社労士みょうみょうのちょこっとセミナー

社会保険労務士の仕事を通して思ったことや考えたことを書いています。また制度や法律について、自分なりの解釈でお伝えします。

日本の年金はいつはじまった?

2014-02-20 05:22:35 | 公的年金制度
日本で年金なるものができたのはいったい、いつの頃でしょう?

いろんな本やサイトにでていたので、少し紹介します。


今から140年ほど前、明治8年(1875年)に

海軍を退役した人に「海軍退隠令」という

「恩給」がでたのがはじまりです。

現在の私たちにとって、年金といえば

保険料を払って、高齢になったらお金がもらえる、というものですが

はじまりはそうではありませんでした。

永年勤続に対する「恩恵的」「特権的」な待遇として

本人や遺族に支払われるものでした。

(なんか退職金と似ているかんじがするな)

そしてその対象となるのは

軍人・官吏(公務員)だけでした。

明治時代の軍人や官吏なんて全体のごくごく少数。

国家のために尽くした(とされる)人たちに

与えられる、特別なごほうびだったわけですね。

民間向けの年金が始まるのは、これよりずーっと後65年後の

昭和15年(1940年)です。

日中戦争が昭和12年(1937年)に始まっています。

昭和16年(1941年)には、日本はアメリカやヨーロッパの

大国を相手に、太平洋戦争を始めます。

そんな戦争真っ只中に「船員保険」という、

船乗りを対象とした、医療保険や労災保険も含む総合的な年金ができたのです。

戦争で海外にいろんな物資を運ぶためには船乗りの確保は重要なことでした。

やめた後の保証、亡くなった時の保証がなければ

船乗りになろうという人がいません。

そんなこんなで、この時期

「労働者年金保険法」(工場で働く男子労働者が対象)が昭和17年にでき

その2年後の昭和19年には、対象を男子事務員と女子労働者にひろげた

「厚生年金保険」ができました。

ここでようやくおなじみの名称がでてきましたね!

それでもまだ対象は限られた少ない人たちでした。だって

この当時まだまだ圧倒的に農業や漁業などの一次産業に就く人が多かったのですから。

対象がこういった自営業の人にまで拡大されるのはもっと後の

昭和36年(1961年)です。自営業の人たちが入れる年金ができました。

これが「国民年金」でした。これでいわゆる「国民皆年金」

となりました。

つまり、国民ぜ~んぶがなんらかの年金にはいったということです。

そして大大大改正が行われ、現在の年金制度になったのが

25年後の昭和61年(1986年)のことです。

駆け足で日本の年金の歴史を見てみました。

ところで戦争中にできた厚生年金ですが

保険料の行方やどれだけの人が年金給付を受けたのかとか

気になりますね…

戦争のドサクサでうやむやになったとか…

年金の歴史・その前に

2014-02-15 05:33:10 | 公的年金制度
日本の年金の歴史が意外と浅いというのは

知られているようで実はあまり知られていないのかもしれません。

年金がもらえない無年金のお年寄りや

それ月額ですか?ってくらい少ない年金しかもらっていない

お年寄りがいます。

そんな人たちはきちんと保険料を納めず、日々の快楽のために

お金を使っていたのでしょうか?

違いますよね。

日本の年金制度の歴史が浅く、制度に不備もあり

制度をわかりやすく教える努力がされなかったからです。

今のような免除規定もなく、生活が苦しくて

保険料が支払えなかった人も多いはずです。

そんな人たちは今現在生活保護に頼らざるを得ません。

なのに、一部の不正受給問題のため

受給要件が厳しくなり、生活保護が受けづらくなっています。

……話を年金の歴史に戻さねば

現在の年金制度は、昭和61年(1986年)にできたものです。

けっこう新参者です。

「新制度」といわれるもので、ほらよく2階建ての建物にたとえて

説明される、あれです。

1階部分が基礎年金で~2階部分が厚生年金や共済年金で~

3階部分が基金とかで~ってやつです。

「新制度」っていうくらいですから、古いやつもあるわけで

「旧制度」といわれています。

「旧制度」では2階建ての建物じゃなかったんです。

平屋の「国民年金」ってやつと、同じく平屋の「厚生年金」ってやつが

全く関係なく、独立して生活しておりました。

ちなみに旧制度時代「厚生年金」には、雇用されている人が入り、

「国民年金」には自営業の人や働いていない人が入っていました。

今サラリーマンの妻(サラリーウーマンの夫でもいいんですよ!)は

要件を満たせば国民年金の第3号となり、保険料を支払わなくても

「支払ったもの」とみなされます。これほんとよー。

ひょっとして知らない人いるかもしれないんで、念のため…

でも旧制度時代はそんなもんありませんでした。

サラリーマンの妻は入っても入らなくてもどっちでもよかったんです。

入った人は年金もらえて、入らなかった人は年金もらえない

これ当たり前のようですが、先ほどの「第3号」を考えると

「当たり前」ではないですね。

旧制度のいいかげんさをあげつらっているときりがないので

一旦終ります。

次回は歴史をぐ~んとさかのぼってみたいと思います。

年金(ねんきん)ってそもそもなに?

