ヒルネボウ

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(書評)    岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館) (10)

2024-04-23 22:51:11 | 学習

   (書評)

   岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(10)小数のわり算とわりきる計算(p52~53)

〈5.4÷1.2〉の計算の仕方について。偽ドラえもんは次のように宣う。

わる小数も、わられる小数も、それぞれ1/10の位までの数なので、両方を十倍すればいいね。つまり、小数点を1つずつ、右に動かせばいいんだ。

(p52

 

この作法はすでに宣言されている。そのときに私は指摘しなかった。

36÷1.2=360÷12

(p48)

偽ドラえもんはこの等式をプラカードに書いて掲げている。

だが、この等式が成り立つ理由は、このページに記されていない。もっと前に書いてあるのだろうか。調べるのは面倒くさい。

簡単過ぎて説明の必要がないのだろうか。

小数のわり算では、あまりの小数点は、わられる数のもとの小数点にそろえてうつ。

(p52)

その理由も、前に書いてあったのかな。面倒くさい。

 5.4÷1.2=4あまり0.6

(p52)

問題の数の単位はリットルだった。

 5.4L÷1.2L=4あまり0.6L

割られる数と割る数を10倍して計算した後、あまりの小数点の位置について、次のように考える。

 1L=10dl

 54dl÷12dl=4あまり6dl  答え4あまり0.6L

ということで、一安心。

0.1cm=1mm

0.01m=1cm

0.001㎞=1m

0.0001万円=1円

自分なりに納得できるように工夫しよう。そうしないと、計算は苦行になるよ。

ここで、応用問題。

1.01÷0.5=?は、101÷50=?とやるかい。違うよね。10.1÷5=?だろう。

割り切るときは割る数を整数にする。割られる数のことは、あまりを出すときの算段だ。この違いをはっきりとさせておこう。

10.1÷5=2.02  答え 2.02

101cm÷50cm=2あまり1cm  答え 2あまり0.01

 計算の方法を丸暗記しているだけだと、問題の違いに対応できにくい。

ドラ「わり進めるときは、1/10の位、1/100の位…と、どんどんわられる数の右に0をつけていくことができるんだよ。」

静香「この方法は、整数÷整数でも使えるわ。」

(p53)

だったら、3年生で教えろよ。

 (終)


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(書評) 岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館) (9)

2024-04-23 00:04:32 | 学習

(書評)

岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(9)かける数と積、わる数と商の関係 (p50~51)

偽ドラえもんは何をしているつもりだろう? 

問題

 答えが6より小さくなるかけ算はどちらでしょう。

  6×1.5  6×0.5

 「6×□の積を数直線に表して、考えてみようか。」

(p50)

「数直線」を用いる理由が不明。しかも、わかりにくい。

積の話なら、数直線ではなく、方眼を使うべきだ。

1より小さい数をかけると、積<かけられる数になる。

(p50)

そうだね。だから、何? 

1より小さい数でわると、商>わられる数になる。

(p51)

そうだね。だから、何? 

  6×2=12 ⇔ 6×2/1=12  ⇔ 6÷1/2=12 ⇔ 6÷0.5=12

  6×1.5=9 ⇔ 6×15/10=9 ⇔ 6÷10/15=9 ⇔ 6÷0.666…=9

  6×1=6  ⇔ 6×1/1=6  ⇔ 6÷1/1=6  ⇔ 6÷1=6

  6×0.5=3 ⇔ 6×1/2=3  ⇔ 6÷2/1=3  ⇔ 6÷2=3

 偽ドラえもんは逆算という考えを使いたくないらしい。その意図は不明。

(終)


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(書評)岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)(8)

2024-04-18 21:11:35 | 学習

   (書評)

   岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(8)整数÷小数、小数÷小数(p48~49)

〈数〉と書いて、〈かず〉あるいは〈スウ〉と読む。

一つ、二つ、三つなど、ものを個々にかぞえて得られる値。

(『広辞苑』「かず【数】」)

〈かず〉は、「数知らず」や「物の数」といった成句に含まれる。一方、〈スウ〉にそんな成句はないと思う。あるかもしれないが、私は知らない。〈かず〉は幼児でも分かる。人間以外の動物でも分かっているはずだ。一方、〈すう〉は、大人でもよく分からない。私も分からない。

〈かず〉には、思い入れがされてきた。たとえば「嘘八百」「ラッキー・セブン」「四の五の言う」「再三」など。

ザ・ドリフターズの「全員集合」の「全員」はリーダーを除いた4人だが、4人を全員と言うのは何となく、おかしい。いかりや長介がそんな話をしていた。4人が並んだところで「番号!」というのは不要のように思える。3人なら、番号は不要だと誰もが思うことだろう。5人だと必要に思える。必要と不要、どっちつかずだから4人で「全員」という言葉がユーモラスなのだ。

〈かず〉には感情が混じっている。〈数字は見るのも嫌い〉なんて人間になってしまったら、日常生活に支障を来すことになる。

スポーツができなくても困らない。だが、歩いたり走ったりできなくては困る。強引なたとえだが、数学は体育で、算数は保健だ。

狭義には自然数のこと。これを拡張して零、正負の整数・分数を併せて有理数と称し、さらに無理数を併せて実数という。またさらに負の実数の平方根を表すための虚数を導入し複素数にまで拡張して、これらのすべてを数と総称。

