魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

老子『道徳経』を翻訳してみました。66

2017年11月04日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十六章
原文

江海所以能爲百谷王者、以其善下之、故能爲百谷王。是以欲上民、必以言下之、欲先民、必以身後之。是以聖人、處上而民不重、處前而民不害。是以天下樂推而不厭。以其不爭、故天下莫能與之爭。

英訳文
Large rivers and the ocean are kings of many rivers because they are at the lower reaches. So if you want to rule the people, you should make your speech humble. If you want to lead the people, you should make your body follow them. So when the saint who knows "the way" rules the people, they don't feel any burden. When he leads the people, they don't feel any obstacles. So the people in the world delightfully have him as their leader and nobody hates it. He never competes with others, and nobody can compete with him.

書き下し文
江海(こうかい)の能(よ)く百谷(ひゃっこく)の王たる所以(ゆえん)の者は、その善くこれに下るを以(も)って、故に能く百谷の王たり。ここを以って民に上(かみ)たらんと欲すれば、必ず言(げん)を以ってこれに下り、民に先んぜんと欲すれば、必ず身を以ってこれに後(おく)る。ここを以って聖人は、上に処(お)るも而(しか)も民は重しとせず、前に処るも而も民は害とせず。ここを以って天下は推(お)すことを楽しみて厭(いと)わず。その争わざるを以って、故に天下能くこれと争うことなし。

現代語訳

大河や海が幾百もの谷川の水を集めて河川の王となっているのは、常に下流にあってへりくだっているからである。だからこそ河川の王となれるのだ。そこでもし民衆の上に立とうとするならば、必ず謙虚な物言いで人々にへりくだり、民衆の前に立とうとするならば、必ず自分の身を人々の後にするべきだ。だから「道」を知った聖人は、民衆の上に立っても彼らの重荷とならず、民衆の前に立っても彼らの邪魔とはならない。そうやって天下の人々は彼を喜んで指導者として推戴し、誰も嫌がる事が無い。他人を押しのけて指導者になろうとする訳ではないから、誰も彼と争おうとする者がいないのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。67 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。65

2017年11月03日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十五章
原文

古之善爲道者、非以明民、將以愚之。民之難治、以其智多。故以智治國、國之賊。不以智治國、國之福。知此兩者、亦𥡴式。常知𥡴式、是謂玄徳。玄徳深矣、遠矣。與物反矣。然後乃至大順。

英訳文

A person who mastered "the way" from ancient time did not make people knowledgeable. He made them ignorant. If people have too much knowledge, you must have trouble to rule them. If you rule your country with intelligence, you will ruin it. If you rule your country without intelligence, it will flourish. To understand these two things is the law of politics. To always obey this law is called "mysterious virtues". These virtues are deep and far, and go back to the Nature.

書き下し文
古えの善く道を為す者は、以(も)って民を明らかにするに非ず、将に以ってこれを愚かにせんとす。民の治め難(がた)きは、その智の多きを以ってなり。故に智を以って国を治むるは、国の賊なり。智を以って国を治めざるは、国の福なり。この両者を知るは、また𥡴式(けいしき)なり。常に𥡴式を知る、これを玄徳(げんとく)と謂(い)う。玄徳は深し、遠し。物と与(とも)に反(かえ)る。然る後(のち)乃(すなわ)ち大順(たいじゅん)に至る。

現代語訳
古くからの「道」を充分に修めた人は、民衆を聡明にしようとはしなかった、むしろ愚直にしようとしたのだ。民衆が治め難いのは余計な知恵がついたためである。だから知恵に頼って国を治めようとするのは国を滅ぼす原因となる。余計な知恵を用いず国を治めれば国は安泰である。これら二つは国を治める時の法則である。この法則を常に守る事を「玄徳 – 神秘なる徳」という。玄徳は深遠で測りがたく、この世の万物と共に帰る。つまり大いなる順応によって無為自然へと至る道なのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。66 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。64

2017年11月02日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十四章
原文

其安易持、其未兆易謀。其脆易泮、其微易散。爲之於未有、治之於未亂。合抱之木、生於毫末、九層之臺、起於累土、千里之行、始於足下。爲者敗之、執者失之。是以聖人、無爲故無敗、無執故無失。民之從事、常於幾成而敗之。愼終如始、則無敗事。是以聖人、欲不欲、不貴難得之貨。學不學、復衆人之所過。以輔萬物之自然、而不敢爲。

