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JR北海道は鬼畜か⁈/「被災、特例扱いせず 鵡川~様似廃止 JR、存続なら地元負担貫く」

2020-10-25 | 旅行
北海道新聞 2020年10月24日付記事
「被災、特例扱いせず 鵡川~様似廃止 JR、存続なら地元負担貫く」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/474169?rct=n_jrhokkaido

JR北海道は10月23日、JR日高線鵡川~様似間(116キロ)の廃線について
沿線7町と正式に同意し、6年近くに及んだ協議を終えた。

鉄路存続には地元負担を求め、
負担できない場合は廃止・バス転換という従来方針を最後まで崩さず、
自然災害で不通となった鉄路を「復旧」せずに初めて「廃止」。
被災を理由に地元から要望があった復旧費などの負担軽減は認められず、
災害も廃線協議の「特例」にはならないことが明確に示された形だ。


「解決を先送りすべきではないというご英断をいただいた」。
JRの島田修社長は10月23日の廃止同意書の締結式で、沿線7町に対して感謝の言葉を繰り返した。


日高線は高波被害で不通となった2015年1月以降、JRや地元が全線復旧を模索したが、
復旧費用がネックになり、2017年2月にJRが7町に廃止方針を伝えた。

その後、地元では一部区間の復旧案や
線路と道路を両方走れるデュアル・モード・ビークル(DMV)など代替交通案も浮上したが、
JRはいずれの案でも沿線自治体による費用負担を要求。
厳しい財政状況の7町にとっては多額の費用負担は困難で、
廃止・バス転換しか選択肢は残されていなかった。


JRが「単独では維持困難」として廃止を求める5区間のうち、
石勝線夕張~新夕張間は2019年4月、
札沼線北海道医療大学~新十津川間は今年5月に廃止済み。
日高線は沿線自治体が7町と多いため調整は難航し、合意までに長い期間を要した。

廃止方針となっている残る2区間のうち、
留萌線深川~留萌間では沿線自治体が一部区間の存続を目指しているが、
JRは「存続の場合は地元負担」と、日高線などと同様の考えを貫く方針。
地元には「留萌線は運行路線で、不通の日高線とは異なる」との主張もあるが、
運行路線の廃線は札沼線の前例がある。

根室線富良野~新得間は台風災害で一部不通となっているが、
災害が「特例」にならないことは今回の日高線を巡る廃線協議で示された。

島田社長は10月23日の締結式の中で残る2区間について記者団に問われ
「(沿線自治体には)できるだけ早い時期に意思決定、合意形成をしていただけるように進めていきたい」と述べ、
協議を加速していく考えをにじませた。
(文章執筆:徳永仁氏)


■国や道の対応にも憤り 7町 【日高】発

JR北海道と日高管内7町が同意書と覚書を締結した10月23日、
JRの島田修社長と7町長らは、同管内日高町で行われた締結式後にそろって記者会見した。
町長らは「苦渋の決断」と口をそろえ、新たな公共交通体系の整備の重要性を改めて訴えた。
島田社長は「持続可能な交通体系へのお手伝いをさせていただく」と述べた。

鵡川~様似間が高波被害で不通になって約5年10カ月。
日高町村会長の坂下一幸・様似町長は、7町長間でも廃止への賛否が割れる難しい議論を主導してきた。
締結式を終えあいさつに立つと
「私たちに寄り添うべき国や道は、JRと沿線自治体に対応を任せきりの感もあった。
この結果には憤りを感じている」
と心情を吐露した。

7町は当初、一致して全線復旧を訴えたが、
不通が長期化する中、高波の被害を受けた護岸の復旧も進まないことから、
新ひだか町や新冠町が徐々に廃止に傾いていった。

廃止と転換バスの運行でJRと最終合意する方針を決めた今年8月には、
復旧を主張するのは実質的に池田拓・浦河町長のみとなった。

池田・浦河町長はこの日、公務で東京出張中として締結式を欠席。
代理で出席した松田有宏副町長は、しこりが残ることへの懸念に対し
「間違ったメッセージを受け取る方がいるのであれば、
新しい交通体系の議論を一緒にしていく姿勢を見せ、払拭(ふっしょく)しなければならないと感じている」
と代弁。
6町と足並みをそろえることを強調した。


新たな交通体系では、高校の通学の利便性確保、停留所増設や低床バス導入推進に加え、
えりもと苫小牧を結ぶ路線の新設などで調整を進めている。
各町長はそれぞれ、地域住民に利用しやすいきめ細かな体系が必要と強調。
新ひだか町の大野克之町長は
「これまではJRやバス事業者に要望するだけだったが、(各町が)主体になる第一歩」 と述べた。

ただ、交通体系整備でバスの運転手不足が今後の大きな課題となることに関して、
島田社長は「保線要員や駅員が必要な鉄道も、きわめて深刻な状況」と述べるにとどまった。
(文章執筆:横田望、松井伊勢生 各氏)


■住民「とても残念」日高線
 /「地域と向き合って」留萌・根室線

JR日高線鵡川~様似間の廃止が正式決定した10月23日、
沿線の住民は廃線を惜しみつつ、転換バスの充実を期待した。

一方、JR北海道が「単独では維持困難」として廃止・バス転換を求めている2区間
(留萌線深川~留萌間、根室線富良野~新得間)の沿線にも戸惑いが広がった。

「とても残念だ。浦河は最後まで反対してきたが、各町が受け入れたのなら仕方がない」。
日高管内浦河町の飲食店経営松山和弘さん(75)は諦め顔だ。
町の地理や歴史を学ぶ町民グループの代表を務めており、
「踏切や線路などの施設を人を呼び込む道具として活用できれば」 と話した。

