「大丈夫か」
「っはい…」
「……指を増やすぞ」

ぬるり、と呂蒙の股下を撫で上げ、少しでも不安を抱かぬようにと、彼を組敷く男が優しく問いかける。はい、と震える声を絞り出し、小さく息を飲むその姿に安堵した男は、側らにあった潤滑油を取りその手に滑らせた。

いつものように、まずは受け入れる側の負担を減らすためにと解すように動いていた指が、呂蒙の良い処を掠める。その都度、軽く腰を揺らして逃げようとする彼に、組敷く男…魯粛は、宥めるような仕草でその顔を覗き込んでやった。愛しい相手の全てを把握するようにゆっくりと、じっくりと時間をかけて解してやる。恥じらいが完璧に無くなったわけではないだろうと、その箇所だけに向けられる快感を誤魔化す為に額へ、首元へ、鎖骨へと唇を滑らしていく。敏感になった肌は薄く色付き魯粛の触れた箇所からじわりと広がっていった。

「辛くは、ないか」
「ッ、」

既に三本の指が動く其処を、様子を伺うようにぐるりと掻き回され途端に呂蒙の吐息に色が混ざる。自然と噛み締めてしまう頬に、そっと手を添えた魯粛の息もまた上がっていた。その様を見上げ、思えば如何なる時でも気遣いを忘れない男だった、と呂蒙の瞳が切なげに揺れる。

慣れることが大切だと説明をされたあの夜からの長い毎日を思い出す。辛かったはずだ、と彼の瞳を見つめたまま、丁寧に動く指の動きに合わせるように深く息を吐いた。同じ男だ。挿入できない辛さや苛立ちは痛いほどに解る。解ってしまうからこそ、魯粛が本気だという実感が嫌でも伝わってくるのだ。
気持ちの整理を済ます期間など、当に過ぎているだろうに。

「魯粛殿……俺はもう、っ大丈夫です…だからっ」

そっと魯粛の肩を抱き寄せる。微かに震えた其処から熱が伝わり、呂蒙を見下ろす瞳には期待と安堵の色が浮かび上がった。

「お願い、しますっ…」

次の瞬間、先ほどまで優しく、そして労るような瞳を浮かべていた魯粛の顔に笑みが溢れた。
愛しそうに呂蒙の髪を撫で上げ、互いに密着していた身体の体温が高まる。それを直に感じ、ぞわりと背筋を粟立てた呂蒙を見下ろす魯粛が、熱のある視線と共に優しく微笑む。その表情にいつもの気遣いなどは感じられない。欲しいがまま、普段より幾分か低く捻るような声で、ようやくだな…と呂蒙の耳元で呟く。

「魯粛殿……?」
「フッ、いやなに…」

改めて呂蒙に覆い被さった魯粛の、その瞳が欲望の色と共に楽しげに揺れている。

「ようやくお前を抱けるのだな…呂蒙」
「っ、アッ…!」

言うが早いか、魯粛の其れが軟らかくなった穴をイヤらしく掠める。何度か繰り返し、そしてゆっくりと当てがった。咄嗟に、魯粛を抱き寄せる呂蒙の腕にも力が入るが、それさえも愉しむように目を細めた魯粛は、呂蒙の足を抱え直し、ずぶり、と柔らかくなった其処に自身を埋め込んでいく。

「魯粛、殿ッ!」
「案ずるな、呂蒙」
「っ……!」
「決めたからな…優しく、丁寧に、と…」
「うッ!」

ゆっくりと腰を押し進める。普段の慣れ親しんだ指とは異なるその感覚に、抱え上げられた呂蒙の内股がぶるりと震えた。魯粛は反射的に引こうとする腰を掴み、より深く繋がろうと押し入る。

「あっ、あっ!」
「ッ、こら、逃げるな、呂蒙」
「しかしッ、魯粛殿っ…」
「もう少しだ、っ」
「ッ!」

ピタリ。肌と肌が触れ合う限界まで射れられ、拡げられた其処は赤く充血し、呂蒙が荒く深呼吸を繰り返す度に、まるで魯粛自身を離さんとばかりに吸い付いてくる。大丈夫か、と一応の気遣いを見せる魯粛の顔にも、余裕などは見当たらない。弛く腰を揺らしながら、その動きを徐々に変えていく。

「ハァ、あっ、あ!」
「っ、」
「ろ、しゅくどのっ!」
「呂蒙っ」

ゆっくりと挿入し、そしてまたゆっくりと腰を引いていく。幾度かそれを繰り返し、少し強めに中を擦ってやると呂蒙からは上擦った喘ぎが漏れる。

丁寧に、時間をかけて解された内部の何処を刺激すれば良いかなど、とうに身体が覚えている。魯粛の動きがより深く激しいものへと変わり、呂蒙の口は無意識に彼の名前を繰り返すばかりだ。どうにか快感をやり過ごそうにも、敏感になっている其処を突かれる度に背中は仰け反り、情けない声が漏れてしまう。

「あっ、魯粛、殿!くっ……アァッ!」
「っ、」

荒々しい息を吐き、たが、それとは対照的に優しい顔付きで魯粛は呂蒙の頬に触れた。低く通る声が、気持ち良いか?と言葉を紡ぐ。その間も肌と肌のぶつかる乾いた音が彼らの鼓膜を甘く刺激し、激しかった律動も緩かなものへと変わる。
虚ろ気だった呂蒙の視線が、熱と涙を浮かべながらも魯粛を捕らえた。そして彼の問いに答えるように、その緩かな律動に合わせて自ら腰を揺らして見せる。

「おまえという奴はっ…」

普段の彼からは想像もつかないその様に、魯粛は自身の熱が一気に中心へ集まるのを感じた。こうも自我が抑えられないとは、と己の不甲斐なさに戸惑いながら、その欲に忠実に、手と手を絡め合う。

「どうなっても知らんぞっ」

それはまるで、怒りすら感じられる程に強い意志を含んだ言葉だった。優しくしなくては、と思うだけならば簡単だ。だがどうにも、この男を前にした自分の不甲斐なさは相当のものらしい、と魯粛は切なげに顔を歪める。普段の彼らしからぬその表情に、向けられた呂蒙自身もまた、言い表すことの出来ない苦しみに心を奪われていた。

「魯粛殿…オレは……覚悟など、とうにっ」

それだけを返した呂蒙は、絡められた手を強く握り返す。次の瞬間、はた、と動きを止めた魯粛の、其の口元が大きく歪んだ。

「魯粛、殿……!」
「なるべくお前の負担にならぬよう努めるが…」
「あっ、あっ…」
「もう、我慢は効かんぞ」

不適な笑みが溢れた。今までとは違う、明らかに遠慮の無い動きで腰が押し進む。途切れていたはずの突然の快感に、呂蒙から一際大きな喘ぎが漏る。そしてそれが合図だとでも言うように魯粛の動きが激しいものへと変わっていった。

「ろ、しゅっ…どの!」

ただただ、されるがまま。その、欲する為だけの激しい動きに合わせて漏れる声が虚ろに揺れる。ようやくだ、と互いに絡める指をいっそう強めた。

「呂蒙っ、」
「魯、粛っどの!」

先ほどまで輝いていた月明かりに影が射す。まるで、これ以上この二人の一時を覗く事を野暮だとでも言うように、そっと雲の裏側へと隠れてしまう。


今宵の逢瀬は、まだ続く。







おわり!


もう勘弁してってことで中途半端に終わりましたが、書きたいことがまとまらなすぎて。もうヤダ誰か続き書いて。
最後にさくまさん、素敵な絵をありがとうございました!

お粗末さまでした。