(ヨブの言葉)
まことに、銀には鉱山があり、
金には精錬する場所がある。
鉄は土から取られ、
銅は鉱石を溶かして取る。
人間は闇の果てに、
その極みにまで行って、
暗闇と暗黒にある鉱石を探し出す。
彼は、人里離れたところで縦坑を掘り進み、
行きかう人に忘れられ、
人々から離れたところで、ぶら下がって揺れる。
地はそこから食物を産み出すが、
その下は火のように沸き返っている。
その鉱石からサファイアが出る。
その場所には金のちりがある。
その通り道は猛禽も知らず、
隼の目もこれを狙ったことがない。
誇り高き獣たちもこれを踏まず、
たける獅子も通ったことがない。
彼は硬い岩にまで手を加え、
山々をその根底からくつがえす。
彼は岩に坑道を切り開き、
あらゆる宝石を目にする。
彼は水が滴ることもないように川をせき止め、
隠されていた物を明るみに出す。
しかし、知恵はどこで見つかるのか。
悟りがある場所はどこか。
人にはその価値が分からない。
それは生ける者の地では見つからない。
深淵は言う。「私の中にそれはない。」
海は言う。「私のところにはない。」
それは純金をもってしても得られない。
銀を量ってそのだいかとすることもできない。
オフィルの金によっても値踏みできない。
高価な縞めのうや、サファイアによっても。
金も玻璃もこれと並ぶことができず、
純金の器とも取り替えられない。
珊瑚や水晶は言うに及ばず、
知恵の価値は真珠にもまさる。
クシュのトパーズもこれと並ぶことができず、
純金でもその値踏みをすることはできない。
では、知恵はどこから来るのか。
悟りがある場所はどこか。
それはすべての生き物の目に隠され、
空の鳥にも隠れている。
滅びの淵も、死も言う。
「そのうわさは、この耳で聞いたことがある。」
神は知恵の道をご存じであり、
神こそ、それがある場所を知っておられる。
それは、神が地の隅々までを見渡し、
天の下をことごとく見ておられるからだ。
神は風に重さを与え、
水を秤で量られた。
神は雨のために法則を、
稲光のために道を決められた。
そのとき、神を知恵を見て、これを見積もり、
これを確かめ、調べ上げられた。
こうして、神は人間に仰せられた。
「見よ。主を恐れること、
これが、知恵であり、
悪から遠ざかること、
これが悟りである」と。新改訳2017