宣伝美術家TOMのブログ [1000-B]

宣伝美術家TOMの日常・演劇・デザイン・カメラなブログ。

宣伝美術の限界と希望を書き残すブログ

2014-10-20 11:31:12 | ■宣伝美術の大事な話■
劇団転機予報の第三転機「シカクの無い部屋」が無事終演しました。

※もしも公演タイトル等から検索して見つけた人には申し訳ないんですが
これはほとんど観劇感想日記ではなく、中の人の一員としての記録ブログです。
人によっては幕内身内の話ですが物を作らせてもらった自分の覚え書きとして、
相変わらず堅い文章を残しておきます。

僕は宣伝美術として参加し、チラシを作りました。
当日パンフやチケットは劇団に任せていたので
8月にチラシが出来た後、僕がやることは特になかったんですが
7月から昨日までの4ヶ月間、初顔合わせの稽古から千秋楽までご一緒させてもらいました。

知り合いではない関係者さんや初めて会うお客様から
チラシについて良い感想を頂戴した(と、聞いた)のが大変嬉しかったです。
僕のやる事はこの紙切れの中にしか込められませんが
それが紙面から飛び出たことが、ちょっとした喜びでした。

でもこの舞台で、デザインだけじゃどうにもならない事、限界も感じました。

何をしたって役者さんには敵わない。
そして本編舞台には敵わない。

一応これまでだってそうでしたが、僕はチラシを作るとき、
想定した本番の雰囲気よりもかなり高い完成度に見積もってデザインしてます。

それでも結果、チラシは役者さんに追い越されるものだと思ってます。

追い越される分には想定内なんです。
で追い越すにあたってスタートからの当面の方向性、一里塚、ハードルとして
チラシが提供するのが幻のゴール、仮の想定目標で、
これが逸(そ)れているとスタートダッシュが狂うので
ノリだけで作って見えても結構慎重に、舞台が目指しそうな方向を
僕なりに計算して作ってる蜃気楼。もや。それが僕のチラシです。

シカクの無い部屋は稽古の進行途中、かなり大きな方向転換がありました。
チラシ製作段階でもうっすら予想していた事だったのに
僕ではそれをサポートしきれず、最終的に役者と舞台周りのスタッフとで
本番を成し遂げた感じでした。

それでも、チラシでは出来ない事があるなんてのはわかってるので、
稽古を見守ったりおせっかいを焼いたりしてます。

彼らにとって遠い遠い先輩の一人として、かもしれないし
また、一人で独学から始めた自分は一度ももらえなかった
(るはずがなかった)先輩面をしてあげたいのかも。

今回のは、それも不足。
僕のチラシやおせっかいだけではこの舞台を完全には支えきれなかった。
役者同士の結束がすべてを支え、スタッフがクリアに仕上げて見事にゴール。
客席で観ました。見応えある芝居でした。

事を終えて悔しい人、怒る人は、真剣に取り組んでいた証拠。
皆悔しそうでした。そして僕も悔しかった、そういう事です。



しかし一縷(いちる)の希望も発見できた現場でした。

現場でかなり悩んでいた人を元気づけたいなと思って
ちょっとしたデザインを仕掛けたんです。

少し元気になってくれたらいいなあと思っていたら
まさかの大泣きでお礼を言われました。
サッと作ったものだからそこまでの力はないだろう、と
思い込んでいたのが恥ずかしくなりました。
僕の心も大きく変わりました。


自分の作る物は思い通りになるとは限らない。
うまくいかない事だって、ある。
ものすごくうまくいく事だって、ある。


宣伝美術って何なんだろう。

この現場でもらった結果はどちらも
忘れてはいけない初心だと思う。

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