帳(とばり)で
昼間 あれほど 輝いていたものの 夕暮れには いろどりも 帳の中で あやふやになった 風がふくたび かすかに頬にふれるが 明日には止むであろう ...
救い
己の非力に 遭遇すると 昔 押し殺したことばが蘇る 「おとうさん おかあさん」 「どうして守ってくれなかったの」 ...
ボーナス
しなびたもの ふるい根株を 取り分けると 新しい株や種を植え付けたりと 黙々と畑にむかう 足がわるいのか 時々膝をさすっている 「人生いいこと無いねえ、 貧乏、貧乏で」 ...
原風景
なぜ拘るのだろう 己を突き動かすもの それはどこから来るのか 時間の経過は 心の迷路となり 世界は滞ってし...
瞳
ふとしたことで娘が不機嫌になった 「父さん、こっちにこないで」 孫まで 「ジイジ、こっちにこないで」 である じっとみつめると 目を伏せる 親への義理立てである そこ...
巡り会い
それは 小さな国の近海でのこと もう一息のところで 風に阻まれ 寒さに凍り 荒波に落ちかける燕たちがありました そのとき だれかのよぶ声で もう一度舞い上がると 大き...
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