英訳文
You can keep a thing easily when it is steady. You can deal with a problem easily before it gets complicated. Soft things are easily dissolved. Tiny things are easily scattered. So you should deal with a problem before it occurs and causes confusion. A big tree begins from a tiny sprout. A high building begins from a heap of soil. A journey of a thousand miles begins with a single step. You will spoil things if you do unnecessary things. You will lose things if you are attached to them. The saint who knows "the way" does not do unnecessary things, so he does not spoil anything. He has no attachment to things, so he does not lose anything. People tend to fail by carelessness when they have almost reached the end. If they pay attention like the beginning, they does not fail. So the saint who knows "the way" curbs desire, does not value treasures, gets rid of useless knowledge, and restrains people from going too far. He lets all things be without doing unnecessary things.

書き下し文
その安きは持し易(やす)く、その未(いま)だ兆(きざ)さざるは謀(はか)り易し。その脆(もろ)きは泮(と)かし易く、その微(び)なるは散らし易し。これを未だ有らざるに為(な)し、これを未だ乱れざるに治む。合抱(ごうほう)の木も毫末(ごうまつ)より生じ、九層の台も累土(るいど)より起こり、千里の行も足下(そっか)より始まる。為す者はこれを敗り、執(と)る者はこれを失う。ここを以(も)って聖人は、為すこと無し、故に敗るることも無し。執ること無し、故に失うことも無し。民の事(こと)に従うは、常に幾(ほと)んど成るに於(お)いてこれを敗る。終りを慎しむこと始めの如くなれば、則(すなわ)ち事を敗ること無し。ここを以って聖人は、欲せざるを欲して、得難(えがた)きの貨を貴ばず。学ばざるを学びて、衆人の過ぎたる所を復(かえ)す。以って万物の自然を輔(たす)けて、而(しか)して敢えて為さず。

現代語訳
物事が安定している時にはそれを維持しやすく、不安定な兆しが見えないうちは問題に対処しやすい。柔らかな物は溶かしやすく、細かな物は飛び散りやすい。つまり問題というのは、それらが現実となって混乱が生じる前に対処するべきなのだ。一抱えもある大木も毛先ほどの芽から生まれ、大きな建物も土台を盛る事から始め、千里の道も一歩から始まる。そうした基本を忘れて何かをしようとすれば台無しになり、何かに執着すればかえって失う事になる。そこで「道」を知った聖人は余計な事をしないので台無しにする事もなく、物事に執着しないので失うこともない。人々が何かをしようという時は、あと少しで完成という所で油断して台無しにしてしまう。完成間近の時こそ始めの様に慎重にすれば、失敗する事などないのだ。だから聖人は欲望を抑え、貴重な品々には目もくれず、余計な知識を排除して、人々の行き過ぎた欲望や知識から焦りや油断が生まれぬようにする。こうして万物自然のありのままの姿を大切にして、ことさらに何か余計な事をしないのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。65 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。63

2017年11月01日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十三章
原文

爲無爲、事無事、味無味。大小多少、報怨以徳。圖難於其易、爲大於其細。天下難事必作於易、天下大事必作於細。是以聖人終不爲大、故能成其大。夫輕諾必寡信、多易必多難。是以聖人猶難之、故終無難。

英訳文
Do doing nothing. Live for nothing special. Enjoy tasteless life. Consider small things as big and small quantity as large. Repay a favor to a grudge. Solve a problem before it becomes hard. Solve a trouble before it becomes big. A hard problem often results from an easy problem. A big trouble often results from a small trouble. So the saint who knows "the way" does not do a great thing. He does small things and accomplishes great things. If you undertake problems casually, you will lose your trust. If you regard problems as easy, they will become hard. But the saint considers all problems as hard, and he can solve them easily as a result.

