あなたがたは五十年目を聖別し、国中のすべての住民に解放を宣言する。これはあなたがたのヨベルの年である。あなたがたはそれぞれ自分の所有地に帰り、それぞれ自分の家族のもとに帰る。(10)
神が創造された地は神のものである。先祖に割り当てられた地は子孫が受け継ぐ。一時的に手放しても、神の者が神の定められた所に帰る権利は奪われないのだ。
神によって人が治められるとき貧困の連鎖は起こらない。親の貧困によって土地を失っていても、神の与えてくださった地に、子らが帰って来るチャンスが備えられていたのである。しかも代価を支払うこともなく。
この五十年目はあなたがたのヨベルの年である。種を蒔いてはならないし、落ち穂から生えたものを刈り入れてもならない。また手入れをしなかったぶどうの木のぶどうを集めてはならない。(11)
畑に残っている貧しいものにより頼むのではなく、人手によらぬ豊かな野の産物を食べることは、主の食卓に与ることであり、人手にはよらぬそれは聖いものである。それを頂くとき賛美と感謝があふれるであろう。
人は自分の働きにはよらぬ恵みによって生きる時、神の豊かさと御力を悟るのである。
これはヨベルの年であって、あなたがたには聖である。あなたがたは野の収穫物を食べる。
このヨベルの年には、あなたがたはそれぞれ自分の所有地に帰る。(12~13)
土地を買い取った者は最長５０年支配した後には、元の持ち主に返さなければならないのである。
土地は神のものだからである。土地の価はヨベルの年までの年数に応じて買い取られた。確かにこの仕組みは、神のものを神のものとする理念に合っている。
弱さのうちに生きる場所を失って、神の民が地を彷徨うことがないように、買い取った者には、神からの借地権は５０年という限度が設けられた。なんと驚くべき知恵であろう。
主はこう言われる。ヤコブよ、あなたを創造した方、イスラエルよ、あなたを形造った方が。「恐れるな。わたしがあなたを贖ったからだ。わたしはあなたの名を呼んだ。あなたは、わたしのもの。（イザヤ43：1）
創造主である神はご自分の民を守り「あなたはわたしのもの」と宣言してくださる。
それは、罪によって天の居場所追われた人類が、神のキリストによって買い戻されて、御許に迎え入れる憐みを思い出す。
あなたがたはわたしの掟を行い、わたしの定めを守らなければならない。それを行うなら、その地に安らかに住むことができる。
地は実りをもたらし、あなたがたは満ち足りるまで食べ、安らかにそこに住むことができる。（18～19）
みことばによって生きる民は従順によって聖くされ、其処には安らぎがある。みことばによって備えられた野の食べ物は、主のお振る舞いである。
世に生きている時も主のお振る舞いをたまわることがある。それは食べ物だけではなく、神の栄光を着せられた折りに思うことである。
あなたがたは、「もし私たちが種を蒔かず、また収穫もしないなら、七年目には何を食べればよいのか」と言うであろうが、
わたしは六年目に、あなたがたのためにわたしの祝福を命じ、三年分の収穫を生じさせる。
あなたがたが八年目に種を蒔くときにも、前の収穫をなお食べている。九年目まで、その収穫があるまで、なお前のものを食べることができる。（20～22）
神の口から出たみことばの真実は、聴き従う者の必要を完全に満たしてくださる。神が人んの必要を知っておられ生かす神だからである。此処に先立つみことばの平安がある。
私たちも聖霊に導かれたみことばを信じる時、みことばの成就を経験することが出来る。
わたしはあなたがたに言います。何を食べようか何を飲もうかと、自分のいのちのことで心配したり、何を着ようかと、自分のからだのことで心配したりするのはやめなさい。いのちは食べ物以上のもの、からだは着る物以上のものではありませんか。（マタイ6：25）
すべての命を創造された方から発せられたことばが、信じる者に永遠のいのちを与える。御約束が成るように神がいのちを守って、必要を心配していてくださる。これ以上に完全な保証が何処にあろう。
主の命令が厳しい時は、生きて働く神の備えを経験するときであり、状況が悪ければ悪いほど、主が近しくいて下さることを味わうのである。
罪に落ちぶれて皮衣着せられただけで、エデンの園を売り払って出て行ったような者を、神は御子であるキリストの命と言う、途方もなく高価な代価を支払って買い戻してくださった。
このことを神は言葉だけでは為さらず、そう、言葉だけで宇宙を造られた方が！人の義のための代価を、痛みをもって完済してくださり、罪責から解放してくださったのである。ヨベルの年はこの愛の神の御許に帰ってお交わりをたまわり、恵みに安息する時なのである。
わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。だから、わたしは人をあなたの代わりにし、国民をあなたのいのちの代わりにする。（イザヤ43：4）
