むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 3

2018-12-31 19:30:13 | 小説

四七四三の悪魔   [九七八年のゲームだったわね。「五二枚扉ゲーム」。長寿集落に七m五〇㎝四方で二階建ての娯楽部屋がある。二階部ぶんは吹き抜けで窓側に細い通路があるだけ。一階部ぶんは小さい窓がある。出入り口は幅二mの引き戸。入り口に入って、すぐ左右に別な引き戸の軸受けがある。高さ一m八〇㎝で幅一mよ。左右に二五㎝ずつあけて幅五〇㎝の引き戸一枚が中央でとまってる。そういう引き戸が壁側に五〇㎝間隔で、並んでるわ。入り口が六枚と五枚。七m五〇㎝に一四枚ね。五三枚だから二六枚目が一m間隔。入り口から開始して二人で順番に「右を開けるわよ」「次は左」と声を出す。引き戸の上に、振り子式のベルが左右どちらかに設置されててはずれを引くと鳴る。ベルを鳴らしたら交替して先に二六枚開けた方が勝ち。中央の空間は囲碁と麻雀が定番で設置した人に、聞こえるように「これはどっちだったかな」とつぶやきながら窓の位置で推理して開ける]

五六四一の悪魔   銅鐸(たく)の遊び方よ。「平均滑車ゲーム」。矢倉の高さが七mで上に二m離れて、滑車が二つ。体重が五〇㎏ぐらいの人だと、長さ一〇mの、縄の片方に、重さ二〇㎏の銅鐸を二つつける。縄の反対側は腰に巻く命綱よ。まず命綱の縄を持ってはしごで矢倉に登る。矢倉の上で縄を滑車にとおして、命綱を装着してから縄につかまって下へ下りていく。滑車の下に、幅三〇㎝ぐらいの板が打ちつけてあって、一〇㎝間隔くらいで足場がある。地面から足場に片足をかけると縄が上昇。足場に体重をかけすぎると、一瞬宙づりになるぐらいの距離ね。浮力が大きいほどおもしろい]

四七四三の悪魔   [「回転扉鬼ごっこ」。まず板で五かける五のます目に区切った空間。一辺が二mで、高さが一m八〇㎝。板の中央に、左右五〇㎝ずつで二枚板の回転扉がある。回転扉は外側にもあるから、かずは全部で六〇。扉の、左右どちらかの、首の高さぐらいに、直径三〇㎝くらいの顔を突き出せる穴がある。遊ぶ人数は五人。ルールは、鬼以外が同じます目に入ってはいけない。鬼以外が外に出ることもだめで、タッチされると新しく鬼になってマイナス一点。鬼は他のプレイヤーが顔を、突き出してる扉をさわれない。鬼がいるます目に向かって「鬼さんこっちだ」と叫ぶ。鬼のます目を囲んで四人目が「後ろの正面誰だっ」と、叫ぶと鬼がマイナス四点。日が暮れるまで遊び続けて、マイナス点数が、少ない人が勝ち]

五六四一の悪魔   [また時計をやりましょう。直径一一㎜の鉄球が、傾斜が高さ一㎝ぶんで長さ一mのレールを転がる。所要時間三秒。ゆきどまりで折り返してレールが二列になってる。全部で二〇〇本あるわ。高さが二mで一〇分。最後のレールを、高さ二〇㎝の傾斜にして加速をつける。鉄球がレールの終点で、長さ二m二〇㎝の連結器に当たって、下の受け皿にたまる構造よ。一番上に鉄球が、一四四個並んだ二段組みのレールがあって、連結器の下に鉄球が当たった衝撃で一個送り連結器を動かす。準備してる鉄球は、先頭の一個以外は回転を打ち消し合うからわずかな衝撃で一個送り連結器が動く。と考えたけどぱちんこ機の入賞玉計数器は硬質プラスチックでできてて、連結器の長さもせいぜい二〇㎝ぐらい。だからこれは無理]
四七四三の悪魔   [重りを使った時計ね。高さが一mで直径一mの、丸いテーブルのふちに、幅一㎝の巻きとり器が二八八個並んでる。五分かける二八八で二四時間よ。回転軸に長さが一m弱で、先端に重りがついたひもを巻いて、連結器と滑車をとおして、とめ具をセット。とめ具は重りを乗せる台座で、シーソーみたいな形で反対側にとなりの、巻きとり器の連結器に連動したとめ具がついてる。重りの、反対側のひもは先端が太いピンになってて、巻きとり器の軸にはまった状態。ひもが伸びきると、ピンがはずれて滑車そばの、連結器の穴にひっかかって、となりの、巻きとり器のとめ具がはずれる。形や材質はいろいろでひもを巻きとるのに一時間ぐらいかかるから、特別なゲームをやるときの準備よ]
五六四一の悪魔   [五分の負荷がまだだけど」
四七四三の悪魔   [ひもの長さを九〇㎝にして、三㎝を一〇秒。回転軸の、片方の外側はぎざぎざがついた歯車。テーブルの内側にもうひとつ同じぎざぎざがついた歯車をかみ合わせる。こっちは加速がつかないように、軸に小さい重りがぶら下がってるわ。両方の軸受けをテーブルにしっかり固定して、五分に調整。調整するときは高さ一mの「レール一〇〇本時計」を使う]

