むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター60

2019-12-04 13:50:37 | 小説
 昭和五年九月未明。天津で酒屋の店主が、刃物で顔を斬られて死ぬという事件が起きる。目撃していた店員は「頭に剣をつけた男が、店にきて社長が殺された」と言う。公安(中国の警察)が「頭にどうやってつけてた」と聞いたら、「なにかの機械を背負ってて頭につながってた」と答える。死んだ店主は闘技場に八百長試合を持ちかけていて公安捜査していた。公安が北京の世界革命集団第三支店に電話で確認すると、「一週間前に、剣術使いに回転剣を売ったよ」と言う。性能を聞くと、「二本の剣が頭上で一秒間に一〇回転する」と言った。公安は闘技場へ行く。夕方の、女性剣術使いの対戦相手が「回転剣男」になっている。かけの倍率を見ると女性剣術使いに二倍がついていた。公安が選手控え室に近づくと、体格のいい男が出てきて「八百長防止のためにこれ以上は入れません」と言う。公安は観客席の最前列で試合開始を待った。時間になって、女性剣術使いと回転剣男がリングに登場する。試合が始まった。回転剣男は頭上の、回転剣の他に、やや長めの剣を一本持っている。女性剣術使いは二刀流だ。女性剣術使いが男の剣に「がちん。がちっ」と剣をぶつけた。公安の脳裏に、紀元前の闘技場が浮かぶ。鉄板を動くように組み合わせて、前方に三mほど伸びる武器を持った男どうしが対戦していた。そのとき女性剣術使いが、回転剣の反動で宙返りをしようとしたが失敗して転倒する。女性剣術使いが立ち上がって二本の剣を回転剣にぶつけると、一瞬ひっかかったようになってから女性剣術使いがリングの外まではじき飛ばされた。公安の足もとに女性剣術使いが倒れている。公安は女性剣術使いの剣を一本とってリングに上がった。観客が拍手する。公安が剣をかまえながら回転剣男に「おまえが酒屋の、店主を殺したのか」と聞いたら、「力を見せてやった」と言う。公安が男の回転剣に剣をぶつけると、一瞬空中に浮いてから三mくらいはじき飛ばされたが両足で着地する。男が回転剣に角度をつけて突進してきた。公安は紀元前の闘技場で、死に神の原型を見つけて一体化する。公安はロープに登って、両手で剣に体重をかけて、向かってきた男の回転剣に剣をぶつけた。男が一時的に、千鳥足になったが、公安はリングにたたきつけられる。公安がすぐ起き上がってトップロープから回転剣に剣をぶつけると、男は後ろに倒れて、回転剣がリングに突き刺さって、男が回転していた。公安は男を逮捕する。


超IQ研究所クラスター69

2019-11-20 07:14:10 | 小説
 昭和四年八月未明。北京の宝石屋で店主が、二人組の男に撲殺される事件が起きる。目撃していた店員は「変なアクセサリーを身につけた二人組の、男に社長が連れ出されて殺されたんでございます」と言う。死んだ店主はガラス玉を「ダイヤモンド」と称して高値で販売していて公安(中国の警察)が捜査していた。公安が向かいの、ホテルの受けつけ係に聞くと、「エンジン音がしたから外へ出て見たんです」と言う。公安がどんな機械か聞くと、「肩と腰に回転ベルトがあって、肩の方に金属ヌンチャクが一本ついてたわ」と答える。公安は世界革命集団第三支店へ行く。公安が事情を聞くと、「工業展に出品した作品を、地主の用心棒に二台売ったよ」と言う。公安はその大農場へ行く。二人組の男がねぎ畑を、水鳥のように歩いている。小作人を威嚇するだけで人殺しは始めてだったんだろう。罪の意識と、後ろめたさと異様な機械が時空を超えた未来の、兵士のようにも見える。公安が畑に入って、近い方の男に「それで宝石屋の店主を殺したんだな」と聞いたら、「ガラス玉を売りつけたから殺した」と言う。一〇mぐらいまで近づいて見ると、金属ヌンチャクが上と下に六本ずつついている。公安が「どっちが殺したんだ」と聞いたら、二人同時に「おれが殺したぜ」と言う。ほとんど同時にエンジン音が響いて、ヌンチャクがまわり始めた。手をやや下げ気味に広げて、バランスをとっている。一秒間に二回転ぐらいでなにかの遊具みたいだ。肩の回転ベルトを動かせるか見ていたが動かせないらしい。前と後ろから近づいてきた。公安は横に逃げる。二人並んで近づいてきて左右にわかれた。あどけない若さが発狂して鋼鉄の負荷を、かけられた紀元前の、囚人のように舞っている。公安がねぎを引き抜いて投げつけると、肩の回転ベルトに角度をつけてはじき飛ばした。ひざをうまく使うとコントロールできるようだ。もうひとりが近づいてきた。公安はねぎを引き抜きながら逃げて、男にねぎを投げつける。男は横に動いて顔をよけたが、ねぎがヌンチャクにからみついて、顔に当たった。公安が飛びはねてキックをすると、回転していたねぎと顔にヒットして、男が後ろに倒れて、ヌンチャクが土を掘り返しながら顔に当たってもだえている。もうひとりの男が突撃してきた。公安が肩口のヌンチャクをつかむと、男は片足でこまのように回転して、柔らかい土にひざもとまでめり込んだ。公安は二人の男を逮捕した。


