読み出したら止まらないスナック菓子のような軽さと美味しさに満ちた本。この人の文章好きです、好みです。
すらすら頭に入るセリフが結構深くて心に刺さる。
御厨家の四人の女の群像劇というスタイルにワクワク。「3千円の使い方」で人生が決まると予言者のように孫娘美帆を諭したのは祖母琴子。
当時中学生だった美帆にとって、その言葉の意味を理解するにはまだ未熟だった。本当にお金の価値を知るのは実際働いてからだもんね。
その10年後、美帆はOLとなり憧れの一人暮らしを満喫。おしゃれな部屋を借り、好きなものを計画なしに買い、週末には彼氏とワイン。まさに今時の若い女の子。
その美帆とは真逆に姉の真帆は早くに結婚し、3歳の娘を育てながら夫の給料だけで節約し、年100万の貯金を継続しているまさに雑誌【サンキュ】の読モのような主婦。
母の智子は、バブル期に青春を謳歌してきた。自身のがん疑いからの検査をきっかけに夫との関係を見つめ直す。子育てを終えてからの自分の生きがいを探し空しさを埋めていた。
祖母琴子がこの物語では一番のキーマン。
お金のありがたさ、重みを一番体感してきた年の功から孫娘達への提言を怠らず、自身の老後についても堅実に受け止めている。園芸趣味で知り合った息子ほどの歳の差のあるフリーターの安生に、親友として真っ当な生き方を教える姿がカッコいい。
登場人物皆、性格も考え方も違い、皆がそれぞれ魅力的。やっぱ、物語はキャラクターの良さが勝負だね。イキイキしていて、本の中から飛び出して来そう。
一気読みしてしまいました。垣谷美雨さんが絶賛していたのにもうなづけます。
同じ匂いがするもんね。
3千円という金額は、誰にも手が届く、でもものによっては出すのが惜しい、とても貴重な金額です。
ともかく楽しめてリズムのある文体、表現力に感動しました。新春初の読書がこの作品だった事も嬉しかったな。
ドラマ版についての感想は、また次回書きますね。