五六四一の悪魔   [「回転玉乗り」ね。直径一mの、木の玉を二つにわって、なかをくり抜いて、ふちに回転する軸を二か所つける。高さ二mの、支柱二本の先に軸受けをつくって、玉をはさむように、地面に設置。玉の、内側の底から、長さ一mの棒が突き出てて、持ち手がついてる。支柱の足場から玉に乗って持ち手をつかんで、ふちに移動。ふちにあるベルトで足を固定してから、ひざを使って回転開始。鉄棒と違って持ち手が動かないので、高速連続回転が可能。回転中に足がベルトからはずれたり、持ち手を離したりすると非常に危険でスリリング]

つづく


超IQ研究所

2018-12-31 19:24:28 | 小説

五六四一の悪魔   [近親婚の消去にならないけど「古代ギリシャの時空転送器」。物を売るときに役立つのよ。まず高さ二mの石柱が四本並んでて、上に回転軸があって、横向きに回転丸太が一本。石柱の中央二本は二m離れてて、回転丸太の中心に、一mの支柱と、背もたれつきの椅(い)子(す)が二つずつ固定されてる。古代ギリシャ人二人が上向きに、椅子に座った状態で、胴体と足をベルトで固定。回転丸太の外側四か所に、長さ五〇mのロープが二五mずつ巻かれてるわ。残り二五mのロープ四本を二五人ずつ一〇〇人で同時に引っ張ると、古代ギリシャ人二人が現代に時空移動]
五六四一の悪魔   [石柱の高さが六mで、回転丸太の下に滑車を四か所つける。支柱は五mで先端の椅子に、古代ギリシャ人の男女を向かい合うように座らせると「大車輪」]

四七四三の悪魔   [「木の球卓球」の完成形。折りたたみ式の卓球台で、中央が一〇㎝くらいの高さで傾斜になってる形。中央の網がなくて、両わきに高さ一〇㎝ぐらいの板がある。球は直径四㎝の、木の球。ラケットは卓球用に似た形で縦方向が短くて、先端に横一二㎝かける縦六㎝の板がついてる。プレイヤー側の、台のふちに、高さ三㎝の金属板があって、球が当たると相手に一点。飛び越えるとこっちの得点よ。問題は台の中央線に、一〇㎝四方の羽根が、四枚ついた羽根車が三つあること。上に計数器がついてて、羽根に玉が当たって、四ぶんの一回転すると一点になる。勢いのある球が命中すると五点くらい入るけど、球が通過しない場合と、金属板を飛び越えると無効。羽根車や両わきの板に当たって球が戻ってきた場合、一回で打ち返さないと相手に一点。羽根車の支柱は、幅三㎝の角材で台にしっかり固定されて高さは三〇㎝ぐらいある。羽根は一㎝ほど浮いてて回転軸がやや四角形で、羽根が真下で停止。計数器は重りがついた長さ一〇㎝の棒四本で読みとって、計数器の軸についてて、羽根車の外側にある連結器で目盛りをひとこまずつ動かして表示。連結器の形は溝が四つある円盤。目盛りの構造は、直径三〇㎝の、皿の中央に、直径一一㎜の鉄球が、二五個並んだレールがあって、連結器が動いた方向へ一個ずつレールから落ちて皿の反対側へゆるやかに転がる。中央の皿は磁石がついた棒でもとに戻す。めんどうだから無効になる打球を打ったら相手の得点]