書き下し文
無為を為(な)し、無事を事(こと)とし、無味(むみ)を味わう。小を大とし少を多とし、怨みに報ゆるに徳を以(も)ってす。難(かた)きをその易(やす)きに図(はか)り、大をその細(さい)に為す。天下の難事(なんじ)は必ず易きより作(おこ)り、天下の大事は必ず細より作(おこ)る。ここを以って聖人は終(つい)に大を為さず、故に能(よ)くその大を成す。それ軽諾(けいだく)は必ず信寡(すくな)く、易きこと多ければ必ず難きこと多し。ここを以って聖人すら猶(な)おこれを難しとす、故に終に難きこと無し。

現代語訳
「特に何もしない」という事をして、「なんでも無い事」を仕事として、「味気の無い生活」を味わう。小さなものを大きく捉え、少ないものを多く感じて、人から受けた怨みには徳をもって報いる。難しい事はそれがまだ簡単なうちによく考え、大きな問題はそれがまだ小さいうちに処理する。この世の難しい事は必ず簡単な事から始まり、大きな問題は必ず小さな事から始まるのだ。だから「道」を知った聖人はわざわざ大事を成そうとはしない、小さな事を積み重ねて大事を成すのだ。安請け合いをしていては信頼など得られないし、安易に考えていると必ず困難な目に合う。しかし聖人は些細な事でも難しい問題として対処するので、結果的に特に難しい事もなく問題を解決できるのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。64 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。62

2017年10月31日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十二章
原文

道者萬物之奧。善人之寳、不善人之所保。美言可以市尊、美行可以加人。人之不善、何棄之有。故立天子、置三公、雖有拱璧以先駟馬、不如坐進此道。古之所以貴此道者何。不曰求以得、有罪以免耶。故爲天下貴。

英訳文
"The way" is the source of all things. The good people value it and the not good people are protected by it. Some gain their honor by flowery words and some gain their status by hypocritical behavior. So just because people are not good, why could we forsake them? When an emperor ascends his throne or a vassal is appointed as one of the Three Excellencies, vassals present treasure on a coach. But to propose "the way" is far better than to do such thing. Why did ancient people value "the way"? It is because some realize their wish by it and some are forgiven their sin by it. So "the way" is the most sacred in the world.

書き下し文
道なる者は万物の奥なり。善人の宝にして、不善人の保(やす)んずる所なり。美言(びげん)は以(も)って尊(そん)を市(か)うべく、美行(びこう)は以って人に加うべし。人の不善なるも、何の棄つることかこれ有らん。故に天子を立て、三公(さんこう)を置くに、拱璧(こうへき)以って駟馬(しば)に先(さき)んずる有りと雖(いえ)ども、坐(ざ)して此(こ)の道を進むるに如(し)かず。古えの此の道を貴(たっと)ぶ所以(ゆえん)の者は何ぞ。求むれば以って得られ、罪あるも以って免(まぬが)ると曰(い)わずや。故に天下の貴きものと為る。

現代語訳
「道」はあらゆるものを包み込む万物の根源である。善人が大切に守るものであり、善人では無い者もこれによって守られるものである。飾り立てた言葉によって尊敬を得る者もいるし、飾り立てた行動によって人の上に立つ者もいるのだから、善人では無いというだけで、どうしてその人を見捨てる事ができるだろうか。だから天子の即位や大臣の任命の時に、豪華な宝物を四頭立ての馬車に載せて献上する事があるけれども、そんな事をするよりも座ったままで「道」を守る様に進言した方が良い。昔の人々がこの「道」を大切にした理由は何であろうか? それは「道」によって求めるものが得られ、「道」によって過ちが許されるからである。だからこそ「道」はこの世で最も貴いものとなっているのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。63 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。61

2017年10月30日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十一章
原文

大國者下流。天下之交、天下之牝。牝常以靜勝牡。以靜爲下。故大國以下小國、則取小國、小國以下大國、則取大國。故或下以取、或下而取。大國不過欲兼畜人、小國不過欲入事人。夫兩者、各得其所欲、大者宜爲下。

英訳文

A big country is, so to speak, lower reaches of a large river. All things flow into it and it accept them like a female. A female stays calm and beats a male. It is because a female stays calm and is humble to a male. If a big country is humble to small countries, the big country will get obedience from small countries. If a small country is humble to a big country, the small country will get protection by the big country. So someone gets trust with being humble and someone else gets ease with being humble. This type of big country only wants to support people of small countries and small countries only want to serve the big country. If these countries want to fulfill their wishes, a big country should be the first to be humble.