2014-02-15 04:50:18 | 公的年金制度
年金は「としかね」ではなく「ねんきん」とよみます。

知っていますよね?念のためです!!

年金は今じゃとってもポピュラーな話題で、

おそらく中高生でも年金という言葉は聞いたことがあると思います。

さて、この年金ですが、そもそもなんなのでしょうか?

うちのばあちゃんの銀行口座に毎月振り込まれているお金でしょ?

って言う人、おしい!

実は毎月ではなく、2ヶ月に1回の振込みなんです。

(それくらい知っとるわ、って人かんべんしてください)

年金という字からわかるように、年額いくらと決まっていて

例えば50万円なら、それを12で割り(月額に直します)

2ヶ月に1回、つまり2ヶ月分づつ支給されるのです。

年金は「毎年定期的に」「継続的に」支給されます。

ちなみに支給月は、2,4,6,8,10,12の偶数月です。

年金額が多い人はいいんですが、少ないと

支給額のお知らせが家に届いても

年額なのか月額なのか(2か月分)わからず

勘違いしちゃうかもしれません。

基本中の基本なので押さえときましょう。

年金は英語で「pension(ペンション)」といいますが

語源はラテン語の「支払い」です。

ところで、ペンションっていったらあれですよね

ほら高原とかにある、白いステキな建物

ホテルよりも割安で家庭的な雰囲気の宿泊施設

つづり(スペリング)が年金のpensionといっしょなんです。

調べてみると、年金生活者が自宅の空き部屋を学生寮や

下宿式のホテルにしたことが始まりで、比較的安く泊まれる

施設をペンションというようになった、とのことです。








社会保険ってなに?

2014-02-12 04:58:17 | 社会保険

保険にはアフラックやアリコなど民間の保険と

健康保険や厚生年金保険など公的な保険があります

公的な保険のことを「社会保険」といいます

どんな種類があるかというと





1 医療保険(健康保険や国民健康保険など)
2 年金保険(国民年金(*1)や厚生年金保険)
3 介護保険
4 雇用保険
5 労災保険
の5つです

4、5を労働保険、1~3を社会保険ということもありますが

大きなくくりとしてこの5つが社会保険といわれています

保険である以上

保険料の支払い→保険事故→保険給付の流れは

民間の保険と変りません

では公的な「社会保険」といわれるものは

民間の保険と何が違うのでしょうか?

どんな特徴があるのでしょうか?

細かい違いはいっぱいあるのですが

まずは大きな違い・特徴からです





1 社会保険は強制加入です!

  要件に該当していれば加入の義務があります

  民間の保険のように、入りたい人が入る、そんな保険ではないのです!

2 保険給付の財源は、保険料が中心ではありますが

  国や都道府県・市町村も負担しています(税金ですね)

  運営のための費用は国や都道府県・市町村が負担しています
  (税金ということですね)

  そして雇用されている人の保険料は、事業主が半分支払います


強制加入であること、税金が使われていることを考えると

民間保険に加入する前に

まずは公的保険ですよね?

年金はいずれ破綻するし、民間の個人年金に入らなきゃ!とか

病気になったら困るし、すぐにでもがん保険とか入らないとマズい!

というのはなんか違う…ということがわかりますよね?

扇動的・お得ですよ的な宣伝にまどわされず

まずは、自分が加入している公的保険のことを

もっときちんと調べてみましょう!


*1) 国民年金ですが、実は保険といいつつ、保険の原則である
     保険料支払い→保険事故→保険給付
     ではない場合もあるのです
     保険料が払えなくて全額免除されても、年金がもらえたり
     (もらえる金額は少なくなりますが)被保険者になる前から
      障害があっても、障害年金がもらえたり…
     なので正式名称は「保険」となっていません
     「国民年金」という名称です
      福祉的要素が大きいです
     だからこそ、勝手に無視を決め込まないで、ちゃんと
     保険料を払ったり、払えないときは年金事務所や役場の
     窓口で相談してください!
     
  



保険ってなに?

2014-02-09 06:04:06 | 社会保険
          
 保険
という言葉から思い浮かぶものはなんでしょうか?

アフラックやアリコなど、外資系の保険会社…

それとも明治生命、朝日生命などの漢字系の保険会社

あるいはJA共済などでしょうか

おそらく多くの人が民間の保険会社を思い浮かべるのではないかと思います

雇用保険や健康保険といった公的な保険は

あまり思いつかないような…気がします


そもそも「保険」ってなんでしょうか?

民間のものであろうと、公的なものであろうと

「保険」の基本的ルールはいっしょなのです

つまり…

保険料を支払う


保険事故が起きる


保険給付がある(保険金支払い


これが保険の原理なのです

徹底して押さえておかないといけないポイントです

民間の保険だと、「そんなんあたりまえや~ん」と思う人でも

公的保険になると、そのへんが曖昧になっているのでは

と感じます。

この原理にてらせば保険料を払っていないのに

保険給付があるはずもなく

保険事故が起きてもいないのに

保険給付があるはずがないのです


なにはともあれまずは保険料を払うです!