受験シーズンだから「大学受験に親も同行すべきなのか」
という下らないYahooニュースを目にした。
約10分間だけ読んでみたのだが、識者も、意見投稿者も、
驚くほど過剰愛に満ち溢れているので、びっくりした。
どうして吾が国の子育ては、こうなってしまったのだろう。
きっと一人か二人の子供だから、変な熱の入れ方になるの
だろうな。
親が子に願う究極のものって、なんだろう。
それが違うから上記のような不思議で滑稽な悩みが生まれ
るのだろう。
親が子に願う究極は、間違いなく「自立」であろう。
6歳にもなって玉子を上手に割れない子供なんぞ、家庭の
教育が間違っているからである。
12歳になったら一人で電車に乗り、15歳になったら親の
でしゃばりを嫌がるようにしてやらなければいけない。
そのように子の自立を育てるのが本当の教育であり、親の
愛なのである。
受験で東京に行き、新宿駅で迷子になったと泣いて電話
してくる子が居るそうだが、子をそうしたのは親である。
自立心を育てる教育を怠ったから、そうなるのである。
私たちの世代は一人で上京し、自分で宿を取り、受験した。
晩御飯をどこで食べるか迷い、エレベーターで昇った所に
ある店に入ったらハープがど~んと置かれてある店だった。
(あっ!)と思ったが、Uターン出来ずに一番安いのを注文
したのだが、3.000円もした。(今なら1万円以上だな)
つまり、場違いな店に入ってしまったのだが、それもいい
思い出になっているのである。
そんなに心配なら11月にでも子一人で予行演習させれば
いいだけのこと。一人で飛行機や電車に乗り、宿に泊まり、
受験先までの道を覚えればいいだけのこと。緊張がほどけ、
きっと有意義な旅になるだろう。それも自立の一歩である。
とろけるまで撫で回していいのは猫だけである。
猫可愛がりされると、私のような駄目人間が出来上がる。
実は、私が本当に大人になったと自覚したのは28歳だ。
母親が私に強く熱を継ぎ込んだから、3歳下の妹は自立が
とても早く、その点は良かったと思っているが(笑)
書道家・金澤翔子君はご存知でしょう。
ダウン症ながら、書道の著名プロである。
翔子君を見ていて感ずるのは、母・泰子君の深い愛、本物の
愛である。
42歳で産んだ子(父・既に死亡)だから、娘の将来を思い、
一人住まいをさせ、自立を願っているのである。
あの二人の姿に、本当の教育が凝縮されているのだが、
世間の親は他人事として見ようともしない。
だから、いつのまにか、自立できない引き籠りが146万人。
どうして旅に出なかったんだ、坊や♪
行かなくてもおんなじだと思ったのかい♪
友部正人「どうして旅に出なかったんだ」