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石ころ

老いた日の選択



 高血圧などの持病のある主人は通院して7年ほどになる。初めは月に2回ほどだったけれど、1年ほど前からは、ある数値が悪くて週に2~3回の点滴を受けている。

医院は車で3、40分ほどかかり、通院が心配で近くの医院を紹介して下さいと先生に話したこともあったのだけれど、主人は慣れた医院を変わることに気乗りしない様子だったので、祈りつつ時を待とうと思っていたのだった。

それでも昨年末に「もう1年も経つから、近くだったら負担も少なく、運転の危険も違うよ。」と勧めてみたのだけれど、「来年になったら・・」なんて主人は承知しなかった。


 今年になると検査の結果の電話が入る日に「もし、まだ数値が悪くて通院が続くようなら、先生に移ることを相談してもいい?」と聞くと「そうしてくれるか」と以外にすんなりと受け入れてくれた。

医師からの電話に、そのことをお話しすると「そちらに私の親しくしている先生がおられるから、そこだったらどうですか」と言ってくださった。
こんなにすんなりと事が運ぶのかと驚き、すべてを備えていて下さった主に心から感謝した。


 新しく尋ねた医院ではとても親切にして下さった。
ただ、ある治療法についてちょっと厳しく思える口調で、「どうして治療を受けないのですか」という質問を受けた。

「一年前に先生からお聞きしたとき、主人はとても元気でいますし、年のことも考えて私がお断りしたのです。」と、首を洗って差し出すような気持ちで答えた。
そう、確かに私は勝手に断ったことを、「本当にそれで良かったのか・・」と内心気にしていた。主人に話すことは、彼を不安にさせるだけのように思えたから・・。

でも、年を取っての心身の元気はとても脆いもので、今までと違う僅かなことが原因でガラッと様子が変ってしまうものである。
まして、副作用が予想されるような治療は極力避けたい。一日でも多く普通の生活、今まで通りを守ってあげたいと思っている。それが年寄りにはどれほど大切なことか・・。


 今日、機嫌良く医院から帰ってきた主人が話すには、点滴の後で先生に呼ばれ、
「先日の治療法について、大学に行って友人とも相談をしましたが、年から考えて、今元気にしておられるのでやはりこのままが良いでしょう。」と言われたとのことだった。
主人もそのことに納得して来たのだった。

そのように覚えていて下さった医師に感謝もし、私が一人で負ってきた重荷を取り除かれて心からほっとした。これで良かったんだ・・。

 主は本当にすべてをご存じ!温かい心遣いに感謝でいっぱいになった。
そう、いのちは主のもの。今日の普通な時間も主のもの。
この世にあっても主の守り、赦しに包まれて何気に刻まれる時・・この今が嬉しいなぁ・・。

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