flamme…

人の子はかく色ふかく生(あ)るるかな胸の火種を合はす日の底

sommeil…

熟寝(うまい)の児おゐてをんなの照りかへる濡れくちびるの谺(こだま)日の底

mouill…

ささめける胸の高鳴りかくしてはしきりに息の熱(ほとほ)りくるかな

trahison…

膝に乗る不惑の温もり押しやらむ空の底までこころ透かさる

vermillon…

言の葉も聞き外(そ)れ一夜朱の肉(しし)をめぐりめぐれる海鳴りの音

oeil…

崩(な)れきれぬ花弁(はなびら)恥(やさ)し脛をわる目線の熱く刺さる日の底

adorer…

明日見えぬ恋するらしも子の母の女(め)生ぐさし脛白き夏

chagrin…

一つ恋なせば多情の母に似るその横顔の炎(も)ゆるときはも

perte…

産まざりし乳房の赤の鮮(あたら)しきしきり多情の尖(とが)りくるかな

tristesse…

頭を膝に置きくるをとこかなしみの一つ消ゆまで空青く透く

amende…

草を藉(し)く素足のをんな情深し青立つものも盗るといふこと

germer…

雨に濡るをんな一人をはかり得ず手より洩らすも恋と呼ぶかな