書き下し文

大国は下流なり。天下の交(こう)、天下の牝(ひん)なり。牝は常に静(せい)を以(も)って牡(ぼ)に勝つ。静を以って下ることを為せばなり。故に大国以って小国に下れば、則(すなわ)ち小国を取り、小国以って大国に下れば、則ち大国を取る。故に或(ある)いは下りて以って取り、或いは下りて而(しか)して取る。大国は兼ねて人を畜(やしな)わんと欲するに過ぎず、小国は入りて人に事(つか)えんと欲するに過ぎず。それ両者、各々(おのおの)その欲する所を得んとせば、大なる者は宜(よろし)く下ることを為すべし。

現代語訳
大国というのは、言わば大河の下流の様なものだ。天下のあらゆる物が流れ込んで来る所であり、天下の全てを受け入れる牝(メス)である。牝は常に静かにじっとしていながら牡(オス)に勝つ。それは静けさを保ちながら、牡に対してへりくだっているからなのだ。その様に大国が小国にへりくだれば小国の服従を得て、小国が大国にへりくだれば大国の保護が得られる。こうしてある者はへりくだって信頼を得て、ある者はへりくだって安心を得る。この様な大国は小国の人々も養いたいと思うだけであり、小国はそんな大国の役に立ちたいと思うだけである。これらの国々がお互いに望みを叶えようとするならば、まず力のある大国の側がへりくだるべきである。

老子『道徳経』を翻訳してみました。62 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。60

2017年10月29日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十章
原文

治大國、若烹小鮮。以道莅天下、其鬼不神。非其鬼不神、其神不傷人。非其神不傷人、聖人亦不傷人。夫兩不相傷。故徳交歸焉。

英訳文

When you govern a big country, you should stay still like simmering small fish. If you govern the world with "the way", spirits never curse people. Not only spirits never curse people, but curses also never harm people. Not only curses never harm people, but the government of the saint who knows "the way" also never harms people. Because both spirits and humans never harm people, people benefit from these.

書き下し文

大国を治むるは、小鮮(しょうせん)を烹(に)るが若(ごと)し。道を以(も)って天下に莅(のぞ)めば、その鬼(き)も神(しん)ならず。その鬼の神ならざるに非(あら)ず、その神も人を傷(そこな)わず。その神も人を傷わざるに非ず、聖人もまた人を傷わず。それ両(ふた)つながら相い傷わず。故に徳こもごも焉(これ)に帰す。

現代語訳

大きな国を治める時には、小魚を煮る時の様に無闇にかき回さずじっとしてると良い。この様に「道」にしたがって世の中を治めるならば、鬼神が人に祟(たた)りを為す事が無い。鬼神が人に祟りを為さないだけで無く、祟りそのものが人に害を為す事も無いのだ。祟りが人に害を為す事が無いだけで無く、「道」を知った聖人の政治も人に害を為す事も無い。こうして鬼神も人も害を為す事が無いので、その恩恵が人々の身に降り注ぐのである。

老子『道徳経』を翻訳してみました。61 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。59

2017年10月28日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
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第五十九章
原文

治人事天、莫若嗇。夫唯嗇、是以早服。早服、謂之重積徳。重積徳、則無不克。無不克、則莫知其極。莫知其極、可以有國。有國之母、可以長久。是謂深根固柢、長生久視之道。

英訳文

If you govern the people and obey the heaven's will, frugality is most important. The earlier you become frugal, the earlier you can follow "the way". The earlier you follow "the way", the more you pile virtues. If you piled virtues, you can overcome everything. If you can overcome everything, your merit has no limit. If your merit has no limit, you can maintain a nation. The basis of maintaining a nation is frugality. Frugality maintains a nation for a long time. This is called "the way of long life by maintaining vitality like plants take root."

