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合言葉はヒュッゲ

映画 ベンジャミンバトン

2009年公開時から話題作でしたが、老人の姿で生まれた男が最後には赤ちゃんになって死んでゆくというありえない設定に違和感があって見送っていました。

しかし、患者さんからのオススメもあり、BSプレミアムで放送されたのを機会に、録画して本日鑑賞しました。

これは良いですね。すごく丁寧なストーリー展開。主演のブラット、ピット、やっぱカッコいいです。ケイト・ブランシェットもお色気たっぷりで綺麗。ブラピはおじいちゃんメークも結構キマッていて、微笑ましかった。

老人の顔で出生したベンジャミン。母は出産後すぐに亡くなり、ボタン工場の社長をしていた父は、彼の姿を一目見て顔を背けます。そして、衝動的に捨ててしまう。なんと老人ホームの階段に捨てるって、苦笑いするしかありませんね。

ベンジャミンはそのホームの黒人経営主の奥さんに育てられる。醜い老人のような姿の彼に惜しみない愛情を注ぎます。

ベンジャミンはホームの老人達に友達のように接してもらいますが、心は子どもなのでギャップを禁じ得ない。そして、入所女性の孫娘デイジーと出会います。

デイジーとベンジャミンは実年齢で6歳しか差がないのに、片や少女、片やおじいちゃんの姿ながら友情を育んでゆきます。

80の爺さん姿から成長するに連れ若返るベンジャミン。全身刺青の船長と知り合い、彼の船に乗り込んで働けるようになるまで体力回復。船旅は世界あちこちを巡り、その中で女性と初体験したり、不倫ながら愛を芽生えさせたりと青春を謳歌します。

デイジーは少女から大人の女になり、バレリーナとして活躍。しかし、不運な交通事故で足を粉砕骨折。歩けるようにはなるも二度と舞台に立てない身体になりました。

そんな傷心のデイジーをそっと支えるベンジャミン。二人は次第に愛を育み、デイジーは妊娠。無事女の子を出産するも、父でありながら時間が逆行していく彼は自信を無くし二人の前から姿を消してしまいます。

いわば、ベンジャミンも父同様我が子を捨てたようなものですが、デイジーと娘のことはずっと忘れず、娘が12歳になった頃会いに戻ります。ますます若者の姿になって。

実はベンジャミンの父もベンジャミンを捨てた後、彼の事を見守り時々現れてはお酒を酌み交わしたりしていました。父であることをカミングアウトして詫びる姿にベンジャミンは複雑な思いでしたが、余命幾ばくもない父を看取り、父の財産を受け継ぎデイジー母娘に譲ります。

少年の姿にまで遡ったベンジャミンは、認知症を患い記憶を失います。徘徊したり、食事を食べたのに食べてないと怒り食器をひっくり返したり、年を取るってほんと切ないですね。デイジー自ら介護をし、ベンジャミンは赤ちゃんの姿に戻り、彼女に抱かれながら最期を遂げる。

デイジーはベンジャミンとの思い出をずっと胸に秘め、危篤状態になってから娘に彼の日記や沢山の絵葉書を見せ読んでもらう。そしてハリケーン到来のため混乱する病院の一室で息を引き取るのです。津波?に襲われた大きな古時計が秒針を始め水に埋もれていく。なんとも切ない終わり方でした。

ベンジャミンの数奇な人生は、生きるって何なのか考えさせる作品ですが、人の一生は長いけれど、いい時代ってほんとにごく僅かなんですね。だからこそその輝きを忘れたくない。じわじわと心に沁みる物語でした。うん、なかなかオススメです。
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