十代の一時期、飲み屋街に住んでいた。
妖しい雰囲気のクラブもあれば、おでん屋やすし屋もあった。
そこには並びに銭湯もあり、そこに通う夜の蝶たちに、暗がりで突然出くわしたりした。
そのような時、私は何か毒気のある得たいの知れない生物に一瞬身を硬くした。
女性を知らない身であれば仕方がなかったのかも知れない。
しかし、内心はもやもやとした憧れに身を持て余したりしていたのである。
風呂上りには、定番のコーヒー牛乳を
飲みながら、良くアニメ「爆発五郎」?をぽかんと見ていた。
そのコーヒー牛乳の美味しかったこと。
最近、その復刻品を飲んで見たが全然美味しいとは感じなかった。
銭湯の帰りは、しゃれたローマ字で書かれたネオン看板のある店の横を通る。
ちらっと横目でドアを見たりした。
私にはまだ禁断の森への入り口、開かずの扉でもあった。
そこを通り過ぎると少しため息をつき、その飲み屋街の秋のひんやりとした空気をゆっくりと吸い込んだ。それから星を見上げ、それから、その何もかもが・・
世の中の綺麗なものも薄汚れたものも、一緒くたに交じり合ったような路地をながめる。
半人前の苛立ちその他、心には明日への不安が色々渦巻いていたのだが、それでもそこはなぜかキラキラしていたのである。