日高線は2015年1月の高波被害で不通になり、完全復旧せずに廃止が決まった。
同管内新ひだか町の住民団体「日高の公共交通を考える有志の会」代表の高橋幸二さん(54)は
「決定は、遅きに失した。もっと早く新たな公共交通のあり方を考えるべきだった」と述べ、
通学や通院の利便性に配慮した転換バスの運行を求めた。


一方、留萌管内増毛町の通信制高校2年又野桃花(もも)さん(17)は
「留萌線も利用者が少ない。廃線も仕方ないと思うが、お年寄りや車のない人は困る」と懸念。
石狩沼田駅から留萌線で通学する深川西高2年の岩井碧皇(あお)さん(16)は
「留萌線は生活の一部。JRは高校生も含めた地域の声と向き合って」と求めた。


根室線は2016年の台風被害から一部不通が続く。
上川管内南富良野町の幾寅駅で代行バスを待っていた南富良野高3年の中村日菜さん(18)は
「入学からずっと代行バスを使って通学している。早く被災箇所を直してほしい」。

旧国鉄、JR北海道で機関士として働いた十勝管内新得町の会社社長森田滋さん(77)は
「日高線は国が責任を持って残してほしかった。
根室線も廃止ありきではなく、国や沿線自治体は存続に向け粘り強く議論してほしい」

と注文を付けた。

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北海道新聞 2020年10月24日付社説
「日高線廃止調印 前例としてはならない」 より抜粋
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/474101?rct=c_editorial

日高管内7町とJR北海道は10月23日、
JR日高線の鵡川~様似間(116キロ)について、
来年2021年4月1日で廃止し、バス転換する同意書に調印した。

2015年1月の高波被害で不通になって以降、
復旧されることなく廃線となる。
同社初の例だ。


利用客が少なく、経営を圧迫していた赤字区間とはいえ、
災害に乗じたようなJRの手法はやはり乱暴だと言わざるを得ない。


新型コロナ禍で鉄道利用は激減した。
一方で、災害による鉄路被害も全国で毎年発生する。
廃止は沿線以外にも人ごとではない。

被災したうえに鉄路も失えば、地域の衰退を進めかねない。
あしき前例とならぬよう、国や道、JRは経緯を丁寧に検証すべきだ。



坂下一幸様似町長は調印後
「国や道は、JR北海道と沿線自治体に対応を任せきりの感があった」 と悔しさを漏らした。

線路復旧は本来、JRの責務だ。
島田修社長も当初「一刻も早く工事を進めたい」と述べ、工費を26億円と想定していた。

だが、台風に伴う土砂流出で想定額は86億円に膨れた。
一方で復旧の条件として、地元自治体に年13億円の維持費負担を求めた。

7町が拒否すると、
今度は「単独では維持困難」な赤字区間として、廃止・バス転換を迫った。

これでは「復旧なき廃線」ありきの協議と見られても仕方がない。
一連のJRの対応は不誠実だ。

国土交通省によると、2018年度までの10年間に
1千万円以上損害が出た全国の鉄道被災は297件、被害総額は2332億円という。

「鉄道軌道整備法」では、鉄道会社の負担軽減のため国と自治体から4分の1ずつ補助を受けられる。
国土交通相が認めれば国補助は最大3分の1まで可能だ。

JR九州は2016年の熊本地震で被災した豊肥線にこの枠組みで復旧費約50億円を調達し、
今年開通させた。
同社は今夏の豪雨被害で不通の肥薩線でも適用を目指す。

日高線も2018年の胆振東部地震では苫小牧~鵡川間に適用された。
なのに、鵡川~様似間は当初検討したものの、早々に断念した。

復旧計画を具体的にどう詰め、何が阻害要因だったのか。
すべて明らかにし、国、道が積極関与するよう制度見直しも図るべきだ。

JRは、豪雨水害で一部不通の根室線富良野~新得間など2区間でも廃止・バス転換をもくろむ。
結論ありきの協議では地元は納得できない。
まずは復旧に向けあらゆる選択肢を探る必要がある。


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繰り返しになるが、
自分は国鉄からJRへ移管する1980年代後半、
次々と生活路線が廃止に追い込まれていった北海道内を見てきた。

そのたびに、鉄道の廃止とともに
沿線の活気さえも失ってゆく地域も見てきた。


白糠町の「北進線」、炭鉱地区の「万字線」「上砂川支線」「石勝線夕張支線」などは
道がない“盲腸線”のため、ある意味廃止もやむを得なかったかもしれない。
しかし、周遊に有意義な「羽幌線」「胆振線」、
特に冬は流氷が漂着するオホーツク海沿いの「名寄線」「湧網線」の廃止は間違いなく
道内観光に損失となった筈だ。

JR北海道は鬼畜か!?

このままでは、自社維持困難路線は、間違いなく全滅するであろう。


また、これだけ赤字を積み重ねておいて、整備新幹線どころではないはずだ。
北海道新幹線未開通区間(新函館北斗~札幌間)の開業を遅らせても
現在の路線維持に全力を挙げるべきだ。

青函トンネルの維持にも巨額がかかり、
札幌まで全通しても、
どの道「赤字」は避けられないのだから。

整備新幹線だけ予定通りの2030年度開業などという「理不尽」は、
絶対に許されてはならない。

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