(『広辞苑』「すう【数】」

算数は足し算から始まる。数学は割り算から始まる。

偽ドラえもんは算数的技能と数学的概念を混同しているようだ。この混同は、割り算の話で顕在化する。

小数でわるわり算は、わる小数が1/10の位までなら10倍、1/100の位までなら100倍して、整数にする。このとき、わられる数も同じように10倍、100倍して計算すればいい。

(p49)

 割り算を習得する場合、抽象的に、つまり、数と数の関係として考えることになる。そうした考え方ができていないと、虚数が分らない。

いいですか、ぼくももっともだとは思いますよ、たとえばこんな想像上の、現実にはまったく存在しない数値が、若い生徒がのみこめる小さなくるみであるはずがない。だからこういう数学的な概念こそが、まさに純粋に数学的な思考に必須のものなのだということで君は満足しなければいけない。よく考えてごらん、君がまだ立っている、授業の初歩の段階では、是非とも触れなくてはならない多くのことに対して適切な説明を与えるのは非常にむずかしい。幸いそんなことを感じる生徒はほとんどいない。しかし誰かに、今日の君みたいに――それはさっきも言ったよう に、とてもうれしいことでしたがね――実際にやってこられると、こう言うほかはないんだ、――ねえ君、ただ信じなさい。君がいつか今より十倍も数学ができるようになったら、おのずから解ってくるだろうから。でもさしあたりは、信じることだ! とね。

(ローベルト・ムージル『少年テルレスのまどい』)

偽ドラえもんは数学者か? 数学信者かもしれない。

(終)


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(書評) 岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)(7)

2024-04-17 00:18:07 | 学習

   (書評)

   岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(7)整数×小数、小数×小数(p.46~47)

もうやらなくてもいいかな。

小数×小数の計算は、まず整数×整数と同じように計算して、最後に2つの小数の小数点以下の位の数を合わせて小数点をうつ。1/100の位×1/10の位なら、2+1=3で、積の後ろから3けた目の数の左に小数点をうつんだよ。

(p47)

そのとおりだが、納得できるかな? こうした規則を忘れたら、どうしよう? あるいは、「左に小数点」の「左」を〈右〉と間違って覚えてしまったら? 

対処法は簡単。

ここでの問題0.125×8.4:=?だ。

0.1×8=0.8  0.2×9=1.8

よって、0.8<0.125×8.4<1.8

以上。

桁違いなんて、とんでもないよ。

(終)


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(書評)岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)(6)

2024-04-09 23:47:59 | 学習

   岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(6)概数と四捨五入(p30~31)

偽ドラえもんは意地悪だ。

偽ドラえもん「40219人とか、106312人とか、ややこしい数を聞かなくても、「だいたい4万人ぐらい」と聞けば、すごくたくさんの人が集まったことが、だれにでもかんたんにわかって、便利だね」

偽のび太「へえっ、だいたいでいいなら、概数って便利だな。」

偽ドラえもん「また都合のいいことを…概数には、ルールがあるんだよ!」

「だいたい」だと、そもそも「ややこしい数」を数える必要がない。

「4万人」が「すごくたくさんの人」なら、「10万人」はどう表現しよう。

日常生活における「だいたい」の数も算数の「概数」も、「便利」なのだ。便利でなきゃ、何のためにあるのか。

「ルール」を知る前に、「だいたい」の数に慣れるべきだ。たとえば、〈五万といる〉とか、〈百万ドルの夜景〉とか、〈億万長者〉とか。〈一億総懺悔〉とか。

逆に、小さい数の「だいたい」もある。

「あと、安心して。私、年下には1ミリも興味ないから。あなたを襲うこともないから」

「僕も、年上には1ミクロンも興味ありませんから。大丈夫です」

「……言い切ったね」ちょっと頭に来る。

(北川悦吏子『ロングバケーション』)

日常生活では、10進法だけでなく、12進法も使う。土曜日の夜の12時10分は、日曜日の午前だが、日常生活では土曜日だ。5進法も使う。4日も6日も約5日だ。7進法もある。6日も8日も約1週間だ。365進法も…… 

「都合」が良すぎると曖昧で誤解されて却って不便になる。だから、「ルール」を拵えたのだ。〈初めにルールありき〉ではない。

大きい数に関して「だいたい」という実感のない子どもに概数の「ルール」を教えても納得しない。苦しむだけだ。結局、算数嫌いになる。

切り捨ては簡単だ。しかし、410円の商品を買うとき、勝手に切り捨てたら、店員に叱られる。消費税がいくらプラスされるか、きちんと計算できなくても、500円を超えることはなかろうと思えば、切り上げる。四捨五入を使うことは、日常生活では、あまりなかろう。50メートル走で、48メートルも52メートルも一緒というわけにはいかない。

偽ドラえもんには人間味がない。ロボットのような人間どもがこの本を作ったらしい。

(終)


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