souffle…

温(ぬく)き息かかればこころとどめずも婦(をんな)はこよひ恋に頼(よ)りゆく

amaryllis…

逢へばまたかなしきいのち二つ容れアマリリスの赤空に流れる

aine…

今日をただ白く抱かれて股(もも)熱し恋は五月の風の音聴く

silence…

逢ふてまたたやすく乱れし後に見る空の青さよ堂々めぐり

habiter…

千年を抱(だ)かれて婦(をんな)まどろめる日の底生身に落ちる砂音

oreiller…

かぎりなく心ゆらぎて眠らせぬステンドグラス翔(かけ)る火の鳥

habitude…

白き股(もも)ひろげる頭(ず)より海鳴りの音のやうなり身の融けはじむ

aria…

燃えさしの婦(をんな)の身より楽出づる艶なり二夜快楽(けらく)のアリア

temptation…

草いきれする狂色の廃園に母よあなたを追ふ影法師

absence…

生命線くれなゐ立ちて五月闇父性の不在その母に似る

vingt-quatre ans…

春昼の母の恋追う24の娘が洗う赤き乳頭

tourniquet…

春睡のなかにありけり母の恋少女に眩し回転扉

humoresque…

うす肌の腰はりつける２４の白い踵(きびす)が蹴るユモレスク

jouissance…

男好きする唇黒子(くちぼくろ)うす肌のじゅんこの母の朝寝熱しき

oreiller…

酒やけのしゃがれ声黒のランジェリーつまさきから見るじゅんこの五月