書き下し文

人を治め天に事(つか)うるは、嗇(しょく)に若(し)くは莫(な)し。それ唯(た)だ嗇、ここを以(も)って早く服す。早く服するは、これを重ねて徳を積むと謂(い)う。重ねて徳を積めば、則ち克(か)たざる無し。克たざる無ければ、則ちその極(きょく)を知る莫し。その極を知る莫ければ、以って国を有(たも)つべし。国を有つの母は、以って長久なるべし。これを根を深くし、柢(てい)を固くし、長生久視(ちょうせいきゅうし)するの道と謂う。

現代語訳

人々を治めて天命に従うのなら倹約に勝るものは無い。倹約をするからこそ無駄な事をせずに早く「道」に従う事ができるのだ。早く「道」に従えば多くの徳を積み重ねる事が出来る。多くの徳が積み重なれば何者にも勝る事が出来る。何者に勝る事が出来ればその果報には際限が無い。果報に際限が無ければ国家を安定維持する事が出来る。国家を安定維持する事の母、すなわち倹約によって国は長く栄えるであろう。これを「樹木が地底に深く根を張る様に、活力を保ちながら長生きする道」と言う。

老子『道徳経』を翻訳してみました。60 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。58

2017年10月27日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第五十八章
原文

其政悶悶、其民醇醇。其政察察、其民缺缺。禍兮福之所倚、福兮禍之所伏。孰知其極。其無正。正復爲奇、善復爲訞。人之迷、其日固久。是以聖人、方而不割、廉而不劌、直而不肆、光而不耀。

英訳文
If a government is loose, the people will be pure and rich. If a government is strict, the people will be sly and poor. Bad luck brings good luck. Good luck brings bad luck. No one knows the end of luck. There is no common sense in this world. A common sense here can be senseless over there. A good thing here can be dubious over there. People have not realized these and are wandering for a long time. So the saint who knows "the way" never distinguishes right and wrong though he is right, never blames others though he is innocent, never forces others though he is steady, and never attracts others' attention though he is brilliant.

書き下し文

その政(まつりごと)悶悶(もんもん)たれば、その民は醇醇(じゅんじゅん)たり。その政察察(さつさつ)たれば、その民は欠欠(けつけつ)たり。禍いは福の倚(よ)る所、福は禍いの伏(ふ)す所。孰(た)れかその極を知らん。それ正なし。正は復(ま)た奇と為(な)り、善は復た訞(よう)と為る。人の迷えるや、その日固(もと)より久し。ここを以(も)って聖人は、方(ほう)なるも而(しか)も割(さ)かず、廉(れん)なるも而も劌(すこな)わず、直なるも而も肆(の)びず、光あるも而も耀(かがや)かず。

現代語訳
政治がおおらかで曖昧であれば人々は純朴で豊かに暮らす事ができる。政治が事細かにきっちりしていると人々は利を求めてピリピリする様になる。災いは福の始まり、福は災いの始まりでこの循環がどこへ行き着くかは誰も知らない。そもそもこの世に常識なんてものは無いのだが、こちらで常識であったものがあちらでは非常識となり、こちらでの善い事があちらでは怪しげな事になる。世の人々はその事に気づかずにずっと迷い続けているのだ。だからこそ「道」を知った聖人は、品行方正でありながら善悪を区別せず、清廉でありながら他人を非難せず、真っ直ぐでありながら他人に無理強いはせず、まばゆいばかりの智恵を持ちながら目立とうとはしないのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。59 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。57

2017年10月26日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
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第五十七章
原文

以正治國、以奇用兵、以無事取天下。吾何以知其然哉。以此。夫天下多忌諱、而民彌貧。民多利器、國家滋昬。民多智慧、邪事滋起。法令滋彰、盗賊多有。故聖人云、我無爲而民自化。我好靜而民自正。我無事而民自富。我無欲而民自樸。

英訳文
Govern a country with the right way. Use clever schemes when you make a war. But to get the world, you should do nothing. Why do I think so? Like this. If there are so many laws, people will become poor. And they will use convenient tools, they will disturb order. And they will get much knowledge, cunning people of them will do wrong. And many laws will be enacted again, many people will become robbers. So the saint who knows "the way" says - "People are inspired because I do nothing. People correct themselves because I am silent. People become rich because I do nothing. People are still naive because I am unselfish."

