ホイッスルバード あいざわぶん

飲食業者は学校給食を見習うべし

斎藤茂吉が初めて松山市を訪れたのは昭和12年5月。
山陰の旅から松山へも寄ったのは短歌結社「アララギ」
松山支部からお呼びが掛かったからであろうが、それは
表向きで、本心は不倫相手で松山在住の永井ふさ子に
会いたかったからに違いない。

で、きっと、こっそり二人で鰻を食べたのではないか、と
私は想像しているのだが、入念に調べてもそんな話は
出て来ない。そう!二人の秘密行動だからに違いない。

茂吉の長男・茂太は、「父は鰻を食べると、目がぎらぎら
してきた」と証言している。
昭和9年に東京都でふさ子を誘い、初鰻を食べている
二人だから、松山でもきっとHの前に食べている筈。
で、吾が関心は、どこの店の鰻なのか、ということである。

実はわたくし、鰻が美味しいと思ったことがない。
初めて食べた子供の頃に、骨に気付いて「嫌いな魚」に
なってしまい、大人になってからも何度か挑戦したのだが
どうも美味しいとは思えないままで来た。
茂吉が好きなんだから、どうか私も鰻好きになりたい。
単純に、歌聖茂吉に少しでも近付きたいわけである。
だから茂吉が松山で食べた店なら食べてみたいのだ。

ところで、先日の土用丑の日のこと。
猛暑の中、鰻を焼く職人が汗を滴らせて焼いている。
その汗がぽたぽた鰻に降りかかっているのでは、と心配
でならない私。世間の皆さんが気にしないのが不思議。
ちょっと神経質なところがある私は、少しだけ気にする
のだが、更に気にするのは商品の上でしゃべること。
新型肺炎ウイルス過の際には飲食関係者はすべからく
マスクしていたので、私からすれば天国だったのだが、
最近ではマスクをしなくなって少々不満が募っている。

で、事もあろうに、某百貨店で鰻の集団食中毒が発生し、
90代女性が死亡してしまった。
百貨店に鰻専門店として出入りしている業者が、手袋を
しないで調理していたのだそうな。
つまりマスク以前の必須条件を無視していたというわけ。

鰻店の経営が続くのかどうかに私は興味が無い。
ニュースを見た全国の飲食経営者がどう思っているのか。
それだけが興味の的なのだ。
衛生的じゃない人は飲食に携わるべきじゃない。
どうも私の鰻嫌いは、あの汗も原因なのかもしれない。

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