ホイッスルバード あいざわぶん

伊予の偉人 伊丹万作

松山市に「伊丹十三記念館」があるのをご存知か。
役者・映画監督として活躍した人だが、妻・宮本信子君が
現役の有名俳優であるのは皆さんもご存知の通り。

残念なことに十三監督は自死をなさり、私は彼の映画が
好きだったら、その死が残念でならなかった。
で、記念館が出来たので、山形から記念館訪問を一つの
目的として松山市に二度目の旅をしたのだった。
(一度目は勤務先の慰安旅行で訪問)

記念館で最も感銘を受けたのは、実は十三君の父である
映画監督・伊丹万作君の存在だった。
それが「何か」であるのは後から書くことにして、目の前で
常に起きてしまう事象を例として挙げてみよう。

昨日、当ブログで話題にした「米価高騰の原因」が然り。
「農水省が原因だ。備蓄米を出せ」と文句を言う人たちが
一斉に出てしまう。

次の例は、兵庫県知事選での異様な潮流の変化。
「自死した県民局長は、部下のA子と長く不倫していた。
それどころか役職を利用して10名の部下を脅し、関係を
持っていた。パソコン内には猥褻な映像が残されていた」
などという、例え事実が含まれていたとしても本来は流出
してはいけない事柄がどうして流出しているのかも考えず、
「局長は悪人。だから知事は悪くない」と、あっさり結論を
出してしまう大きな流れが選挙結果に反映したのである。
これは、「私は騙されていた」という感情が底辺にあるから
であろう。「私を騙していた人たちが居た。許せない」とも
思ったことであろうことは、容易に想像がつくのである。

でなけりゃ、あのような手の平返しは起きないよ。
「御免なさい、斎藤知事」と誘導したのは「NHKをぶっ壊す
党」の立花孝志君だが、その通りに110万人の県民が
動いたのである。
「既存メディアに真実はない」・「私は真実を知っている」と
いう「虚言」を信じた人たちがドッと現れたということなのだ。
その人たちが県庁前に朝もはよから列を成し、「お帰りなさい、
斎藤知事」と薄気味悪い笑顔で迎えたのである。

で、今、その人たちは混乱し、(真実は何)と思っているの
ではなかろうか。だって、「馬鹿を利用するのは簡単だ」と
立花君は笑いながら放言しているのだから。
そして、(あの選挙に私は騙されてたのかも)と、薄々感じ
始めているのではなかろうか。

さて、ここから私を感動させた伊丹万作君の話に戻る。
彼は終戦直後、「戦争責任者の問題」を書いている。

  騙されるということ自体が既に一つの悪である。
  あんなにも雑作なく騙されるほど判断力を失い、
  思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に
  自己の一切を委ねるようになってしまった国民
  全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任、
  などが悪の本体なのである。
  「騙されていた」と言って平気で居られる国民なら
  おそらく今後も何度も騙されるだろう。いや、現在
  でも既に別の嘘によって騙され始めているに違い
  ないのである。

記念館を出てからも、私はほとほと感じ入っていた。
あの日はとても暑かったのだが、記念館は川の畔にあり、
川風が吾が身に吹くのを心地よく受けたのだった。

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