書き下し文
正を以(も)って国を治め、奇を以って兵を用い、無事を以って天下を取る。吾れ何を以ってその然るを知るや。これを以ってなり。それ天下に忌諱(きき)多くして、民弥々(いよいよ)貧し。民に利器多くして、国家滋々(ますます)昏(みだ)る。民に知恵多くして、邪事(じゃじ)滋々起こる。法令滋々彰(あき)らかにして、盗賊多く有り。故に聖人は云(い)う、我(わ)れ無為にして民自(おのずか)ら化(か)す。我れ静を好みて民自ら正し。我れ無事にして民自ら富む。我れ無欲にして民自ら樸(ぼく)なりと。

現代語訳
国を治めるには正しいやり方で行い、戦には奇策を用いると言われるが、天下を得るには作為的な事は何もしない方が良い。私が何故そう思うのかと言うと、以下の通りである。世の中が規則や法律でがんじがらめになると自由な生産が妨げられて民衆が貧しくなり、その民衆が生活を豊かにしようと便利な道具を使うようになると国家が混乱し、そうして余計な知恵をつけた民衆の中から悪事を働くものが出るようになり、そしてさらに規則や法律が増やされてまた盗賊が増えるという悪循環に陥るからだ。だから「道」を知った聖人は以下の様に言う、「私が余計な事をしないからこそ、民衆は自ら感化される。私が静かに動かないでいるからこそ、民衆は自らを正す。私が特に何もしないからこそ、民衆は自ら豊かになる。私が無欲であるからこそ、民衆も素朴な生活を楽しめるのだ」と。

老子『道徳経』を翻訳してみました。58 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。56

2017年10月25日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
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第五十六章
原文

知者不言、言者不知。塞其兌、閉其門、挫其鋭、解其紛、和其光、同其塵。是謂玄同。故不可得而親、不可得而疏。不可得而利、不可得而害。不可得而貴、不可得而賤。故爲天下貴。

英訳文

A person who truly understands does not speak. A person who speaks does not understand. A person who understands "the way" shuts his ears, eyes and mouth to prevent comings and goings of knowledge. He dulls his senses and disentangles tangles of his senses. He softens his brightness and assimilates into dust. This is called "mysterious assimilation". You cannot either make a friend of him or become estranged from him. You cannot either benefit him or damage him. You cannot either respect him or despise him. So he is the most sacred in the world.

書き下し文

知る者は言わず、言う者は知らず。その兌(あな)を塞(ふさ)ぎて、その門を閉し、その鋭(えい)を挫(くじ)いて、その紛(ふん)を解(と)き、その光を和(やわら)げて、その塵(ちり)に同(おな)じくす。これを玄同(げんどう)と謂(い)う。故に得て親しむべからず、得て疏(うと)んずべからず。得て利すべからず、得て害すべからず。得て貴(たっと)ぶべからず、得て賤(いや)しむべからず。故に天下の貴きとなる。

現代語訳

本当に理解している人はそれらについて話さない。べらべらと語りたがる者はまだ理解が足りないのだ。本当に道理が解っている人間は耳目や口を塞いで余計な知識の出入り口を閉ざし、鋭敏な感覚を鈍くして意識のもつれを解きほぐし、自らの輝きを和らげて何でもない塵と一つになる。これを神秘なる同一と言う。この同一を得た人は、近づいて親しむ事もできず、遠ざけて疎遠にする事もできない。利益を与える事もできなければ、損害を与える事もできない。敬って尊ぶ事もできなければ、卑しんで侮る事もできない。そうしてこの世で最も貴い存在となっているのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。57 へ続く。




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田口佳史
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老子『道徳経』を翻訳してみました。55

2017年10月24日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第五十五章
原文

含徳之厚、比於赤子。蜂蠆虺蛇不螫、猛獸不據、攫鳥不搏。骨弱筋柔而握固。未知牝牡之合而全作、精之至也。終日號而不嗄、和之至也。知和曰常、知常曰明。益生曰祥、心使氣曰強。物壯則老。謂之不道。不道早已。

英訳文
A person who has inner virtue enough is like a baby. Poisonous insects and snakes don't bite babies. Beasts and birds of prey don't attack babies. A baby's bones are weak, sinews are soft, but clenched fists are hard. Though a baby does not know about sexual intercourse, his penis can become erect. That's because his vigor is in the climax. Even if a baby cries all day long, he never gets hoarse. That's because the harmony of his body is in the climax. To know harmony is to know invariable way. To know invariable way is called "clear wisdom". To unnaturally lengthen life is ominous. To urge your spirits by thought is compulsion. The stronger a thing is, the sooner it declines. This is called "Not to follow 'the way'". If you do not follow "the way", you will be ruined soon.