超IQ研究所クラスター68

2019-11-06 09:22:43 | 小説
 昭和五年八月未明。北京で画商がなに者かに襲撃されて、死ぬという事件が起きた。死体は壁に強く打ちつけられていて顔が焼けただれている。公安(中国の警察)が反写実的な裸婦の絵をながめがら、店員に状況を聞くと、「消毒器材のような物を背負った男が社長と話してたわ」と言う。公安は以前写実絵画に挑戦したことがあったけど絵の具をつくる方法と、なにかと一体化する部ぶんがわからなかった。未来の買い手と、一体化するのだろうか。公安が世界革命集団第三支店へ行って事情を聞くと、「高温蒸気噴射器を額縁屋の男に売ったよ」と言う。性能を聞くと、「ノズルが金属製で、左右にしか動かせないけど三m先の生肉を加熱できる」と答えた。公安が額縁屋へ行くと、店員は「社長は工場にいるよ」と言う。ビルの二階が工場になっているようだ。二階に上がると、高温蒸気噴射器を背負った男が中央に立っている。公安が入り口で「おまえが画商を殺したのか」と聞いたら、男は「銀行強盗に誘ったけどことわったから殺した」と言う。公安は青と緑な絵の具を、まぜ合わせている画家の、聡明な感覚のような物を感じた。工場のなかは、額縁用の木材以外はどこかに片づけられている。公安が男に七mぐらいまで近づくと、男が蒸気を噴射した。蒸気が五mくらい伸びて、熱風が公安の顔に当たる。公安が額縁用の木材を手にとると、男は間合いを詰めてきて、蒸気を噴射した。公安は横へ逃げる。公安が木材を投げつけると男は片手で受けとめた。公安は奥にあった作業テーブルの上へ飛び乗る。男が噴射ノズルを少し上に向けながら、急激に近づいてきた。男が三mぐらいまで近づいて公安の足もとに噴射する。公安の脳裏に、深海魚のような、竜の姿が浮かぶ。公安は飛びはねてよけて着地してすぐテーブルのへりから、男の顔面にキックした。男がのけぞるように噴射する。公安は空中で一瞬浮き上がるような状態になって、男の反対側に着地して転倒した。後ろ側の足がひりひりする。男が向きを変えて近づいてきた。そのとき「ワニスならそこにあるわ」と言う声が聞こえる。公安は男の後方に、木材の陰に隠したワニス缶を見つけた。公安は走ってまわり込む。公安は缶を開けて、振り向いた男にワニスをかけた。ワニスが顔に命中して男は両手を使ってぬぐっている。公安が近づくと、蒸気を噴射したが噴射ノズルに、公安がワニス缶をかぶせると反動で男がひっくり返った。公安は男を逮捕する。


超IQ研究所クラスター67

2019-10-23 09:03:44 | 小説
 昭和四年七月未明。北京で工芸品店の店主が、びっくり箱のナイフで刺されて、死んでいる事件が起きた。死体は小型のナイフが胸に深く突き刺さっていて、死ぬ直前に開けたと思われる箱は側面からナイフが飛び出す構造だ。死んだ店主は香港の麻薬密売組織「ロンドン清教徒集団」ととり引きがあって、公安(中国の警察)が捜査していた。公安が香港の世界革命集団第二支店に電話で確認すると、「麻薬密売組織の北京清教徒集団へ送ったよ」と答える。公安は「薬屋で売ってる物をわざわざ密売して未来の子供たちに理解できるだろうか」と心配しながら住所を聞いてそこへ行く。公安は外から様子だけ見た。平屋造りの建物に、知的な感じの男がひとりいる。公安は紀元前の小部屋から出てきた人々がなにをやっていたか考えた。恐らく先祖は寿命と思考の、限界との関係を、策定していたと思う。同じ思考をくり返す原人と比較しながら、「長さ一〇mの槍を大人数で、飛ばした場合の結果」や「池をまだらにたくさんつくって散歩すると、なにを思うか」などの、膨大な文書が存在しているはずだ。机の上に箱が一〇個ぐらい置いてある。公安が静かに、建物に入って部屋のドアを半ぶん押し開けると、男と目が合った。男が箱のふたに手を伸ばす。公安があわててドアを閉めると、ナイフがドアに突き刺さった。公安がドアを全開にすると、男が「入ってこい」と言う。公安が低い姿勢で部屋に飛び込むと、男も低い姿勢で箱を用意して待っていた。公安は床を転げまわって、小さいテーブルを倒して隠れる。男が「足が出てる」と言う。公安が足をテーブルの陰に引っ込めると、壁の下側にナイフが突き刺さった。公安がテーブルを投げつけると、机の上にあった箱が二個落ちて、天井と壁にナイフが突き刺さる。公安は窓に飛び蹴りをした。着地してすぐ走って入り口にまわる。男は窓の外を見ていた。公安はドアのちょうつがいをキックして、ドアを外す。公安はドアを楯にして「送ったのはおまえか」と聞いたら、男は「未来世界の住人がどこに住んでるか確認するためだ」と答える。公安がドアの陰から顔を出すと、男が箱を向けていた。ドアを動かして楯にすると、ナイフがドアのはしに突き刺さる。男が箱をとろうとしていた。公安がドアの下を先にして、床をすべらせると男が転倒してドアに刺さっていたナイフの柄が、腰の辺りに当たって「痛いっ」とうめき声を上げる。公安は男を逮捕した。


