2021/10/05 17:59
隣接するホテルが取り壊され、周辺の道路から見られるようになった頭塔=奈良市高畑町で2021年9月27日午後1時2分、加藤佑輔撮影
(毎日新聞)
これまで建物の陰に隠れていた奈良市高畑町の国史跡「頭塔(ずとう)」(奈良時代)が、隣接するホテルの取り壊しで周辺の道路から見られるようになり、話題を集めている。階段状の独特の構造から「奈良のピラミッド」の異名を持つ頭塔。突如、住宅地に出現したその姿を一目見ようと、現場には連日観光客が訪れ、写真撮影などを楽しんでいる。【加藤佑輔】
頭塔は、一辺32メートルの正方形の基壇上に、土や石で7段の方形段を積み上げた高さ10メートルの塔。767(神護景雲元)年に、東大寺の僧で修二会(しゅにえ)(お水取り)を創始した実忠が、東大寺別当・良弁の命で築いたとされる。政界にも権力を振るい、大宰府に左遷された僧・玄昉(げんぼう)の頭を埋めたとの伝承が、名称の由来とされる。
東大寺南大門から南に約1キロの住宅地にあり、これまでは東隣にホテルが建っていたため、近づかないと見ることができなかった。県文化財保存課によると、今夏ホテルが取り壊されて更地になり、離れた場所からでも望めるようになったという。
史跡ファンから注目集まる
9月下旬、実際に現地を訪ねてみると、平日にもかかわらず数人の観光客が集まって頭塔を眺めており、関心の高さをうかがわせた。撮影しやすいと感じたのは、県道80号沿いの奈良交通バス「破石町」バス停付近で、ほぼ全景を捉えることができる。
頭塔をカメラに収めていた大和郡山市の大学生、伊藤優梨菜さん(20)は「エジプトのピラミッドみたい、というのが第一印象。普通の住宅街の中にこんな不思議な塔が建っているというシチュエーションに興味をそそられる」。王寺町の自営業、山田滝夫さん(55)は「魅力的なスポットなのに、さほど知名度が高くないのを残念に思っていた。史跡ファンとしては、こうして注目が集まっていることがうれしい」と話した。
県は春と秋に特別公開を実施している他、前日までに現地管理人(0742・26・3171)に予約し、協力金300円を支払えば、午前9時〜午後5時の間で見学できる。
文化財 大宰府
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