miel…

をんな見る冬の花火の二つ三つ濡れ髪に唇(くち)触れしときより

cheveu…

幼な子を眠らせ奔(はし)る春昼の踵(きびす)が白く照る女坂

raisin…

葡萄樹の下擦りあへる腿(もも)熱し他人の子ども孕む人妻

cuisse…

周期来ぬと日を数えつつ触れしめる米屋の女房の白き太腿

fertilisation…

あなたの子を生んであげる、と告げたあの四月の夜に行ってみるか娘(こ)よ

lever…

窓に寄りビット珈琲ひとり飲むきみの五月も乾きたりしか

adieu…

夏向かふすがしきみどりさりながら女になれず別れし季節

gars…

嫁ぎゆく乙女の思ひ風の響(な)る菜の花畑(はなはた)も少年もなく

chaleur…

寝がへりをうつ寸の間の背(そびら)より恋ひても消(け)ぬるきみの温もり

impulsion…

秘めやかな営みのあと身に溜まるひとの弱さよ青き衝動

pente…

かたちよき婦(をんな)が爆(は)ぜて白日の坂下(お)りてゆく後姿明るし

prudent…

つつましく生きる婦(をんな)の忍ぶ声半夜のまぼろし見逃したまへ

colza…

母の目をぬすみ少女が手をのべて少年らと入る菜の花畑

retour…

あと少し、声ふるはせる婚外の婦(をんな)の唇(くち)にかかる染め髪

plaisir…

一日の自由恋愛、とこしへにうそは婦(をんな)を匂い立たしむ