超IQ研究所クラスター66

2019-10-09 06:55:13 | 小説
 昭和四年六月未明。北京の靴屋で店主が、顔にナイフが一〇本突き刺さって、死ぬという事件が起きた。ナイフは刃渡り一〇㎝ぐらいで柄の底が円形になっている。公安(中国の警察)が奥さんから事情を聞くと、「私は女性客の接客をしてて見てません」と言う。公安は次の一瞬に、未来のすべてを、かける意気込みを感じたが死んだ店主は、小作人の少女を香港に売り飛ばしている容疑で公安が捜査していた。公安の脳裏に、等身大のあやつり人形が浮かぶ。人形の手足が曲がるようになっていて、手のひら付近に細長い棒が左右一本ずつついている。男が二本の棒を動かして、人形をうつぶせにしたり、四つんばいにしたりしていた。靴の耐久検査をやっているようだ。公安が電話で香港の世界革命集団第二支店に確認すると、「北京に売った」と言う。性能を聞くと、「反動で連射するから銃口を固定しないと発射されない」と答える。外観を聞くと、「背負ってる発電機と電動モーターでコンプレッサーを動かして、圧縮空気で打ち出し器を動かすから銃口のなかが見える位置に必ず飛ぶ」と言う。「銃口が固定されてない場合は」と聞いたら、「一本だけ発射されて下に命中する」と言った。公安は住所を聞いてそこへ行く。買い手の男は、地主の用心棒だった。公安が地主に事情を聞くと、「ドライブしてるよ」と言う。公安が納屋の車庫で待っていると、自動車がきた。外に出て見ると運転席側の窓が開いていて、銃口が下を向いている。自動車が納屋の前でカーブして、男が運転しながらナイフを発射した。公安がタイミングを合わせて飛びはねると納屋の、壁の下段にナイフが一〇本並んだ。自動車が敷地をぐるりとまわってまた近づいてきた。銃口が胸もと付近に向いている。発射角度を覚えたらしい。公安は自動車に向かって走って、ボンネットに飛び乗って、銃口をわしづかみにした。男が急ブレーキをかけて、公安を振り落とす。自動車が三〇mほど離れて停止して、男がおりて発電機を背負う。銃身の下に、ナイフの弾倉をとりつけている。公安は「打ち出し器に歯車でもつければいい」と思いながらジグザグに走って近づく。公安が近づいて「おまえが靴屋の店主を殺したんだな」と聞いたら、「おれの女に話しかけたから殺した」と言う。男は公安に向けて二回発射したが一本ずつしか発射されてない。三回目で公安が銃口を蹴飛ばすと、ナイフが一本ゆっくり出てきて男の靴に刺さった。公安は男を逮捕する。


超IQ研究所クラスター65

2019-09-26 06:41:10 | 小説
 昭和四年七月未明。香港の電器店で店主が、感電死する事件が起きた。店主が高級アーク灯を陳列していて、イギリス人が持ってきた電線を売り場のコンセントに接続させて襲撃したという。公安(中国の警察)は「アーク灯の宗教的な光は実用的じゃない」と思って、値段も高いと感じた。公安が奥さんから事情を聞くと、「イギリスでやってるサッカーの、試合のことで主人と口論してたけど」と言う。公安は世界革命集団第二支店へ行って事情を聞く。長髪にサングラスの男が「全国工業展に出品した電気むちを、イギリス人に売ったよ」と言う。公安が性能を聞くと、「むちの長さは二m。トランスで五千ボルトに増幅するから、顔に一撃食らうと気絶するけど」と答えた。公安がイギリス人の住所を聞くと、倉庫を改装したカフェだ。公安は巨大な電動くるみわり人形がドラム缶を、ぺしゃんこにしている光景を思いながらそこへ行く。他の出品物にあったようだ。カフェの裏に自動車が数台とまっている。裏口に立っているイギリス人の男が犯人らしい。公安が近づくと、「自転車の置き場はそこじゃだめだ」と言う。公安が「アーク灯を買わなくていいのか」と聞いたら走ってカフェの厨房に消えた。公安が追う。外へ出られるドアが半ぶん開いている。公安が外へ出ると発電機を背負って、電気むちを持ったイギリス人の男が立っていた。むちは先端の一mぐらいだけ曲がるみたいだ。むき出しの銅線がまだらに見えている。公安が「おまえが殺したんだな」と聞いたら、男は「おれの予想が的中してたから集金に行った」と言う。犯人だな。男が近づいてきてむちを水平に振る。公安は後ろに飛びはねてよけた。男がむちを左右に振りながら近づいてくる。公安は走って駐車場へ逃げた。男が追ってくる。公安は自動車を背にして、様子を見た。男が近づいてきて公安へ向けてむちを斜めに振り下ろしてくる。公安はぎりぎりでよけて自動車の反対側へ走った。むちが自動車のボディーに当たって、「ばちっ」と音がする。公安は自動車のまわりを逃げまわった。むちが自動車に当たって、「びちっ。ばちばち」と音がして、火花が飛び散る。公安が自動車のバックミラーをもぎとって、むちの先端を受けとめると金具が銅線にひっかかって、炎と煙が出た。男がむちを釣りざおのようにして引き戻すと、男の背なかが一瞬、アーク灯のように輝いてから背負っていた発電機が燃え始める。公安は男を逮捕した。



