子供の頃に読んだ本でもう一度読んでみたい本がある。
赤い表紙のガッシリした造りの児童向けのシリーズで出ていた本の中の一冊。
薄い記憶の中では全てルビをふっていたように思う。
北海道に移り住んだ少女が自分の身近に起こった出来事を綴った日記のような随筆のような本だった。
子供の頃はとにかく起承転結のはっきりした物語が好きだったのだが、この本はその頃読んだものとはその点で異質。
書かれている内容や表現が今の時代からすると子供向けにしてはちょっと過激とも思えるような気がする。
例えば主人公一家はクリスチャンらしい。何らかの理由で困っている家庭に出かけてお手伝いをする。北海道開拓のために彼の地に移り住んだ人々は苦労が多かった時代。
その訪問していた家の婦人が娘さんを伴って主人公の家を訪ねてきた。その婦人は夫を亡くし女手一人で子供二人を育てている。
その婦人は今の住まいを捨て小樽に行くという。
長過ぎる過酷な冬を越しているうちに、育てている兄(息子)と妹(娘)の間に子供が出来た。死産だったので亡骸は裏山に埋めた。
息子は漁船に乗せる事にした。娘は小樽で芸者となる手筈を整えたので最後に挨拶に来たらしい。息子には小樽に来たらお前をぶっ殺すと言ってやった、と主人公の母親に話している。
その話を物陰に隠れて聞いている主人公の少女。チラリと盗み見たその妹の美しさと悲しげな表情を描写している。
また、ある時、主人公の少女は女学校でニシンをご馳走になる。先生はニシンを寄付してくれた網元の娘である生徒に御礼を言うように促す。
主人公の少女はできるだけ網元の娘の顔だけを見てお礼を言おうと努力するが、つい頭に視線がいってしまい激しく後悔をする。
網元の娘は頭髪がなかったのだ。どうか網元の娘を傷つけませんようにと主人公の少女は祈った。
まだまだ、いろいろエピソードはあるのだが、きりがない。最後は長かった冬は去り、桜が咲いて浮き立つような描写で随筆は終わっている。
本の題名も作者もわからずどうやって探し出せばよいのだろう。
もし、これを読んでいる方で心当たりのある方は教えて下されば嬉しいのですが、、、。