32都府県でシーズン到来
各地で花粉シーズンが到来している。
花粉症は5人に2人が患っているとされる
「国民病」。
くしゃみや鼻水は集中力を低下させ、
勉強や仕事への影響も軽視できない。
政府は花粉症を社会問題として位置
づけ、昨年取りまとめた
①発生源
②飛散
➂発症
などの3本柱の対策を実行する方針。
治療の選択肢は広がっており、専門医は
重症化する前の受診を呼びかけている。
広がる治療選択肢
関西圏に住む団体職員の女性は、1月中旬、
鼻水が止まらない長女(11)に付き添い、
近所のクリニックを訪れた。
感染症かと不安になったが、花粉症の
治療薬を処方され、例年より早いシーズン
到来を感じたと言う。
数年前からアレルギーに悩む長女は集中力が
続かず、一時は塾の成績が降下。
マスクは息苦しいと着用を嫌がり、女性は
「勉強が手につかないほどボーっとして
しまい、心配」
と気をもむ。
花粉症の子供は少なくない。
ロート製薬が0~16歳の子どもがいる
7131人を対象に、1月下旬に行った
インターネット調査で、自分の子供が
「花粉症と診断された」
「花粉症だと思う」
と答えたのは計42.6%で、平成26年調査
から9.9ポイント増えた。
日常生活への影響(複数回答)で
「勉強に集中できない」
は最多の24.9%に上った。
2月下旬はいえ、各地は相次ぎ花粉シーズンを
迎えている。
民間気象会社ウェザーニューズによると、
大阪や兵庫など32都府県がシーズン入り
をし、うち東京や神奈川、長崎など10都
県は本格シーズンを迎えた。
これから全国的に気温が上昇し、飛散量が
増える可能性がある。
花粉症にうんざりしている人も多いだろう。
環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」
によると、
花粉症の人の割合(有病率)は、令和元年に
42.5%で約20年前の平成10年(19.6%)の
2倍以上に。
花粉飛散量の増加や生活環境の変化に伴い、
かかりやすくなっているとみられる。
こうした現状を踏まえ、政府は昨年10月に
「初期集中対応パッケージ」を取りまとめた。
令和15年度にスギ人工林の約2割減少を目指し、
花粉飛散量の予測精度を向上させる。
患者の通院負担を軽減するため、医師が出した
処方箋を一定期間繰り返し使える「リフィル
処方箋」の活用も促す。
花粉症の治療
花粉症治療を長年続けている、耳鼻咽喉科医院
によると、アレルギー反応を抑えるため、
原因物質を長期間投与する「舌下免疫療法」や
注射を受ける患者も増え、
「治療の選択肢は広がっている」と話す。
同医院では食塩水による鼻洗浄も指導。
うがいや手洗いと同様、日常化することで
アレルギー物質を除去し、症状の緩和が
見込めるという。
院長は、
「症状が改善されない場合は、医師の
診断を受けてほしい」と話した。