天空海闊

喫茶店

午前中の約束をしたものの

朝からの雪

連絡できそうな喫茶店に入る

「今日はやめよう」とあっさりした声

仕事にあぶれ 寒さが押し寄せる

ジャンパーの雪をはらい

コーヒーを注文する

「お客さん、大学生?」

「いえ・・」

店には歳にそぐわないエプロンをしたマスターと

これまた同じような私だけであった

窓からの寂しげな雪景色に いたたまれず

大きなミュージックボックスにコインを入れると

その頃うろ覚えの曲を押した

*ブルージーンと皮ジャンパー



あのころ・・

ガラス越しに見える レコードの束や

カタコトする音が心地よかった




この店も20年以上前に無くなり

そのあと建ったビルも

もうずいぶん古ぼけてみえる

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