書き下し文
含徳(がんとく)の厚きは、赤子(せきし)に比す。蜂蠆虺蛇(ほうたいきだ)も螫(さ)さず、猛獣も拠(おそ)わず、攫鳥(かくちょう)も搏(う)たず。骨は弱く筋は柔らかくして而(しか)も握ること固し。未(いま)だ牝牡(ひんぼ)の合(ごう)を知らずして而も全(さい)の作(た)つは、精の至りなり。終日号(さけ)びて而も嗄(か)れざるは、和の至りなり。和を知るを常と曰(い)い、常を知るを明と曰う。生を益(ま)すを祥(わざわい)と曰い、心、気を使うを強と曰う。物は壮(さかん)なれば則(すなわ)ち老ゆ。これを不道と謂(い)う。不道は早く已(や)む。

現代語訳
内なる徳を豊かに備えた人の有様は、赤ん坊に例えられる。赤ん坊には毒虫や毒蛇の類が刺したり噛み付いたりせず、猛獣や猛禽も傷つけようとはしない。骨は弱く筋肉は柔らかいが拳を握れば固い。男女の交わりも知らないのに陰茎がちゃんと勃起するのは、その精力が最高だからである。一日中泣いても声がかれないのは、その身体の調和が最高だからである。調和を知る事が常の道を知る事であり、常の道を知る事は「明らかなる知恵」と呼ばれる。無理に寿命を長くしようとする事は不吉であり、頭で気力を盛り上げようとするのは無理強いである。物事は勢いがあればそれだけ衰えるのも早いものだ。これを「道を弁えない行為」と言うが、「道」を弁えていないと早々に滅びが訪れる。

老子『道徳経』を翻訳してみました。56 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。54

2017年10月23日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第五十四章
原文

善建者不抜、善抱者不脱。子孫以祭祀不輟。修之於身、其徳乃眞。修之於家、其徳乃餘。修之於郷、其徳乃長。修之於邦、其徳乃豐。修之於天下、其徳乃普。故以身觀身、以家觀家、以郷觀郷、以邦觀邦、以天下觀天下。吾何以知天下然哉。以此。

英訳文
A pillar set up firmly cannot be pulled out. A thing held tightly cannot be snatched. If you follow "the way" like this, your offspring will prosper and they will continue worshipping their ancestors. If a person follows "the way", the usefulness is for sure. If a family follows "the way", the usefulness is more than enough. If a village follows "the way", the usefulness lasts long. If a country follows "the way", the usefulness is abundant. If the world follows "the way", the usefulness spreads all over the world. So when I see a person, I watch how he follows "the way". A family, a village, a country and even the world are the same. How can I know the world? Like this.

書き下し文
善く建てたるは抜けず、善く抱けるは脱せず。子孫以(も)って祭祀して輟(や)まず。これを身に修むれば、その徳は乃(すなわ)ち真なり。これを家に修むれば、その徳は乃ち余りあり。これを郷(きょう)に修むれば、その徳は乃ち長し。これを邦(くに)に修むれば、その徳は乃ち豊(ゆた)かなり。これを天下に修むれば、その徳は乃ち普(あまね)し。故に身を以って身を観(み)、家を以って家を観、郷を以って郷を観、邦を以って邦を観、天下を以って天下を観る。吾れ何を以って天下の然(しか)るを知るや。これを以ってなり。

現代語訳
しっかりと建てられた柱は簡単に抜ける事は無く、しっかり抱え込まれた物が抜け落ちる事は無い。この様に「道」をしっかり守っていれば、子孫は栄えて先祖の供養が絶える事は無いだろう。こうした「道」の実践を個人で行えばその効用は確実であり、一家で行えば効用は有り余る程である。村で行えば効用は長持ちし、国で行えば効用は豊かになる。これを天下万民が行えばその効用は広く隅々まで行き渡る。だから私は人を見るときにはその「道」の修め方を見る。一家を見る時も、村を見るときも、国を見るときも、天下を見る時も、その「道」の修め方を見るのだ。私がどうやって天下の情勢を知るかといえば、この様にしてである。