超IQ研究所クラスター65

2019-09-18 07:44:34 | 小説
 昭和四年八月未明。北京でパン屋の店主が、店先で焼き殺される事件が起きた。目撃していた店員は「パンがいつもより多く売れてて、社長が変な男に連れ出されました」と言う。死体は揮発油のような物をかけられて、火をつけられているみたいだ。公安(中国の警察)の脳裏にパンをあれこれと描写したノートが浮かぶ。最後は「ご主人」に食べられて終わっている。思考描写におかしな物体がまざっていて、どうりで暑いのにパンが売れているわけだ。公安が奥さんに事情を聞くと、「犯人はうちの、農場の用心棒よ」と言う。死んだ店主は農場も経営していたらしい。テーブルの上に、「世界革命集団第三支店」の名刺がある。公安が奥さんに聞くと、「こいつから変な機械を買ったのよ」と言う。公安は世界革命集団第三支店へ行く。倉庫のなかに、張りぼてな金属製の造形物が並んでいる。奥で高さ五〇㎝ほどの金属製容器に電気コードを、とりつけている角刈りの男がいた。公安が「それは、なんだ」と聞いたら、「食用油を気化させて、朝食用のパンを焼く装置だよ」と言いながら倉庫の空間に向けて炎が一mほど噴射された。公安が「ガソリンだとどうなる」と聞いたら、「三mぐらい炎が伸びるよ」と言う。公安は、忘却を促進する見えない力は、額面が小さい金貨を密かに地金屋へ持ち込んで、とりひきすることを考える先物思考の思いだと感じた。パンのノートは、誰のだろう。買い手は死んだ店主が雇っていた用心棒だ。公安はその農場へ行く。公安が納屋に入ると、入り口にパン焼き器を背負った男が現れて「なにか用かあ」と叫ぶ。公安が「おまえが殺したのか」と聞いたら、男は公安に向けて炎を噴射した。ガソリンじゃなかったが公安は近くのとうもろこし畑へ逃げる。パン焼き器を背負った男が追いかけてきた。公安が畑のなかで立ちどまって「どうして殺したんだ」と聞いたら、「おれのやり方に口をはさんだから殺したよ」と言う。男がとうもろこしをパン焼き器で燃やし始めた。横に五mほど炎のラインをつくって「この線を越えるとあんたも死ぬぜ」と言う。男が炎のラインを伸ばして、公安のまわりに半円をつくった。公安が炎を背にすると、男は炎を上に向けて、とうもろこしをなぎ倒しながら公安に近づいてくる。男が炎を前へ向けた瞬間に、公安が土のかたまりを投げつけると、ホースの先端に命中して炎が弱くなった。公安が近づいてホースを蹴ると、炎が一回転して男の足もとに勢いよく噴射している。公安は男を逮捕した。


