天空海闊

東京

上京して数年が経った頃、

突然帰って来たいとの言葉。

小さな町の生活は嫌なのかと思っていた。

一緒に会社を立ち上げませんか?

そんなことを言ってくれる者など

私には稀なことだった・・

私は返答に迷い、

色よく答えられなかった。

そうですか・・

男は煙草に火をつけると、

車窓から見える田舎の風景に

ふ~っと煙をふきつけた。

それが故郷への別れだったのか、

音信不通になった。

あれから20年が過ぎた。

まぁ、お互いに

生きていれば良い。

身は固めたのだろうか?

それだけが気になる。




*東京砂漠

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