新人さんと言っても50代である
長年勤めた会社が この世相で倒産し職を求めうちに入社した
正社員待遇である それなりに根性はあると思う
3か月は仮契約期間 双方の折り合いがつかなければ 辞めるもよし 契約終了もよしの条件である
社長に どうだい?と聞かれた時 普通でいいんじゃないですか と 答えた
自分にとって 普通とは ほめ言葉だ
イエスマンでは進歩はない 我が強ければ反発で覚えることも覚えられない
メモも取るし 自宅でエクセル使って マニュアルの様な物を作って勉強してるらしい
これは いい事である
だがどうも記憶に頼り過ぎ 俺に頼りすぎる
製造業は職人の世界だ
先生から教わり その通りしてれば成績が取れる世界ではない
千変万化する原材料を 一定の規格の製品にする作業
今 うまくいったセッティングは明日は役に立たない
手で触り 匂いをかぎ 感触を確かめ 気温湿度などを考慮し 適正にマシンを調整する作業
教わったセッティングで製品が出来る時もあれば 同じことをしてゴミを作る時もある
この人は教わったことをきちんとやってれば製品が出来ると思っていたらしい
先生である自分ですら 常に工夫の日々を過ごす
今日失敗を二度した
本人は何が起こったか理解でいないらしい
だが こうゆう失敗が重要だ
もう一度理解してもらう事にした 作業手順ではない 心構えだ
我々の仕事はプロセスは大事ではない 結果がすべてだ
いい製品が作れれば 俺とあなたのやり方が違ってもいい
まず 考える事 何故かを徹底的に考える
そして考え試行錯誤する事 失敗の体験をたくさん蓄積する事
本物の 正しい製品を触れ そのプロセスのイメージをきちんと記憶する事
骨董商が本物に沢山触れ 五感で理解できれば 偽物はすぐわかるのと同じだ
我々と言う言葉を使うのは 対等になってもらいたいからだ
上下は必要な場合もあるが 実力だけで自分を評価してもらいたい
俺が上で あなたが従うのであれば 進歩はない
俺と同じ力を持つことによって 仕事は大きな力を持つことができる
今のあなたは初心者であるが いずれ俺のパートナーになってもらいたい
俺の経験は俺のものだ 自分の知ってる事は全て話す 出来るだけあなたに理解しやすいように
だが 自分にできる事はそこまで それを自分のものにするのは あなたに所属する
全てを伝えるが それを自分のものにするのは 俺に関係ない事
今 正しい事も明日には陳腐なものになる それが職人の世界だ
俺は昔造園の現場監督をしていた
あれも 職人の世界だ
年をとっても下働き つまり手古舞しかできないじじいもいる 経験があってもだ
若くても 仕事の頭を取れるやつもいる
その人の生き方だから どうでもいい事だが
仕事の質はやはり努力し能力を磨く奴の方がいい
言いたいのは
先輩後輩 年齢の差は気にするなという事だ
きちんとした製品を常に作れれば それでいい
結果がすべての答え そして言い訳は無用 何故出来なかったは自分で考える
俺はパートのじじいだよ
え!
な 馬鹿だろ 金にもならない事を一生懸命
だがよ やってる以上半端仕事はできないだろ
嫌だったら やめればいい 簡単な事だ
金の為に仕事はしてない 自分が満足するために仕事をしている
それをどう思うかはあなたの自由
あなたも生活がかかっているだろ?
それも大事だよ
同じように半端仕事は役に立たない
あなたは 一体成型の重いフライホィールだ 長年それでうまくいってたからだろう 小回りが利かないのが欠点だ
な イメージとして 軽い フライホィールを何千枚も用意するんだ
それぞれは軽くてすぐ停止できる
必要に応じて合体する 全部合体すれば大きな力になる
普段は軽やかに それぞれが すぐ停止し すぐ動けるようにする
小回りもきくし 大きなエネルギーにもなる
イメージだけどね
また メモをとっていた
メモは無しな
メモをとると メモに頼るぞ
忘れては俺に注意される これが記憶を確かにするんだよ
頭に叩き込む それがだいじだと思うよ
やるきがありそうなので簡単な資料を渡した
データは大事だし無視してはいけないが 全体の一部にしか過ぎない
データに頼りすぎないように 離れた所から出来事を見る習慣が必要
と
熱心だ とりあえず まだ定かではないが
家のローンもある 金のかかる子供いる 奥さんは働きに出ている
縛りがきつい 普通だ
重荷を背負わない男は使えない
彼は期待できそうだ
追記
酔って偉そうに書いたが
自分の基本は面倒くさがりで怠け者
休日が一番の楽しみである
仕事は性質上 苦労して作った製品にはろくなものがない
手間がかからず すんなりと 素直にできた製品が一番いい
いかに手を抜き 楽に仕事をするか それが工夫の楽しみでもある
一生懸命時間をかけて 努力して作るのも否定しないが
楽に 早く いい物を作る これが自分流手抜きだ
そして手抜きするためには 工程を考え 工程の無駄を極力減らすことでもある
よほどの事がない限り残業はしない
仕事は質であり 時間をかければいいと言うものではない
残業すると自分の自由時間を奪われたように感じる
そして仕事のない休日が一番の楽しみ
何も考えずボーっとしたり 本を読んだり
当てもなく散歩に出かけ見知らぬ日常を観察するのが好きだ
ゆっくり休もう