老子『道徳経』を翻訳してみました。55 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。53

2017年10月22日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第五十三章
原文

使我介然有知、行於大道、唯施是畏。大道甚夷、而民好徑。朝甚除、田甚蕪、倉甚虚。服文綵、帶利劔、厭飮食、財貨有餘。是謂盗夸。非道也哉。

英訳文

If I had any unnecessary knowledge, I would be afraid of stepping into byways. The great way of life is very even, but people like to go on byways. Though the Court is tidy, fields of crops are ruined. And the national treasury is empty. But some people wear gorgeous clothes and a sharp sword. They eat their fill and have many treasures. Their deeds are the same as robbers. They are going against "the way".

書き下し文

我をして介然(かいぜん)として知有らしめば、大道(たいどう)を行くに、ただ施(ななめ)なるをこれ畏(おそ)れん。大道は甚(はなは)だ夷(たい)らかなるも、而(しか)も民は径(こみち)を好む。朝(ちょう)は甚だ除(きよ)められ、田は甚だ蕪(あ)れ、倉は甚だ虚(むな)しきに、文綵(ぶんさい)を服(ふく)し、利剣(りけん)を帯び、飲食に厭(あ)き、財貨は余り有り。これを盗(とう)の夸(おご)りと謂(い)う。道に非(あら)ざるかな。

現代語訳

もし私に少しでも余計な知識があったとしたら、大きな道を歩く時にその知識にひかれて脇道にそれる事を恐れるだろう。この人生の大きな道はとても平坦で歩きやすいのに、世の人々は少しでも近道をしようと脇道に入って自ら苦難の道を行く。朝廷は整然と掃き清められているのに、田畑は荒れるにまかせていて、米倉には少しも備蓄が無い。それなのにきらびやかな衣装を身にまとい、するどい剣を腰に帯びて、たらふく飲食して、有り余る財産を持っている輩が居る。こういう輩はいかに外見を貴く装っていても本質的に盗賊と変わりはしない。彼らは「道」から外れている。

老子『道徳経』を翻訳してみました。54 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。52

2017年10月21日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第五十二章
原文

天下有始、可以爲天下母。既得其母、以知其子。既知其子、復守其母、没身不殆。塞其兌、閉其門、終身不勤。開其兌、濟其事、終身不救。見小曰明、守柔曰強。用其光、復歸其明、無遺身殃。是謂襲常。

英訳文
Everything in this world has its beginning. I call it "the mother" for convenience' sake. If you understand "the mother", you can know her children. If you know her children and follow "the mother", you will never be in danger your whole life. If you shut your eyes and ears, and shut out unnecessary information, you will never be tired your whole life. If you open your eyes and ears, and do what is unnecessary, you will never live in peace your whole life. To notice an invisible form is "clear wisdom". To keep one's softness is "true strength". If you follow this wisdom with a gleam which illuminates everything, you can avoid all misfortunes. This is "to follow the way".

書き下し文
天下に始(はじめ)有り、以(も)って天下の母と為(な)すべし。既にその母を得て、以ってその子を知る。既にその子を知り、またその母を守らば、身を没(お)うるまで殆(あや)うからず。その兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、その門を閉ざせば、終身勤(つか)れず。その兌を開き、その事を済(な)せば、終身救われず。小を見るを明と曰(い)い、柔を守るを強と曰う。その光を用いて、その明に復帰すれば、身の殃(わざわい)を遺(のこ)す無し。これを常に襲(よ)ると謂(い)う。

現代語訳
この世の全てには始まりがある。それを仮に万物の母と呼ぶことにする。その母の事が理解できれば、その子である万物の事が解る。子である万物を理解し、その母を守るならば、生涯危険を避ける事ができるだろう。目や耳を塞いで余計な知識を排除すれば、無駄な事をして疲れる心配も無い。目や耳を開け放って余計な知識を得ようとすれば、無駄な事ばかりして一生救われる事は無い。目や耳でとらえられぬ物を見るのを「明らかな智」といい、弱々しい立場を保つ事を「真の強さ」という。この万物を照らす光をもって明らかな智に立ち返れば、身の災いはすべて消え去っていくだろう。こうやって生きる事を「普遍の道に従う」という。

老子『道徳経』を翻訳してみました。53 へ続く。




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