石ころ

経験には拠らずみことばに拠って(民数記20章)

 

そこには、会衆のための水がなかった。彼らは集まってモーセとアロンに逆らった。
 民はモーセと争って言った。「ああ、われわれの兄弟たちが主の前で死んだとき、われわれも死んでいたらよかったのに。(2~3)

 

何度も聞く民のつぶやきである。モーセを責める言葉を、どのような思いで聞いていたのだろう。
神の憐みに拠る備えを経験しても、信頼して待つことを学ばない民であった。彼らは死を望むと言うけれど、それを恐れてカナンに入れなかったのである。

 

なぜ、あなたがたは主の集会をこの荒野に引き入れ、われわれと、われわれの家畜をここで死なせようとするのか。(4)

 

荒野を行かなければならなくなったのは、カナンを恐れた彼らの不信仰の結果である。
世にはあらゆる理不尽や災禍があるか、その度に人は神を責め、自分の正義を振りかざすのである。創造主である神を知ろうともせず、信頼して待つこともしないで・・。

 

モーセとアロンは集会の前から去り、会見の天幕の入り口にやって来て、ひれ伏した。すると主の栄光が彼らに現れた。
主はモーセに告げられた。(6~7)

 

罵られるときは黙って主に身を避け、御前にひれ伏すのみである。ただおひとり正しいお方に来て、静まりみことばを待つのである。
どのような時も、キリスト者の安息は此処にあり、此処にしか無い。弁護してくださる方に、責められる身をお委ねするのである。

 

「杖を取れ。あなたとあなたの兄弟アロンは、会衆を集めよ。あなたがたが彼らの目の前で岩に命じれば、岩は水を出す。彼らのために岩から水を出して、会衆とその家畜に飲ませよ。」
そこでモーセは、主が彼に命じられたとおりに、主の前から杖を取った。(8~9)

 

モーセは神の働きを成す杖を取ったが、主の命じられた言葉は、杖を用いて打つことではなく、命じることであり、杖は道具ではなく神の権威であった。

 

此処で主は民を責めることはなさらなかった。即座に解決を与えられたのである。彼らの訴え方が悪くても、そう、彼らは素直に水を求めて叫ぶべきであった。それでも、ご真実な主は彼らの命の叫びに、必要を備えてくださったのである。

 

主に求める時はシンプルに申しあげることである。イエスは「どうしてほしいのか」と問われる。でも、人は言い訳や、訴えの正しさを語るのだ。それが罪である。

 

モーセとアロンは岩の前に集会を召集し、彼らに言った。「逆らう者たちよ。さあ、聞け。この岩から、われわれがあなたがたのために水を出さなければならないのか。」(10)

 

モーセの怒りは、神に執り成した日のことを「死んでいた方がまし」などと言う民への苛立ちであろう。
彼はそのとき「われわれが水を出す」と言ってしまった。いや、水を出すのは神であり、神の栄光を現わすべきなのである。怒りはモーセでさえも、我を忘れさせることがあると分かる。

 

モーセは手を上げ、彼の杖で岩を二度打った。すると、豊かな水が湧き出たので、会衆もその家畜も飲んだ。(11)

 

こうしてモーセは、みことばには拠らず経験によって水を出したのだ。
悲しいことに人は、自分の功績を忘れることは出来ず、他人の評価によって、揺れ動く感情に支配される弱さを持っている。

 

執り成せば執り成すほどに、祈れば祈るほどに、その功績を記憶に留めてしまうことがあり、時にそれは苛立ちとなり怒りとなって現れる。


日々に、働きの一々を御前に捧げて完了するという作業が必要である。自分の働きを捧げ切って忘れるべきである。記憶に残ることは、救いの働きの幸福感と、愛の神を知っている満足だけである。

 

しかし、主はモーセとアロンに言われた。「あなたがたはわたしを信頼せず、イスラエルの子らの見ている前でわたしが聖であることを現さなかった。それゆえ、あなたがたはこの集会を、わたしが彼らに与えた地に導き入れることはできない。」(12)

 

モーセの役割は神の栄光を現わすことである。どれほどに注意深くみことばを聴く必要があるだろう。もし、そこに自分の何かを差し挟むなら、その肉によって御声は聴き取れなくなるのである。

 

憐みによって、ことを成してくださるのは主である。祈りを聞き入れて下さるのも、私たちの祈りに価値があるのではなく、神の一方的な愛から出たことである。

 

すべてのものが神から発し、神によって成り、神に至るのです。この神に、栄光がとこしえにありますように。アーメン。(ローマ11:36)

 

人は、主のご計画に少し参加させて頂いた幸せ者に過ぎない。モーセも神に故無く選ばれ、光栄な役割をたまわったに過ぎないのである。

 

これがメリバの水である。イスラエルの子らが主と争った場所であり、主はご自分が聖であることを彼らのうちに示されたのである。(13)


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