宣伝美術家TOMのブログ [1000-B]

宣伝美術家TOMの日常・演劇・デザイン・カメラなブログ。

EVENT-STATION. sta,22 屍螢-Shikabane Hotaru- パンフ

2012-11-28 01:37:53 | 宣伝美術
実現できるか色々怪しかったパンフレットですが、無事成立しました。
長々と書きます。

まず、撮影カット数が鬼でした。
キャスト全53カット+風景もわざわざ出かけて撮影。素材集使ってません。
人物撮影日程はメイン1日と・・・「自宅」撮影数日!

当初、1日撮影だけでは一人あたり7分しかない計算でした。
それも着替えメイク込みで。絶対無理だ。
なので自宅撮影をかなりの割合で追加しました。
写真、上手くなりました。自宅なのでじっくり作り込めました。

そもそも引っ越すにあたり撮影ができる物件を条件に探したのですが
とうとう役に立ちました。だだっ広い部屋で良かった。
それも衣裳着用撮影。つまり衣裳が完成しないと撮り始められない。
衣裳さんメイクさん小道具さん、無理なスケジュールを受けてくれてありがとうございました。

次に表紙が全て手押しの判子。それも篆刻用の練り朱肉。
これがまた、乾燥しない・・・4日ほど、部屋を表紙が埋め尽くしてました。
生活する場所以外、びっしり紙。部屋から本屋のにおいがしました。

一番日程が危なかったのが
全数ミシン製本。600冊。一人で。馬鹿ですね。
糸も、金銀糸扱いの「黒ラメ&赤ラメ」糸。結構レアで見つからず焦りました。
この糸はミシン針も通常より太い番手しか使えません。それでも油断するとすぐ絡まって切れます。
そもそも重ねた紙を真っすぐ縫うのって色々難しくて、練習しないと奇麗に縫えない。

人と分担すればもっと楽なのに、と言われるのは目に見えてます。
もちろん当初はメンバーにも頼むつもりでした。
でもやってみたら分かりますが、こんな難しいものは人に頼めませんでした。

※ここのところは僕のポリシーなのですが。
あくまでパンフは添え物であって、舞台あってこそのパンフなんです。
稽古を一日つぶす権限など、宣伝美術にはありません。
一日あるならもっと練習に充てたり、衣裳や道具を仕上げたり、話しをして分かり合えば良い。
頑張って間に合うなら、宣伝美術が引き受けるのが舞台に一番良い。間に合うなら。

それに嬉しいですよ、役者さんだってこんな馬鹿なパンフが届いたら。その一心。

時間がかかるのは前もって計算済だったので、入稿をかなり前に倒して対応しました。
もしミシン製本でなければ、もっとデザインを詰める時間がありました。
でもどちらをとるかで迷わずミシンをとりました。そして間に合いました。

「デザイナー」から見たら、ただの馬鹿です。もっとギリギリまでデザインを詰めても、
ホチキス製本なら1日で完成できるじゃないか。それとも団員に縫わせれば良いじゃないか。
パンフの文字詰めが甘い、合成がまだまだ平板、構成はもっと練られたんじゃないか。
お金をケチらなければ、どの作業も業者に発注できるじゃないか。

僕の答えは全部自分で縫う、他の作業も成立させる、でした。馬鹿。

さて舞台のクォリティはかなり満足できるものになってました。
パンフのおかげで生まれたものが0.1%だったとしても自分の選択に悔いはありません。
何より、ここまで馬鹿なパンフレットをみんなに体験させられたのだから悔いはありません。
身内もお客様も、ゾクゾクワクワクさせるならやりすぎぐらいでちょうど良い。

ある意味オーパーツだと思います。存在するのがおかしい物体。不必要な物体。

本職のデザイナーなら採算に合わないから作らない。
もっとシンプルに文字が美しく、もっと画像が美しいパンフにしたでしょう。
ページも20Pも作らないでしょうし、カメラも書も誰かを呼ぶでしょう。

単なる素人の作ならここまでの仕上がりにならない。
キャスト写真用にストロボを3台に増やし、ライティングも各陣営ごとに実験して決めました。
かなり気に入ってますがプロから見たらまだまだでしょう。でもそこじゃない、僕がやりたいのは。
何より普通、単なる趣味にここまでやってらんない。しかも無料配布のパンフレットに。

自分はプロアマどちらでもないなと思います。狭間。どっちでもなくて良かった。

年齢体力気力からして今しかできない、本職でも素人でもない今しかできない。
頑張ったからエラいのではない。苦労したからエラいのでもない。このパンフは鬼です。

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