昨年(2022年)のロシアのGDPは、西側諸国の経済制裁にもかかわらず、前年比2.1%の減にとどまった。
経済制裁の効果は、限定的だった。
このままでは、経済制裁によって、追い詰められるのは、ロシアではなく、西側諸国かもしれない。
自由主義経済が、グローバル化したおかげで、繁栄してきた西側諸国。
経済制裁という愚策のせいで、自分たちが作り上げた自由主義経済を、ぶち壊した。
そもそも、ロシアは、世界初の有人宇宙飛行を成功させた、アメリカと並ぶ技術・軍事大国。
しかも、資源大国でもある。
そんなロシアに経済制裁を科したせいで、ロシアは、西側諸国の自由主義経済から完全に離脱。
西側諸国の知的財産権などのグローバルスタンダードに従う必要が無くなった。
西側諸国による知的財産権などの縛りが無くなれば、ロシアは、リバースエンジニアリングで西側諸国の商品をコピーして、自前で作れる国。
今までは、グローバルスタンダードに従っていたから、マクドナルドのような、大したノウハウの無いビジネスでも、ロシアで成り立っていたというのに。
西側諸国は、自分たちの独占的利益確保のために作り上げたグローバルスタンダードを、葬ってしまった。
もし西側諸国が、調子に乗って、中国にまで経済制裁をかけたら、中国もグローバルスタンダードから離脱するだろう。
ロシアに続き、中国もグローバルスタンダードから離脱すれば、西側諸国が勝手に作った独善的なルールに不満を持つ国々は追随する。
グローバルスタンダード、その中でも知的財産権の縛りが無くなったら、西側諸国の優位なんて吹き飛んでしまう。
資源も無く、プライドと給料ばかり高い欧州諸国の商品なんて、世界から駆逐されるだろう。
だいたい、経済競争力では、勝ち目がなくなった西側諸国が、編み出したグローバルスタンダード。
それを使って、知的財産権やビジネスモデルを独占して、自分たちの権益を守ってきたのに。
結局、西側諸国は、経済制裁という悪手で、自らの首を絞めている。
今時、西側諸国が得意としてきた経済制裁が通用するのは、弱小な発展途上国まで。
後先考えない経済制裁のせいで、グローバルスタンダードが消え、ブロック化する市場を制するのは、資源や人口、そして核兵器を持つ「軍事大国」だというこを忘れてしまったようだ。
資源も無く、少子高齢化の進む日本や欧州諸国には、最悪な未来しか無いかもしれない。