五六四一の悪魔   [また古代ギリシャ人よ。必殺わざ「一〇人乗りの独楽(こま)」。まず長さ二mのじょうぶな支柱があって、底と深めの受け皿が金属製。支柱の上が、直径二mの円形台座で、外側に背もたれつきの椅子が一〇脚並んで、台座に固定されてる。台座の下に、よく磨いた石の軸受けがあって、支柱に長さ八〇mの縄を三〇mぶん巻く。残り五〇mの縄に、一〇人ぶんの持ち手を五〇か所つける。椅子に一〇人座ってベルトでからだを固定して、五〇〇人で縄を引っ張ると古代ギリシャ人が一〇人同時に、現代に時空移動]

 つづく


超IQ研究所1

2018-12-31 17:23:43 | 小説

 私の名前は杉森S二四歳。私は東京帝国大学の商学部を首席で卒業して、帝国の特殊経済研究室で働いていましたが、昭和二〇年の東京大空襲で幽霊になりました。わが「超IQ研究所」のメンバーを紹介しましょう。
機山   [おれは昭和一七年まで中国各地を取材して、推理小説を書いていたが旧日本軍にぶった斬られた]

  機山は日中戦争で、ノートにいろいろと書いて旧日本軍と戦っていた抗日活動家で文章創作能力は世界有数。四一歳のときに、ぶった斬られて幽霊になりました。IQ(知能指数)が平均の一〇〇を大きく上まわって二五〇。
五六四一の悪魔   [あたしはチェコスロバキア人で四一歳。第二次大戦でナチスの暗殺者として、ピストルで五六四一人撃ち殺した悪魔よ]
四七四三の悪魔   [あたいはベルギー人で四三歳。四七四三人撃ち殺した悪魔ね]
三三二三の悪魔   [私はハンガリー人で二三歳。三三二三人殺しました]
 悪魔は幽霊の代表で人間を超越した能力があります。
 うちの所長ヘルマン博士を紹介します。
ヘルマン   [会計士を呼ぶ魔法のヒントになるかも知れないな]
 所長はナチスのプログラムを開発した人で、IQ四〇〇の持ち主。イスラエル在住で推定年齢一一三歳。
五六四一の悪魔   [あたしたち悪魔は死んだときのままだけど、機山や所長は現代の若者と三~四世代違う] 
四七四三の悪魔   [近親結婚の危険があるわ。倭(わ)人(じん)の絶滅を九五〇年とする場合にそれ以前は、大陸から渡ってきた人間と倭人が交配してたから近親結婚は関係ない。四〇歳平均で子供をつくると計算して、二六代前を二〇一八から引くと九七八。二の二六乗は六七一〇八八六四。つまり九七八年の人口が一〇〇〇万人なら、六~七人くらい近親婚の先祖がまざってることになる] 
五六四一の悪魔   [九七八年に悪魔の力でゲーム性を構築すれば、近親婚の先祖を消去できるわ]
四七四三の悪魔   [最初に時計をつくるのよ。まず「渦巻きレール時計」。直径三mぐらいで細いレールを巻いた渦巻きがあって小山のような形になってる。レールを転がる鉄球は直径一一㎜。レールが一三〇回転くらいになるわ。小山の中央は、直径一〇㎝ぐらいの円形で、受け皿のようになってる。レールの傾斜をゆるやかにすると、長い時間を示せるけど水平精度に限界があるから、一時間に設定。レールの終点に重りが、ついた昇降装置が一六台並んでる。鉄球が昇降装置の台車レールに乗ると、鉄球の重さでストッパーがはずれて、台車が小山の頂上より高く上昇。そこから小山頂上へのレールがあって、鉄球が受け皿へと転がっていく。重りが下に落ちると、次の台車レールがセットされてる]
五六四一の悪魔   [一六時間を細かく計るのは、当時の長寿(寿命が一五〇歳平均)集落で書類をつくるときね]

五六四一の悪魔   [「宙づり回転シーソー」ができるわ。高さ三mの、支柱の上に回転シーソーがある。シーソーの長さは片側二mで、上下幅は五〇㎝ずつぐらい。シーソーの両端に、長さ二mのロープが二本ずつついてる。ロープの間隔が四〇㎝くらいで、下の先端が輪になってる構造。二人でそれぞれの、ロープの輪に足をひっかけてから、ロープをよじ登って、シーソーに打ちつけてある釘(くぎ)でロープを微調整して、釣り合うようにする。かなり危険だから持ち手のそばに命綱が必要。内側に体重をかけるとシーソーが上昇。ゲームのポイントは前に、踏み出した足に体重をかけるとシーソーが動く。「こっちを下げて」とか叫びながら回転させて遊ぶ]      つづく。