これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

お言葉に甘えて

2014年12月18日 21時08分40秒 | エッセイ
 教え子の両親が、職場の近くでフランス料理店を開いている。
 食い道楽の私は、以前から興味を持っていたが、なかなか機会がないまま1年以上過ぎてしまった。先日、ようやく時間ができたので、行くことにした。念のため、教え子に確認をとってみる。
「ねえ、今度、ご両親のレストランに行こうと思っているんだけど、混んでるかな?」
「えっ、うち? うーん、満席のときもあるから、予約したほうがいいかも」
「へー、そうなんだ」
 結構な人気店らしい。ますます行きたくなってきた。
「先生、親に言ったら、席をとっておくから日にちを聞いてきなさいって」
 翌日、彼女が職員室にやってきた。私以外にも客はたくさんいるだろうに、ありがたい気づかいだ。それではと、お言葉に甘えることにした。
「いらっしゃいませ」
 予約時間にドアを開けると、教え子によく似た女性が出てきた。おそらく、お母さんだろう。
「あの、1時に予約した笹木です」
「笹木さん? もしかして、先生ですか?」
「はい、お世話になっています」
「いえいえ、こちらこそ~。お席にご案内します」
 やはり満席だ。予約しておいてよかった。
 厨房からは、お父さんと思われるシェフも挨拶をしてくれた。こんなに歓迎されるとは感激だ。
 前菜。



 いい味のドレッシングだった。
 スープ。



 クリーミーで体が温まった。
 肉料理。



 薄味だったが美味しいソースで、あっという間に平らげた。相当なボリュームだが、サービスだろうか。
 デザート。



 自家製と見た。実に、コクのあるジェラートである。
 どのお料理もレベルが高いし、良心的な価格だ。満席なのもうなずける。
 教え子のほうは、千切りキャベツのサラダを、「ズボボ~」と蕎麦のような音を立てて食べる女子高生であるが、フランス料理だったら得意に違いない。会計をしたあと、ご両親にお礼を言って店を出た。
 実は、他のクラスにもう一人、フレンチレストラン経営者の娘がいる。そちらのほうにも行ってみたくなった。
「今度、あなたのところのレストランに行ってみたいわ」
「えっ、ヤダヤダ。お店手伝ってるところは見られたくない」
「じゃあ、手伝わない日にするよ」
「それでもヤダ~」
 取りつく島もない。これでは営業妨害である。
 無理強いするものではないから、それ以上言わなかったが、本人は心にしこりが残っていたようだ。
 あとから、訂正しに来た。
「先生、この前の話だけど……別に来てもいいからね」
 では、お言葉に甘えて、また今度。


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コメント (8)
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