超IQ研究所クラスター64

2019-09-06 13:58:55 | 小説
昭和五年六月未明。北京の漢方薬店で店主が、金属製の三段ヌンチャク(棒を組み合わせた武器)を持った男に撲殺される事件が起きた。ヌンチャクには手加減しながら相手を死傷させる威力がある。つまりカーブした剣のように急所へ衝撃を与える力だ。公安(中国の警察)が奥さんから事情を聞くと、「古代ミイラの売り物があって、主人が大量に仕入れてました」と言う。公安は場所を聞いてそこへ行く。 倉庫で遺跡の出土品を、生きる喜びのように即売していた。公安が責任者に事情を聞くと、「午後から壺のオークションをやるから戻ってくるよ」と答える。しばらくしてから自動車がやってきて、三段ヌンチャクを持った男がおりてきた。長さ四〇㎝ほどの金属棒が三つと、つなぐ鎖が九㎝ぐらい。公安が「漢方薬店の店主を殺しただろ」と聞いたら、「『店にきて』と言ってたから殺した」と言う。男が三段ヌンチャクの二段目をつかんで、一段目と三段目を曲芸みたいに回転させ始めた。公安が挑発的にキックで顔面を狙うと男は、ヌンチャクの一段目と二段目を両手で、つかんでキックを受けとめる。男が一段目だけをつかんで、腕とヌンチャクを大きく振りまわし始めた。公安はヌンチャクの先端をかわしてから、飛び蹴りを食らわせたが、男はすばやく二段目をつかんで、一段目と二段目で公安のつま先をはさみつける。公安はもう片方の足で着地してすぐキックしたが、三段目ではじき飛ばされた。男が一段目をつかんで、肩口を狙って大きく振ってくる。公安は、「なにか違うだろう」と思いながら、二段目と三段目の、間の鎖を一瞬つかんだがすぐ引き戻された。男が一段目と三段目をつかんで突進してくる。公安は飛びはねて反撃しようとしたが二段目で太ももを打たれて倒された。公安は打たれた太ももを下にしてこらえる。男が目をつり上げて、一段目と三段目をつかんで振り上げて公安の、反対側の太ももを二段目で打つ。男が公安の後ろにまわり込んで、二段目を公安の首にかけて、ヌンチャクを三角形の形にして締め上げようとしている。公安は二段目をつかんでこらえた。男は一段目と三段目を重ねてつかむようにして、腰の高さまで引き上げて公安を左右に振る。オークションの客が目を輝かして見ていた。最初に打たれた足の感覚が戻ってくる。公安が回復した足で男の軸足を払うと、男はプロペラのように回転して、頭を地面にぶつけてから、ヌンチャクを離した。公安は男を逮捕する。

超IQ研究所クラスター63

2019-08-28 09:59:22 | 小説
 昭和四年四月未明。香港のタイプライター販売店で店主が鼻と口にポマードを押し込まれて、窒息死する事件が起きる。公安(中国の警察)が奥さんから事情を聞くと、「イギリス人がうちの店で『大麻を販売しろ』と言いにきて、主人がことわると顔にポマードを塗りつけたんです」と言った。公安は若い公安に応援を要請したが、全員別な現場に出払っていたっ。公安は住所を聞いて前向きにそこへ行く。海辺の倉庫でシートを広げて、大麻を中国人が三人でいじくっていた。公安が近づくと倉庫のなかで上半身に、真空パックみたいにポマードを塗りたくった坊主頭のイギリス人が立っている。公安が「どうして殺した」と聞いたら、男は足もとの特大ポマード缶から両手でかたまりをつかみながら「おまえを殺すためだ」と答えて公安に近づいてきた。公安は機械油につかった殺人マシーンのような、男のひとことにおじけついて心の電話で、小学生の息子(被害者幽霊を小学生に変換して対話する特殊能力がある)に呼びかけたが、応答がない。金貨の使い道が飽和して、これが誕生したんだろう。とりあえず公安はキックを男の顔面にヒットさせたが、鼻のそばをすべっただけで、男は鼻のまわりにポマードをつけなおす。男は公安が足払いを、してくる瞬間を狙って、片手をベルトの高さで左右に振っている。公安が飛び蹴りを、片足ずつ男の顔面に命中させたが、男は少しのけぞっただけでダメージがない。男がポマードを肩口につけてから、顔にポマードをつけなおした。男が肩口のポマードをつかんで公安に突進してくる。公安はふせて地面を転がってよけた。男が向きを変えて突進してくる。公安は大麻のシートに飛び込む。男がシートを蹴り上げる。公安は大麻を両手につかんで、男の顔に飛びついて貼りつけた。男がよろけて公安は背後にまわり込む。公安は飛びはねて男の頭にキックしたが、男が振り返ってポマードを持っている方の手で受けとめられる。なぜ気づいたんだ。男が目のまわりについたポマードと大麻をぬぐっていた。男が首まわりのポマードを両手につかんで、公安につかみかかってくる。公安は靴底のポマードですべった瞬間に足をかけられて押し倒された。公安は顔にポマードを塗りつけられる。腕をつかんでも手がすべってつかめない。そのとき奥さんが倉庫に入ってきて、男の頭に、タイプライターの活字をひとつかみ投げた。公安は渾身の力を込めて、男の股間をキックして、男の顔についているポマードをかきまわす。公安は男を逮捕した。

