これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

スクールババア

2015年03月01日 21時46分06秒 | エッセイ
「スクバ」といえば、スクールバッグを指すのが普通だ。



 しかし、私はひそかに「スクールババア」ではないかと思っている。
 実は、わが家に生息している。
「お母さん、エアコンつけて」
「は? 自分でやれば」
「だって届かないもん」
 高3の娘は、とにかく動かない。座布団やベッドに寝そべり、スマホをいじりながら、私や夫をこき使って用を足そうとする。万歩計を持たせたら、学校が休みの日などは1000歩にもならないのではと感じるほどだ。
「動かないとダメだよ」
 見かねて声をかけたら、意外と素直に応じた。
「そうだね」
「ラジオ体操やるから、一緒にどう?」
「うん」
 狭い部屋に並んで、ぶつからないように体を動かす。
 チャンチャンチャチャチャチャチャーン、チャンチャッチャチャン♪
「いてててて」
 3つ目あたりから、娘のうめき声が聞こえてきた。日頃、動かしていない筋肉が悲鳴を上げているのだ。
「ううううう」
 チャンチャッチャ、チャッチャチャッチャチャチャチャチャチャー。
「グエー」
 しまいには、体がボキボキと音を立て始め、私は耳を疑った。
 ようやく終わると、息も絶え絶えになっている。たかがラジオ体操で、こんなに痛がるとは。本当に高校生か。まるで、おばあさんのようではないか。
 翌日は、見事に筋肉痛となったらしい。
「ミキはスクバだね。スクールババア」
 からかうと、むきになって反撃してくる。
「ふん、そっちこそ、スクールに勤めてるババアじゃないか」
 歯をむき出しそうな勢いだ。おそらく、自分でも気になっているのだろう。まめに体を動かすようになればいいのだが。
 そんな娘が、今日は卒業式を迎えた。曜日にかかわらず、毎年、卒業式は3月1日と決まっている学校なのだ。
「笹木ミキ」
「はいっ」
 卒業証書を受け取り、無事卒業した。
 4月からは大学生だ。
 ユニバーシティーのババアは、ユニバとなるのかな。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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