お隣から子どものはしゃいだ声・・・家族が揃った喜びが聞こえてくる。そう、夏は子どもの季節。
夕餉の匂いが流れる。そんな何気ない田舎町に、ケケケケケ・・・・・気だるい哀愁を帯びてヒグラシの声が響く。
ずべての主の備えの中で、それでもなんだか心に空洞を抱えて、ちょっと具合の悪い体でうずくまっている。右の耳が痛い・・・ヘルペス日和見の嫌な奴、弱ったらでてくる。無視していれば済むことだけど。
完全に満たされることはない。この世は一時的、過ぎゆくところだから。体は脆いもので日々移ろう・・心は頼りなくて今日は沈んでいる。いや、ちょっと風邪気味で弱っているだけ・・・。私は傷を癒す獣のようにじっとして、今は主の時を待とう。
主人の声がする「どや、ちょっと楽になったか」
「うーん、ちょっと涼しくなってきたから・・・」
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