夢は稔り難く (ゆめはみのりがたく)
敵は数多なりとも (てきはあまたなりとも)
胸に悲しみを秘めて (むねにかなしみをひめて)
我は勇みて行かん (われはいさみてゆかん)
道は極め難く (みちはきわめがたく)
腕は疲れ果つとも (うではつかれはつとも)
遠き星をめざして (とおきほしをめざして)
我は歩み続けん (われはあゆみつづけん)
これこそは我が宿命 (これこそはわがさだめ)
........
如何に望み薄く 遥かなりとも (いかにのぞみうすくはるかなりとも)
やがて いつの日か光満ちて
永遠の眠りに就く時来らん
たとえ傷つくとも
力ふり絞りて
我は歩み続けん
あの星の許へ
ご存知、スペインのある牢獄で始まる演劇である。
教会を冒涜した罪で投獄されたセルバンテスは囚人たちと共に監獄の中で即興劇をする。
ラマンチャに住んでいる一人の男は騎士の本を読みすぎ、 自分が「ドン・キホーテ」という騎士だと思い込み、従僕のサンチョと冒険に旅立つ。ただの風車を巨人だと考え戦おうとしたり、宿屋を城だといいながらそこで働いている下女を美しきドルシネアと呼び跪いたりする。
クライマックスでセルバンテスがこの歌の余韻と共に教会の審問に進んで行く処が雄々しく、
ドン・キホーテの異名(憂いを湛えた騎士)も印象深い。
見果てぬ夢
人生の主役は其々自身であり、
その存在の始まりは壮大なドラマである。
我等は夢と現実の振り子であり、終始戸惑う
が...
時折何を思ったか、猪のように夢(狂気?)に向かう勇姿は
まさに大活劇、喜劇である。
それでも夢を持たない悲劇よりずっとマシだ。