超IQ研究所クラスター62

2019-08-27 09:47:49 | 小説
 昭和五年五月未明。北京の居酒屋で、超能力者の男が、窒息死している事件が起きた。死体は鼻と口がゴムのりを厚く貼りつけた布でおおわれている。殺し屋の手口だ。公安(中国の警察)は前向きに捜査を始める。現場は間仕切りがあるテーブル席で、死体は長椅子にうつぶせの状態で、翌日に発見された。死んだ男は古代の皇帝を超能力で念写できて新聞に載ったこともある。公安は若い公安が場かずを踏むのにいい機会だと思って、あちこち手配したが全員麻雀荘に出払っていた。食事代のトラブルは殺人事件に匹敵するから途中で抜けることができない。小学生の息子(被害者幽霊を小学生に変換して対話する特殊能力がある)が出てきて「脳みそのひだが、つるつるになるような正義のために戦うことも悪くないよ」と言う。公安は死んだ男の家へ行く。二階建ての一軒家にひとりで、住んでいるようだった。二階の部屋が、合成写真のアトリエになっている。壺のなかにノートがあった。誰にどんな写真をいくらで売ったか書いてある。公安はノートに、「用心棒風」と書いてある男が気になった。地主が小作人を管理するために、流れ者の殺し屋を雇うことがある。買った写真は楊貴妃だった。公安は楊貴妃を買った男の農場へ行く。納屋の入り口に、ゴムのりの缶がある。死体が吐き出すガスのような、死臭が漂っていた。公安が納屋に入ると、潜んでいた男がつかみかかってくる。公安が飛びはねてかわすと、ズボンにゴムのりがべたりとつく。男がゴムのりの缶をつかんで、片手をなかに突っ込んでいる。公安が「どうして殺した」と聞いたら、男は笹の葉を口にくわえながら「似てないので殺しにゃあ」と言う。男がゴムのりのかたまりをつかんで公安に突進してきた。公安が足払いを食らわすと、男がよろけてゴムのりのかたまりを、公安の首付近に投げつける。溶剤のにおいが鼻について、公安がひるんでいると、男が蹴り上げてきた。公安はかろうじて両手で受けとめたが後ろに飛ばされる。男がまたゴムのりの缶を手にとった。こんどは両手にゴムのりのかたまりをつかんで突進してくる。公安は飛びはねてキックをしたが両手で「べたっ」と受けとめられて倒された。男が公安の口を目がけて、手を伸ばしてくる。公安は男の両手首をつかんでこらえた。男が口にくわえていた笹を、いちど口に入れてから、公安の目に向けて吐き出す。男が下あごを半開きにさせて蹴り上げようとしている。公安は足をたたんで、キックを男の顔面にヒットさせた。公安は男を逮捕する。



超IQ研究所クラスター61

2019-08-26 10:14:12 | 小説
 昭和四年三月未明。北京で洋服屋の店主が、爆死する事件が起きた。死体は店の前で頭部だけ爆発している。現場に帽子の切れはしがあることから、爆竹を巻いた帽子に火薬の袋がしかけられていて爆死したらしい。公安(中国の警察)は死体を見て「きまじめな男が空中で円軌道を描きながら走ってなにかから逃げてる」ように思えた。現場の洋服屋は倉庫を改造した爆竹工場があって、近所の商店に爆竹を売っているらしい。工場に男性従業員が二人いた。公安が事情を聞くと、「週の始めに店先で爆竹を鳴らすと縁起がいいよ」と言う。外出していた奥さんが帰ってきた。公安が事情を聞くと、「従業員がもうひとりいるわ」と言いながら竹ざおに爆竹を巻き始める。公安が下駄の底に、爆竹を巻いている別な従業員に「その男が帽子に爆竹を、巻いた物をつくってたか」と聞いたら、「つくってたよ」と答えた。男は四〇代で二年前に爆竹づくりを、店主に持ちかけて店主が意気投合してつくり始めたという。奥さんが「女がいて爆竹を買った店で、商品を、買うふりをするわ」と言った。公安は住所を聞いてそこへ行く。マンションの三階だった。公安がその部屋に行くと、女が出てきて「なかへどうぞ」と言う。なかへ入ると天井から重りをつけた網が落ちてきて公安は床へたたきつけられた。部屋にいた男が入り口から逃げる。公安が床をはって網から脱出すると網は三m四方ぐらいで重さ二~三㎏の、砂袋が網の四方に一〇個ずつついていた。壁にフックがあって、網にひもが四本ついている。砂袋はひとつずつ天井につるされていてひとつ落ちると左右の砂袋も落ちるしかけだ。公安が感心していると、女が「あの男がひとりで全部やった」と叫ぶ。公安は近くにある仕入れ先の火薬工場へ行く。大きな砂山の前に工場がある。公安が工場の責任者に事情を説明すると、責任者は「以前はうちで働いててがんばってるようだが」と言う。公安が「まじめな性格じゃなかったですか」と聞いたら、責任者はうわずった声で「竹ぼうきは休憩所の、ベンチの下だ」と言って公安をにらみつける。資材の陰からダイナマイトを、胴体に巻いた犯人の男が姿を現す。片手にライターを持っている。公安が「なぜ店主を殺した」と聞いたら、男は「『もっと早くつくれ』と言ったから殺したっ」と言う。公安は男がライターに火を、つけないことを見抜いて、走って近づいてチョップでライターをはじき飛ばす。公安は男を逮捕した。


