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経団連の提言 身勝手な原発擁護策だ(北海道新聞 2019年4月11日付社説)

2019-04-12 | 日記
北海道新聞 2019年4月11日付社説
「経団連の提言 身勝手な原発擁護策だ」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/295255?rct=c_editorial


構造的な問題を度外視した身勝手な原発回帰論と言うほかない。

経団連が電力政策に関する提言を2年ぶりに発表した。
原発を脱炭素社会に不可欠なエネルギーとし、再稼働や新増設を求めた。

最長60年となっている既存原発の運転期間の延長や、
審査などで停止した期間を運転期間に含めないで運転できる期間を事実上延ばすことも新たに盛り込んだ。


東京電力福島第1原発事故は、原発がひとたび事故を起こせば取り返しがつかない現実を突きつけた。
その教訓を生かす方策が見当たらない。

再生可能エネルギーが急速に普及する中、
安全基準の強化でコストが高騰した原発は、もはや有望なビジネスでもない。

国民の不安に応えようとせず、世界の潮流に逆らって原発を推進するのは理解に苦しむ。


 
安倍晋三政権や経済産業省は再稼働推進の姿勢を取るが、
経団連の提言に乗って原発回帰を加速させることがあってはならない。


提言は、温室効果ガスを排出する火力発電への依存度が8割を超え、
再生エネで賄うにも限界があり、原発が不可欠だとした。

政府のエネルギー基本計画で2030年度の原発の発電割合を20~22%とする目標を掲げたことにも触れ、
「廃炉が進めば達成が困難」と再稼働の必要性を訴えた。

だが計画は原発依存度を低減すると明記している。
目標達成のために再稼働するのは本末転倒だ。


原発の大きな問題は使用済み核燃料の行き場がないことである。

核燃料サイクルは事実上破綻し、高レベル放射性廃棄物の処分場選定も進んでいない。
福島の事故原因は解明されておらず、廃炉のめども立たない。

こうした負の側面をどう克服するか説明を尽くさず、再稼働や新増設を訴えるのは無責任である。


提言を主導したのは原発メーカー、日立製作所出身の中西宏明会長だ。
中西氏は「再稼働をどんどんやるべきだ」と発言し、
原発と原爆が混同されて再稼働が進まないとの認識を示したこともある。

日立は英国の原発建設計画を凍結したばかりで、原発ビジネスの行き詰まりを中西氏は分かっているはずだ。
経団連会長の立場を利用して原発産業を守ろうとしているとの疑念も招きかねない。

経団連が取り組むべきは、再生エネを有効活用して原発依存を脱する道筋を示すことだ。
政治への発言力をそのためにこそ生かさなければならない。


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