aventure…

若者の感官熱しあへしらふ年増のをんなしきり滴(したた)る

sentir…

土臭き男のいきれかたはらの花がゆっくりほころんでゐる

carillon…

喉灼(や)ける背信の肉(しし)悲の器われの鹿野(ろくや)にカリヨン寒し

exister…

花婚のさびしきをんな草を藉(し)き鳥葬のごと澄みゆくこころ

erreurs…

過ちのにほひをんなの艶めきて妙に浮き浮き春の十五夜

nectar…

下垂れる官能羞(やさ)し罪すれば女の水脈(みを)のきらきらとして

pupille…

色欲の生(あ)るるを宥(ゆる)せふと浸る朝なあやふき青年の眸(まみ)

amaranth…

白日の交(さか)る素裸額(ぬか)の汗をとこに一期の罪を清(すが)しむ

eau clair…

花灯り真水(さみず)にをちる夕つ方さは罪なさむ愛いづる唇(くち)

ciel…

かへらなむ思ひ沈めし如月の空まだきみに恋するらしも

filles…

さやさやとうわさを流す春の風触(さや)れをんなといふフォルティッシモ