超IQ研究所クラスター60

2019-08-25 10:01:44 | 小説
 昭和五年四月未明。天津の水上住宅で、自動車販売会社の社長が足を縛られて軒下につるされて、溺死している事件が起きる。死体は昼間農作業に出ていた住人が帰ってきて「トイレに死体があるけど」と言って発見された。水上住宅は水面から二mほど上に密集しているため、公安(中国の警察)は「トイレのくみとりがいらないことはともかく、ごみを捨てほうだいなことは感心できない」と思いながら目撃者を探す。やがて「昼間馬に乗った二人組がきてた」と言う目撃者が現れる。公安は人相を聞いて、死んだ社長の奥さんから事情を聞く。奥さんは五〇代で、社長は年下で婿養子。奥さんの両親と、三人の弟と暮らしている。公安は「こんなありふれた状況描写で先物プログラムを読み込めるだろうか」と不安になった。しかし三人の弟が、犯人の人相に似ていることから、公安は目撃者の男を連れてきて確認したが違っている。公安は目撃者の男をタオシイと呼ぶことにした。タオシイは水上住宅で水道を管理しているという。公安は自動車販売会社へ行く。公安が女性従業員から事情を聞くと、「販売して間もない自動車で交通事故を起こした場合に社長が、見舞いに行くことがありますけど」と言いながら公安におしりを、突き出すように背なかを向けて奥の棚から、見舞金の台帳を持ってきた。台帳の一番上に、タオシイの名前がある。事件の一か月前に、水上住宅に住んでいた少年が、自動車にはねられて死んだ記録があって、父親がタオシイだ。公安はタオシイの家へ行く。公安はドアの陰に水道管を、持ったタオシイを透視した。水道管の先端に継ぎ手がついている。公安はドアを強く押し開けてなかへ飛び込んだ。靴底に水道管がかすった。公安が部屋の様子を見ていると、ひざを狙って、水道管を振ってくる。飛びはねてよけると家がぐらつく。次は胴体の真んなかを狙って、握りの逆回転に切り口をつけて忘却しながら強く振ってくる。公安は壁づたいに飛びはねてよけた。低い姿勢で着地すると家が大きくゆれる。タオシイが子供のようになにかわめきながら頭を狙って振り下ろしてきた。公安がよけると、水道管が床板をたたきわって、床下の支柱が突き出てきて「ぎしぎしっ」と音を立てながら、家が水面まで落下し始める。公安は窓わくにしがみつく。タオシイは床板のすき間に、器用に足をはめて動けなくなった。公安はタオシイを逮捕する。タオシイは「『別な事故で死んだことにしてください』と言って金をよこしたから殺した」と言う。


超IQ研究所クラスター59

2019-08-24 10:30:23 | 小説
 昭和四年二月未明。香港で剥製屋の店主が、なにかの装置で首を斬られて死ぬという事件が起きた。凶器は扇風機のような形で、大きさが三〇㎝ほどの、プロペラ状のカッター三枚が電気で回転する構造になっている。どうやら虫を吸引して粉砕する装置らしい。製造もとは「世界革命集団第二支店」になっている。公安(中国の警察)は住所を調べてそこへ行く。倉庫にいろいろな工作機械が並んでいて、中央に小型の電気炉を組みつけた装置がある。装置の中央に、銅貨と同じな鏡文字のデザインがあった。長髪の男が出てきて「それは『家庭用貨幣製造装置』だけど国から製造販売の許可を受けてるよ。原料の銅を入れればなん枚でもつくれる」と言う。公安はお金に裏づけが、必要なのは読み書きがままならない人間だと感じた。公安が剥製屋のことを聞くと、男は「前金でもらってたからさっき納品してきたよ」と言う。公安が「とり扱い方法を説明したか」と聞いたら、「した」と答える。公安が「他に客はいたか」と聞いたら、「自動車に乗った不審な男がいたけど」と言う。剥製屋の店主は、富裕層のイギリス人に売春をあっせんしている容疑で公安が捜査していた。人相を聞いてすぐあの男だと判明する。あの男は、死んだ店主の仲間だ。公安は古代の原人が黄鉄鉱を宝物として、物々交換している様子を想像しながらあの、男の店に行く。公安は途中で古代の羽根突きを思いついた。まず羽子板と羽根がついた木の玉。木の玉に細いひもがついていて、高さ一m八〇㎝ぐらいで固定した長さ三mほどの、棒の中心とつながっている構造。ルールは「二回打って棒の上を通過させる」だ。ひもの長さが一m八三㎝で、地面についたら相手の得点。このゲームは未来人をだませてかなりおもしろい。死んだ店主とあの、男の先祖が対戦していたかも知れない。店に着く。そこは倉庫を改装した大きな雑貨屋で若い女性ばかりが働いていた。売り場に二〇人くらいいる。公安が店員に「責任者はどこだ」と声をかけたら、「社長」と叫ぶ。奥から男が出てきて公安と、目を合わせると男は奥へ引き返す。公安が追う。男は外へ出た。拳銃を持っているようだ。公安は石を拾って追いかけた。公安が近づくと男は走りながら拳銃を撃って地面に命中する。阿片の使いすぎだろう。公安が石を投げつけると、男が振り返って拳銃で受けとめようとして首に命中して倒れた。公安は男を逮捕する。男は「剥製の、代金の方が多くて頭にきて殺した」と言う。


