路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.04】:別れることも生きた証なのだろう 伊集院静さん、ノボくんのもとへ

2023-12-25 08:01:20 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.04】:別れることも生きた証なのだろう 伊集院静さん、ノボくんのもとへ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.04】:別れることも生きた証なのだろう 伊集院静さん、ノボくんのもとへ 

 亡くなられた伊集院静さんとは10年ほど前から、ほぼ季節ごとに杯を交わしてきた。奥さまの篠ひろ子さんが「強がりを言って誰にも会わずに逝ってしまい」とコメントされているように、無頼、ダンディズムの作家と強がりは切り離せない。

作家の伊集院静さん

                作家の伊集院静さん

 そんな伊集院さんに、ひととき強がりの衣を脱がせたのは愛犬のノボくんだった。「私以外の者がノボを東北一のバカ犬と呼ぶのは絶対に許さん!」。すかさず、関西一のバカ犬と暮らす私が「同感!」と叫ぶと、しばしお酒の席をノボくんやお兄ちゃんのアイス、お手伝いのトモチャンのラルク。ワンちゃんの話題が駆けまわることになる。

 仙台の自宅で東日本大震災に遭われた伊集院さんは、あの日をこう書いた。

 <夜、余震で家屋を飛び出し、庭先に立つと満天の星がかがやいていた。私はこの美しさを酷いと思った。-どうしてこんなに美しいんだ。これでいいのか、自然というものは…。家人と私がそれぞれ抱いた犬も星を見上げていた>

 あの大震災を描いて、これほど美しく、切ない一文を私は、ほかに知らない。

 17歳でノボに旅立たれた伊集院さんは昨年秋、「君のいた時間」を著し、シリーズ「大人の流儀」に加えた。

 <出逢えば別れは必ずやって来る。それでも出逢ったことが、生きてきた証であるならば、別れることも生きた証なのだろう>

 仙台のお宅で「ぐうたら作家はまだか~」と遠吠えしていたノボくん。いまごろ主人との邂逅(かいこう)に、顔中をなめまわしているのではないか。強がって、勝手にそんな場面を思い描くことで、いま私はあふれ出そうになる涙を、懸命に抑えている。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2023年12月04日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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