超IQ研究所クラスター58

2019-08-23 10:35:56 | 小説
 昭和四年一〇月未明。瀋陽で陶芸家の男が、庭の土に顔を押しつけられて死んでいる事件が起きた。死体は昼間外出していた奥さんが夕方に発見している。工房は陶芸家と奥さんの二人でやっていて食器などをつくって販売しているようだが、庭で劣化処理させている陶芸品が大量にあった。犯人は本物があるか探したらしい。公安(中国の警察)が奥さんに事情を聞くと、「主人は『博物館に納品するため』と言ってます」と言った。公安は小学生の息子(被害者幽霊を小学生に変換して対話する特殊能力がある)に聞く。小学生の息子は「ペンダント屋さんだよ」と言う。公安は奥さんからペンダント屋の住所を聞いてそこへ行く。ペンダント屋は町の中心部で露店をやっていた。外国製な銀貨のペンダントを一〇〇点ほど並べて奥に壺が一〇個ある。壺は全部死んだ陶芸家から買ったようだ。公安が事情を聞くと、「ひとつだけけたが多い値段をつけると売りやすいけど」と言う。公安が「それを誰か買っただろ」と聞いたら、「僧侶のような男が買った」と答える。公安は僧侶と物の特徴を聞いて寺院に行く。寺院の広場で修道士が、一〇人ほど武道の稽古をやっていた。公安が建物に近づくと、買った人物と思われる僧侶が出てきて、「なかへどうぞ」と言う。建物のなかは、ドーム型の天井が吹き抜けになっていて、上に巨大な電球がある。壁に粘土でできた古代の人形が並んでいたけどどれもレプリカだ。例の物があった。古代の壺だ。公安が僧侶に「これはどこで買いましたか」と聞いたら、「つくった者は死にました」と答える。公安が「誰が殺したんだ」と聞いたら、奥から大きさが七〇㎝ぐらいな、腹話術人形を持った男が小走りに近づいてきた。男は公安に三mぐらいまでくると、人形の口を動かしながら「よっちゃんは金貨で皇帝の壺を買いましたよ」と言う。少しすると人形の口から黒い煙が吹き出して、公安は煤のような物を全身にかけられる。男は「よっちゃんはうそつきを殺したんです」と言いながら人形をいじくって、人形の足と頭から刃物を突き出した。人形の背なかに二mぐらいなひもがついていて、男は刃物が突き出た人形をぐるぐる振りまわしながら「遠心力攻撃。遠心力攻撃っ」と叫ぶ。しかし公安が目もとの煤をぬぐって、すぐ飛び蹴りをすると、男は人形をほうり投げて逃げようとしたがずっこけるようにして転んで、顔を床にぶつけた。公安が男に「よっちゃんはどっちなんだ」と聞いたら、男は「おれが殺した」と言う。公安は男を逮捕した


超IQ研究所クラスター57

2019-08-22 10:01:33 | 小説
 昭和五年二月未明。香港の熱帯魚店で店主が、ピラニアの水槽に頭を押しつけられて溺死している事件が起きる。事件は白昼に起こり、死んだ店主は人身売買の容疑者だった。公安(中国の警察)が目撃者の、三〇代の女性店員に事情を聞くと、「イギリス人が『船から逃げ出すように指示しただろ』と言って怒ってたわ」と言う。人身売買は農村で「読み書きができない少女を、イギリス人が探してて、それらしき少女が行方不明」と言う情報が複数あって、公安が捜査していた。手口は水田や用水路にピラニアを泳がせて、興味を示した少女に、声をかけるという。公安が奥さんに事情を聞くと、「とりひきは全部主人がやってます」と言った。公安は別な熱帯魚店へ行く。公安が店主から事情を聞くと、「イギリス人から『イギリス留学の手つけ金を払えばいい』と持ちかけられたけどわけ前をもらえるほどの金額じゃなかったからことわった」と言う。イギリス人はピラニアの卸売り業者らしい。公安は港にある事務所へ行く。倉庫の外に、ピラニアのいけすがある。公安が倉庫に入ると、地面にじゅうたんが敷かれていて、一二~一五歳の少女が五人座っていた。公安が、長旅なのに手荷物がないことを不審に思いながら「どうして逃げないんだ」と声をかけたら、「殺し屋がいる」と叫ぶ。壁にランニングシャツを着た三〇代なイギリス人の男が立っていて公安にナイフを投げつけた。公安はよけたが左手の、指の間にあと四本持っている。公安がそばにあった直径七〇㎝ぐらいの丸テーブルを、楯にしたら顔と足へ交互に投げつけて、ナイフが四本テーブルに突き刺さった。男がマシンガンをつかんで公安に向けて発射する。倉庫のなかに、積まれていた水槽に命中してガラス片が飛び散った。公安がふせながらテーブルに刺さっていたナイフを投げつけると、銃口に突き刺さって男がマシンガンを落とす。公安が走って飛び蹴りを食らわすと、男は口から泡を吹いて足もとにあったうつぼの、水槽に頭を突っ込んで倒れる。事務所にいた中国人の男が両手を上げて出てきた。公安は二人を逮捕する。イギリス人の男は、熱帯魚店の店主を、殺したことを認めた。公安が中国人の男に、ピラニアのことを聞くと、「ピラニアは知能が高いんだ」と言う。男は新型華僑投資事業組合の支配人で、多くの企業に資金を供給している。人身売買によって華僑の新しい組合をつくるという構想は、経済界における台風の目だった。